朝起きたら
おもいのほか寒かったのです
肩がひんやりします
すっかり秋ですね
早起きしても
ひぐらしの声はどこにもありません
朝起きたら
寝違えていたのです
眠りながら何かを間違う ....
9月からアメリカの小学校に入学した娘
2日目の朝吐き、早くも欠席
3日目お腹が痛いと昼前に早退
4日目から毎朝目が覚めると学校に行きたくないと、泣くようになった
「なんで行きたくないの?」 ....
太陽がラッパを吹いても
月がバイオリンを弾いても
最後は祈ることしか頭にない
最後は祈ることしか頭にない
私の湖に小舟がやって来て
そっと浮かばせてあげるこの腕は
いつでも身軽であ ....
旅立ちの原点そっと触れる爪先
手のひらに残ったものをかぞえる秋
虹のこびと遠く笑ってさかだちしてる
年月の更けゆく日々に聴くラフマニノフ
宇宙翔けるもの星座のしずく夜に流れ
....
人を
ただしい場面で
ただしい順序で
ただしい角度に
揺すると
泣く
そのただしさを
習得することを
愛とか技とか
呼ぶ人びとを
軽蔑し
憎んでいるわたしも
ただしい角 ....
誰にも届かない言葉を綴ろう
僕は 夜の井戸に吊るされた{ルビ剣=つるぎ}
永遠の愛を探し求める 一匹の蛾
その羽は古い靴下のように 穴だらけで
沈むことのない夕陽の その逆光に透けて
....
秋とは肩を寄せ合い歩きたい
約束なしで出会っては
流れの渦に留まり続ける
紅葉とイチョウの落ち葉のように
ゆっくりと語り合いたいものだ
何一つ声に出すこともなく
....
=ある こどもの ことば=
こころが
天に向かって口から出て響いているよ
それは 葉っぱなんだよ
風にゆれている
冷たい風だとふるえているよ
あったかい優しい風だと喜んでる
お ....
三角子猫二人乗りの皮肉
貴男の発車音
―ピストルが泣いている―
撃て私を
空海の喉に溺れ死ぬのは
束の間
真夏の灯火
それは初恋
....
耳をふさいでつながりを断った
少しずつ聞こえ出す新たな世界の響きはクリアだ
ぐるぐると回り始める流れは感覚に刺激
際立った存在は埋まっている根源に硬く強く刺激を与えよ
甘く 時 ....
秋が始まる頃
ようやく
旅人が帰ってきた
ちょいと
長い散歩だったかな
と
悪びれもなく
おかえりというのも
待ち焦がれていたようで
まったくもって
しゃくなので
おみや ....
たりたりたりと
私の何か少し足りていない
ミリデシリットル分の
たりたりたりが
足早に私のうしろをついてきて
影に交じりながら
陽をよけて
たりたりたりと
....
湖底から水面を見上げて
湖の周囲には深い森が広がっている
白いシーツを乱すように
水面に陽光が跳ねる
森の上にだけ天気雨が降っている
それは恋人の涙のようにすこし塩辛い
恋人の涙は小鼻の脇 ....
ズッキーニ、セロリ、ピーマン、トマト、玉葱、茄子、コンビーフ、ローリエ、カレー粉、しょうが、サワークリーム、レモン、
ぼくの体力、
ズッキーニ、セロリ、ピーマン、トマト、玉葱、茄子、コンビ ....
ありあわせのもので生きてゆく
冷蔵庫のなかにはあるいはいえのなかには
備蓄したもののない
こってりとした愛とか
ささくれだった笑いとか
スパイスをきかしたつもりの人造サラダ
気 ....
西瓜の種をどこに飛ばそうが、自由だった。
あの頃は、どうでもよいことなど一つもなかった。
電信柱が眩しく そそり立っていた。
*
下水処理場を通り過 ....
なんにもないから
じゃがいもを剥いて茹でる
そしてつぶしマヨネーズと七味
とろけるチーズも入れて
まぜてこねたら小さくなった
おたまのうらを覗いてもなんにもついていません ....
帰っては来てほしくない
波もいつかは帰ってくる
それが自然の営みで
逆らうことなど考えるな
と記された記憶のそこの
谷間にはあるのだろうか
あの町が
揺れる稲穂が不似合いに
原 ....
あなたの言葉が わかんない つまんない
そんなんもわからへんのかとか
もっと、つまんない
木々の葉が周囲に
ざわざわ鳴っている
{ルビ藁葺=わらぶ}き屋根の山門が
中天の日に照らされている
あの門を{ルビ潜=くぐ}った向こうの
石段を上ってゆけば
一体何処へ導かれ ....
セロトニン増やす薬や秋簾
都会のカラスは金色 銀色
その道の先
途切れた先に海があり
海を覆って空がある
空のなかには窓があり
窓のなかには月がある
その月の先の暗闇に
えも言われぬ雨が降る
二つを分けた雨雲の
そのまた先に ....
あなたに感謝状を差し上げましょう
ありがとう!
宝石のような言葉で
私を輝かせてくれる
あなたは素敵なペテン師さん
ありがとう!
負けず嫌いな私は
いつも敵を作ってしまう ....
気づくと
無意識に祈っている
例えば
エンドレステープのように流れる
交通事故のニュースを見れば
家族の交通安全を祈り
遠い国で
爆撃によって命を落とす人がいるニュースを見れば
平 ....
ここがセンタ
夜
底抜けの青
森の色した舌を抜き
口のあるかたまりに食べさせる
らーーーーーーーって笑っている
魂あるいは
原子
ラヴ
手の中で数 ....
原風景は黄金に実った稲穂が
風に揺れて波立つというものだった
背丈のままの記憶のままに
そのことを思い出したのは
ずいぶんと移ろったのちのことで
恋しがってもすでにそれがどこで
のこと ....
浅茅生の己が命の短きを知りてやあらむ明日のあさがお 佳代
雲の間に出でたる月を眺むまにあけば別れの春の夜短し きみ
....
変わらないねえ と
しみじみ言い合うけれど
私たちが女子高校生に見えたら
化け物でしょう
だけど
やっぱり
変わらないねえ
三人で写真を撮ると
真ん中は早死するからイヤだと言って
....
古いフィルムネガ
光にかざせば
見知らぬような
女
ああ 確かに私だろう
こびと専用の夜行列車の小窓の中で
かすかに笑っているようだが
それは条件反射の類だろう
本当に可笑しい時は ....
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