虫醋が喉を刺す
透け入る妙なる{ルビ馨態=せいたい}
背後に黒き旋律
絞らるゝ雑巾の如く{ルビ縒=よ}られ
渦巻く無数の惡夢白{ルビ晝=ちゅう}夢
幾度までも呪殺せる輩の{ルビ屍體=した ....
「ここはどこなんだろう」
と苔むした薮を歩いてると、湿ってすべる。
裸足ではないが靴底にはもう穴があいていて、リストカッターたちのように深く浅くあらゆる皮膚に傷がついている。
透明の液体が世界の ....
ポテトチップスは無駄遣いなんでしょうか
主婦向けの雑誌を見ながら
(雑誌は、読む、というより)
(視覚からの情報が、その、)
(まあ、今はそんなことどうでも良いんだけど)
疑問がまたひとつ浮 ....
切り刻んで袋に入れた新聞記事は
目を離したすきにもぞもぞ動きだしていた
記憶と考古学
預言者と未来
それぞれ近づいたところを
手のひらで思いきりたたきつぶして
遅ればせながら
宣 ....
迷うほど
その森はあらわれて
洗われる
下着の下で蠢く
植物の言葉と
虫の目覚め
それらはやさしく
息を吹きかける
僕の頬に
ときにはその存在を
確かめるように
さらに ....
屋台の行列と祭囃子
利根川の水面が映し出す宵闇
藍色の浴衣と広島風お好み焼き
袋の中で呼吸する金魚
やがて遠くの方から花火が上がると
人々は一斉に夜空を見上げる
不意に懐かしく ....
080722
森君が笑うので
今日はよい天気です
森君は歯が綺麗で
笑顔が可愛いので
クラスの人気者です
森君は苦しくても辛くても
....
ぎゅー
とか言いながら
小学生の次女が背中から抱き付く
突然の攻撃に弱い僕は
反射的に振り払う仕草をする
から彼女は頬を膨らます
いつものパターン
だけど今日はちょっと事情が違っ ....
幾本もの虹がのぼりながら重なり
耳元をかすめる
皿洗い機のあけたてと
空耳の有線のジングル
急ブレーキとまばたきの音
ボールペンを走らせ
アドレスを記入しながら
今のあの人の手相を占い
....
不安感を感じたくなく
鮮やかな絵を描きたいけど
見ている景色はモノクロームの化学的構造物
理解
感じるものはノイズで、ハンギングしていて
耳鳴りが神経帯域を奇妙しくしている
整調機 ....
遊び疲れて眠る夜
朝が待ち遠しくて
ぐっすり夢の中
時間を知らせる鐘の音と
“昨日”が明けたとさえずる小鳥
待っていた割には弱い寝起きを
困った顔で覗く太陽
『おはよう』は始まりの扉
とんぼがキ ....
カサブランカ
生まれてきたのだから咲きなさい
生み出されてきたのだから
生み出されずに
生まれてきた生命はいない
自分で自分を産むことで生まれる生命なんてない
カサブランカ
生ま ....
皆とサッカーをして遊んだ
ボールをまともに蹴ることなんて
高校の体育の授業以来のことだ
息をぜいぜい荒げながら
俺は必死に土の上を駈ける
全力疾走でボールを追う
だが日頃の運動不足 ....
080721
空気がくれた
赤ん坊
(優しい目をして
(見つめるから
(つい油断する
(本当のことは
(誰にも言ってはなりません
空気が
足らないから
....
日曜日の午後は
ここからはじまる
たくさんの
命の庭
話したり
話しかけられたり
平日とは違う
あんパンを
ほおばってみたりした
午前中
僕は眠っていたので
午後は
知 ....
かなしいからうたをうたった
わたしはなかなかった
だだ きいているきみが わんわんなくものだから
さっきよりかなしくなって
そうだ なくしてしまおう そうおもうのだった
K点超えの地平線の、
ホワイトアウトする境界で
メガネも曇って、
つーか、プラスチックが劣化しててさ
学者より怖い何かが
おれたちは霧のなかだから
知らない
わかんない
どこに動か ....
深ければ深いほど
その傷に気づくこともなく
夢心地のような感覚が漂うばかりで
時間が過ぎ
死に至らないと気づいた時初めて
急激な痛みがやってくる
その痛みは
眠ることも
食べることも忘 ....
暗い受難が
名もないアスファルトの海に
堕ち、
て、
、産まれ
た
1.
座り込む前、私は知っていた
焼けた夕陽を目にする度
自分の踵から伸 ....
走り去る緑
水田は
鮮やかにきらめいて
遠く木々が
燃え立つ
なんて
真っ青な
そら
これが
最後のドライブなら
そう言ってくれれば
よかったのに
慣れない浴衣を着て
すましてしゃがんだきみに
線香花火をひとつ
手渡す
ライターで火を点けてあげると
少しして
控えめな火花が
炭酸のようにはじけていく
いつの間にか
催眠術 ....
すなでつくったおしろ
おおきいな
うれしいな
でもね
かんたんに こわれてしまう
かんたんに。
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
・
・
・
机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
元気じゃない時は
人を助けたくて仕方がない
まずは元気になってからと
自分に言い聞かせて
ようやく余裕の出た時には
視野が広がって
他のことを思い付くんだ
必要な時しか
必要な ....
意地を
張ってる
だけ
日々習得する仮面を強がりと呼び
日々解脱する鱗を素直と知った
寂しさ
も
切なさ
も
自業自得で
庇う対象
が
自分
でないことくらい明確なだけに
余計
意地を張ってやり ....
「リトマス紙がなにでどうなるか」のように忘れてしまいたい夏がある
まだ明日を信じていたからサヨナラを 告げた渚にゆらぐ太陽
ケンケンで駆けた砂浜しゃらと鳴る 乾いた粒子、ただ熱 ....
携帯をいじる人
周囲を気にせず大声で話す人
化粧をして顔を変える人
音楽に耳を澄ます人
集中して本を読む人
そこには「電車に乗っている」という佇まいをしている人はいな ....
ずっと
そばにある
そばにおいてる
モノ。
色付きの
ちり紙すら
捨てられない
捨てたら過去の
記憶すらなくなりそうで
イヤ。
溜まり溜まった
大きな山と
....
落陽、その時に見えたのは希望でも何でもなかった
羊を数えた夜が明けないから
一匹ずつ撃ち殺そうとして
銃創、その時に知ったのは暗闇でも死でもなかった
{引用=捨てないように ....
運命にまた見離されたよ
乾いた空にかき消された願い
本当は君が一番辛いはずなのにね
笑った顔が痛いくらい胸に突き刺さる
優しさを切り売りして同情を買って
商売上手だけが生き残る社会
....
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