世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる
支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け
次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える
支え続ければ ....
きみはさみしかった
ひとりよがりであることを知って
それでも睫が触れ合うほどにちかづくたび
きゅっとお互いをしめつけあっていたことをこれから幾たびもおもいだす
きみならきっとうまくいく ....
たとえば
お刺身を食べるとき
お箸じゃなくてスプーン
ちょっと一周走ってくるのに運動シューズじゃなくて下駄
私の隣で
昔の彼女との楽しかった思い出話を自慢気に話する私と付 ....
自分は
1986年3月13日
群馬県前橋市生まれ
O型
身長178.0cm
体重60.0kg
大学の専攻は英語と男女共同参画
地元の小売店で働く
音楽とイタリアンが ....
ひどく深い山奥に
その百貨店は建っていた
百貨店といっても実際にはよろずやで
それでも、食料品から最新のテレビまで
なんでも売っているのだ
ダムが出来ると
集落のすぐしたまで水面になる ....
夢をみた
影のない夢
脈絡もなく
断片ばかり
夢の最後は
あさっての新聞を手にして
冷や汗をかいている自分
不安な焦燥に身を焦がして
紙面に目をやると ....
16のころ読んだ
大江健三郎の小説を
古本屋で文庫で百円で買った
道を渡った喫茶店で
39の俺が読んだ・・・
墜落する物体を見る興奮
幻のように確かな手触り
....
動悸が激しい
息切れも止まない
これはきっと病気に違いない
アイツのせいだ
昨日アイツに頭を撫でられた時
変なウイルスに感染したんだ
それ以来アイツと話すと目眩がする
それ以来ア ....
ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
いちど曲げたところを
直線に戻そうとすると
ほかのところが曲がる
針金のように
こどもの頃
僕はポポという おもちゃの兵隊に優しくキスをした
ポポは照れ臭そうに 真っ赤になって土に潜った
ポポを知ってるのは僕だけ
僕のことを知ってるのもポポ ....
あなたの誕生日はいつだったっけなぁ
と思いながら
刻々とすぎてゆく日々
選ぶべき言葉も選べないまま
大切なもの
いっさいが流れてゆくというのなら
それは、きっと
わたしが ....
自分よ きみ 恋にへこたれるな
こころざわめく思い もう すぐにでも遠くに行ってしまいそう
好きだってことさえも言えぬまま
旅立つことを見送るの?
そのまま失うことに慣れていくの?
....
あなたは花が好きなだけだった
大輪の花が咲くポピーと信じていた
それだけだった
けしの花
禁じられた花
大地に根を張るけしの力強さ
足に力を込め手応えを感じながら
何本も何本 ....
指令塔が送ってきた電波を
アンテナで受信して
単純作業の繰り返し
それが、僕のお仕事
思考は紙くずと一緒にゴミ箱へ捨てた
はい、僕、99号
その前には98号がいて
後には ....
透き通る空
どこまでも青く
爽やかな風は
部屋をかけぬけ
昨日までの憂鬱を
持ち去ってくれる
空を見上げ
吸い込んだ空気
体内で粒子になって
私の細胞に
元気をくれ ....
量るために落下する
側面にうつる
まよい
もてあます問いを
ふかくうめて
はずされたかすがいを
もうひとつの手は
握っている
風はやさしい。
小花の、シナモンとマーブリングしている
庭先で教科書を開くキミの紅茶
ユルユルした{ルビ蜉蝣=かげろう}になる朝
キライなともだちのプリクラ
姉妹の関係に似ている 笑顔
笑顔笑顔笑顔 ....
夜のドレープに裂け目が入る
夜明けが裾にそっとくちづけると
私はすべてを脱ぎ捨て
一羽の鷹になって飛んでゆく
まとわりつく冷気を翼で切りながら
あなたを求めて飛んでゆく
私は ....
{引用=ふたりきりでも まだ
さびしいので
ラジオをつけると あなたは
雨音だけで充分だと言った}
愚痴を云わないけれど聞けない
つまらない女ですから
晴れ女でいいねと羨ましが ....
確かなものが欲しい、と泣いた
そんな日々には
野良犬たちも
たんぽぽも
いつもの帰り道さえ
他人だった
君の小指と僕の小指を何度絡ませて
....
朝、直らない寝癖を気にしつつ外に出る
夏物の服をまとめ買いする
雲行きが怪しくなる
寝癖はまだ直らない
昼、直らない寝癖を気にしつつ外に出る
一週間分の家族の食糧を買いだめする
寝癖は ....
強い風が
いろんなガラクタを
吹き飛ばして残ったのは
からっぽの青空
どこまでも視線を
深く高く運んで行けそうな
純粋な空色をたたえた
からっぽの空
からっぽの空から
吹き下 ....
雑居ビルの中にある小さなライブハウス
彼女が鍵盤に指先を下ろした瞬間
スタインウェイは真っ直ぐに彼女を見つめた
たたみかけるような熱い音の重なり
スタインウェイと彼女の間には
透き間 ....
好きとか嫌いとか
そのような感情と同じ速度で
五月の空はわたしのこころを蝕んでゆく
そして陽射しに揺れる葉桜が
散り行く先など知る縁も無いように
他者への憎しみを
こころの襞奥に抱え込 ....
空白のページに
跡をつけたのは私
全体の四分の一にも満たない
まだ短いストーリー
ベストセラーになんかなりっこない
本屋の端の方で埃をかぶっている
ちょっと悲惨なストーリー
....
本当に馬鹿馬鹿しいね
1時間も歩いて
君に会いに来たなんて
お陰で足にマメが出来ちゃった
家まで帰れるかな
あーあ
本当に疲れた
もう、ずっとここにいたい
せめて少しだけ
君の声を聞かせて
午後 ....
森の夢―古いボート 前田ふむふむ
1
青い幻視の揺らめきが、森を覆い、
緩んだ熱を、舐めるように歩み、きつい冷気を増してゆく。
うすく流れるみずをわたる動物 ....
永遠に続く時間があれば
人間は何でもすることができる
永遠に続く時間があれば
人間は何もしないこともできる
永遠に続くということは
終わることがないということ
永遠に続くということは
....
貴方が私を
引き出しの奥に大切に
仕舞い込んでくれたと
思ったあの日から
50年の月日が流れ
あなたは
素敵な奥様や子供たち
孫たちに囲まれて
私はと言うと
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217