余熱
るか

       余 熱


       そこは
       しろい花が咲いていて
       緑も若やいで うつくしい
       空気は
       いつまでも清澄であり
       人々は
       よく整えられた
       喪服を 纏い、
       永遠の
       午前を
       穏やかな表情
       で
       過ごして
       いる
       断崖の
       向こうは
       いつまでも
       青い空 ───


       ここが宇宙の果て。
       何も
       どこにも
       ゆかない
       よ。


       まるで
       「 生の意味 」に
       めぐり合ったあとの
       巡礼の者の
       横顔の
       ようである。
       すべて
       済んでしまった
       かのようで
       終焉の
       挨拶を
       云いかけたまま
       きみは 
       眠って
       いる


        ( 底流するものがある、
          わたしたちを流れて、
          未来へと
          注ぐ
          それを 愛と呼んでもいい
          夢と 呼んでもいい 
          いかり
          憎しみ
          どんな あられもない言葉も
          この流れを
          止めることは
          できないのだから )   


       そこで
       きみの頬を、
       さわる。
       嬉しさ
       は
       まちきれない
       地下水
       のように
       いつまでも
       迸り
       つづける


       酷熱の 季


       正午は
       いつまでも
       遠く


       わたしたちは
       待ちくたびれて
       いたのだ
       ろうか


       いつまでも
       待ち
       くたびれて
       噴き上がる
       炎の
       柱に
       なって


       正午が
       おとずれるのを
       時折 指を


       折ってみたり、
       して





自由詩 余熱 Copyright るか 2008-08-01 02:31:48
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