雨の夏
見崎 光

祭りの夜は雨でした。

カメラを片手に
あなたを探して
緊張を撮影した私
ぼやけた色とりどりの風景に
あなたはいない

溜め息を雨粒がさらってゆきました。

意味の持たない写真達
切なさを
寂しさを
雨だけが知っていて
濡れては強くなる想いの丈に
また、シャッターが揺れる

あなたを探して
あなたを見つけて
私、愛おしさに押し潰されそうです。

やっぱりあなたが
…好き


小雨に踊る伝統行事
フィルムに映し出されていく風景に
あなたは、いない。
まだ、思い出になりそうもありません。

あなたを彩る祭りの夜は
時折、雨に流されて
涙色の地面が続いていました。







自由詩 雨の夏 Copyright 見崎 光 2008-08-02 22:33:20
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