なんで なんで と
聞きたがる あの日は
まだ何も知らぬ
真っ白なコドモだった。
笑ったり 泣いたり
知らん顔で通り過ぎようとする
オトナを見れば
少しずつ 少しずつ
歪んで ....
仲の良い姉妹がいた
双子みたいだったけど
双子じゃなかった
同じ髪型をし同じ目をし
同じ口もとで笑った
寝る時も食べる時も一緒だった
片時もはなれた事がなかった
花が咲く時も
....
マダムヤーンは綺麗な人で
いつも小さな
花柄のブラウスを着ていた
ほんのり香る花の香水をして
静かに笑う人だった
ある日マダムヤーンのもとに
小さな蝶々がやってきた
蝶々は羽根を休め ....
その人(!?)は遥か彼方を見ていた
星空の向こう
天文学的数字を振り切ったその先を…
太陽系からどの位遠いのか分からないある世界の生命体
形は眼球機能で捉えられず
仕方なく赤 ....
同級生はドラッグストアで働いていた
名前はみらいちゃん と云った
休みの日には呼び出されて
公園を匍匐前進させられたり
炎天下の坂道を延々往復させられたり
首を革紐で縛られたり
草を食 ....
海に揺らめく
街の明かり
潮の香りに
髪を撫でられながら
二人で少しおしゃべり
食事のあと
ビルの上から見た夜景
あまりのまばゆさに
胸が苦しくなった
海に散らば ....
ものかげ
赤目
誰も通らない
アスファルト
うさぎの耳をさがす
こっちに 来て
脇の下を
どうか
触らせてほしいが
いつも
するりと
ささやかな
毛の香りも
丸い糞も ....
セミダブルベット
アルファベットは外に吹き出し
また自動とかかれた扉がひらき
道路ににぎやかに人混みが揺れ
飛ぶということについて考える
指を折りながら時間を値踏みし
白ビニール袋が後 ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
たとえばそれは力
真夏の様な
太陽の力
たとえばそれは優しさ
潮騒の様な
海の力
たとえばそれは喜び
金の稲穂の様な
大地の力
裸足で地面に立ち
両手に海をすくい
肌 ....
とても正しくて
とても間違ってる
君はいつも正しくて
間違っていた
何かだけを目指し
何かだけに支配され
何かだけの君は
何かだけを支配して
何かだけを成し遂げた
セミ ....
女が信号待ちをしていた
幼い息子と立っていた
いっしゅんのことだった
粗雑なかなしみを
気恥ずかしく思い出す
この親子ふたりに
俺はなにをしたのだろう
リセット
寝坊しないように目覚ましを三つ用意して
約束の時間に間に合うように
彼女の家まで車を走らせた
「あれ?もしかしてピアス代えた?」
「そうだよ!よく気付いたね!」 ....
青のインク
絵の具のチューブ
クレパス
全部ひっくるめて
投げやりな空を、描いた
何枚も何枚も
繰り返し
気がつくと
床が、海になってた
葦を
くわえている
(目と 鼻とを とじて)
水が圧す
身じろぎせずに 黙っている
(黙っている)
指を
動かす
日が
つかめそうな気がするから
(本当にそんな気がする ....
雨が笑ったら
それは春の始まり
雨が色付いたら
それは夏の始まり
雨が美味しくなったら
それは秋の始まり
雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
....
嬉しくて
気持ち良くて
満たされて
少し恥ずかしくて
楽しくて
自然にこぼれた笑顔
ひとつひとつを束ねて
ナイフで切り離した断面
それがあの日の写真
時間は変 ....
やわらかく揺れる姿に
瞳を奪われ 手を差し出す
水面にうつる月の中で
蒼く煌めく波は 僕を誘い
届かないとしても
その幻想を受け入れたい
そんな小さな願いが
指の隙間から溢 ....
私は
どこへ向かって
石を置いているのだろう
ずっと遠くへ行くため?
それとも
今居るところから跡を濁さず飛び立つため?
川に石を並べて渡ろうとしているように思えるときがあ ....
突然放りこまれてしまった
病院の待合室にすわらされ
時計の針が無表情にすすむのを
昼メロのデジャ・ヴのようにながめる
「ママ ごめんね」
かすれた声の一言で
キミは幕開けを ....
わたしは、
泣きたかったのかも
しれない
想い続ける強さや
忘れる覚悟の散乱する
小さな小さな心の渦に
どこか疲れて
泣いて
流して
笑いたかったのかも
しれない
飛んで
どこまでも高 ....
あの螢祭の夜
ミルクの河 渡った
ボクの手が少しギュッとして
キミは 痛い 顔を{ルビ顰=しか}めた
力の加減を知らない
ボクを許して
少し折れてしまった指
キラキラしながら
....
レスポールが絡み付く
この身体。
耐えきれず 跪き
祈りを捧げるより
この重さをも飲み込んで
傷をえぐり合おう
重低音で心音を刻み
浮きそうなほどの爆音を
「くだ ....
犬歯が疼く夜は
あなたのことを考えてしまう
黒猫が一方通行道路を逆走していて
わたしはみゃぁおぅと鳴いて忠告をした
哀しみに月はなく
瑠璃色の眼は立ち止まり
この影をきちんと認めて ....
梅雨と真夏の狭間で
紫陽花が耐えている
真夏の青空の色を湛えて
夏が来るのを
待っている
色はだんだん
褪せていく
散りきるまで
もうすぐ
スナックで知り合えば
たわいもない話をして
エレベーターで送られて
手でも振ればさよならできる
夜の屋上できみと話せば
ケンカでもしなければ
おたがい立ち去れないよ ....
(?)
久しぶりのドライブは仲直りのしるし
お正月に学生さんの駆け登る急坂をアクセル吹かしながら
ふたりを乗せたクルマは芦ノ湖畔を目指す
車内にチェックを入れてみても
知らないおんな ....
黒と赤を敷き詰めて
好きなものだけ集めよう
酷く弱気な日々が続いてる
・・・壊れそう
届かぬ想いが胸を締め付けて
ここから動くことさえできない
あぁ 影になる
太陽が燃え尽 ....
空気がむせかえる
ジャンクションを間違えてカーブしていくおもいきり
アクセルを踏み替えないで俺たちは加速して
絶対に追い抜けない霧もやの中を疾走する
あったかい罪を犯したかったの
サミッ ....
真夜中に電気を消して
テレビの明かりだけで見渡す
この薄暗い部屋は
あたしの不安を増して
慣れることもない
この先の光を信じるなんて
不器用なあたしには望めない
だから夢を ....
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