第三軌条だなんて
レトロフューチャーで
スタイリッシュな言葉

第三軌条に流れる電流は
架線に準じた強さ(で危険)だから
壁際を走る軌条は駅の手前で中央に移る

かつて走っていた旧型車 ....
私らは
あなたの為に
集まった
何年振りか
何十年振りか
集まった
微動だにせぬ
あなたの為に
何も知らない
あなたの為に


思い出す
夕暮れの微笑みは
私の為ではなかっ ....
             080726



古い手紙は燃えるゴミ
新しい手紙は来ないから
Eメールのフォルダーは
後腐れ無く消去する
古い機械を粉々に
古い情報を粉々に
手品の ....
雨はいつだって突然に
感覚を刺激する

懐かしい音に
身動きが
――…取れなくなる
夕方の雨は
だめだ

カーテンレースを握りしめた
手の
震えが治まるまで
アスファルトを叩く ....
もやのなかのきいろいひまわりたちみたく
呼吸する
はりつめていく明け方の透明の空中に
うでをまっすぐにのばしました
旗ばかりがばたばたして「これが本当の自由」なんだなって
コンビニのコピー機 ....
南の低いところに

朱い月がまんまるく

すこし離れて花火の明滅


幼な子に花火について語る

それは物足りないリレーのようだ

ベランダから花火を見つめている

わたしの ....
彼がやるのは衆勢に網をなげること
粗い網目の投擲部隊

撒き餌を大魚が食いさらい
ガハハ大漁じゃあ!
と彼は酒を飲む

雑魚は網目をすり抜けて、
沈殿した海底でこぼれた餌をたべている。 ....
無数の

とがる

痛み

その

記憶



うずきを

かさねられた

豊穣の

日が

咲く。
ぴらんぴらん
ちらんちらん
きらんきらん

ガラスの
ちいさな
鐘の音。
銃声が鳴り響いたもんだから
運動会でも始まったのかと思い
颯爽とクラウチングスタートを決めたんだ

だけど走ってきたのは兵隊さんで
銃口をこちらに向けるもんだから
慌てて草群に逃 ....
 私はお菊人形

 白い面(おもて)に紅をさした唇

 長い髪を粋に結い上げ

 ハイカラな着物をまとった人形

 
 自分で動くことはできず

 いつでもご主人さまの

 ....
 
夏が
色をうしなって
いきます

羽衣を着た
あの人が
人であった頃

眩しく
消えていきました
白く輝く
光のまま

焼き尽くされて
まだ
ここにいます
 
 
汗をかいたので
洗濯して
ベランダに干す

ここは海が近いから
命の
匂いがする

書店で本を開いても
どれも白紙なので
選択は
できなかった

もう
言葉などいらな ....
どうしょうもなく渇いてしまえば
身軽になるものだというように
からから笑いながら波打ち際の
空き缶の口元を叩く
浜辺の砂

  ※

昨日までわたくしは海の中におりました
かつては地 ....
お縄にかけられた女の姿を思いだし
娘は静かに下唇を吸った。

宿下がりのたびにあのおぐしを勝山に結うたはわたし。
江島どの、
かほどにあの男が愛おしうござりましたか。
さればわたしも。
 ....
かわらぬひがよどむ

みずのそこへ

ふかく

しずむ

なくこえも

わらうこえも

もとめるこえさえも

とどかないほどふかくしずむ

ただおわらないいのちのしるし ....
小銭をじゃらじゃらさせてる
オジサンは
時代は買えないが
切符は買える

路線図に目を凝らしてる
オジサンは
時代には乗れないが
電車には乗れる

ホームの端で背中を丸める
 ....
そっと抱きしめてよ

あんまり強く抱かれると

心がジンジン痛いから
アセチルコリンが足りなかった。

君に心はない、とお前は宣告される
君は脳にも血が足りない

焦ったお前は青ざめる。
蛇を殺して血を飲むべきだと考えた。
だけど飲む気がしなかった

 ....
車に轢かれた「ただいま」があった
この持ち主はきっと
今頃帰る家がわからなくて
公園のベンチに体育座りしているのだろう


蒸し暑いこの季節になると
「ただいま」がそこいらで車に轢かれて ....
最近、我が家ではトラを飼う話が続いている
母さんはもうはしゃいじゃって
名前はなんにしようかしらって
スーパーのチラシの裏に訳の分からない名前
いっぱい書いてる
父さんは麻酔 ....
手元にある一枚の写真
空はモノクロ、
下のほうはほとんど黄色

真ん中を女の子が何気ない顔で走ってる

赤毛のアンみたいな格好で
麦わら帽子に
色のうすい髪
一枚のエプロンみ ....
もがいている結果が
生きていくのと反対のことになり
白黒の写真にしか写らなくなる

道を狭めようとするなど
やはり愚かだ
何本も持とうとする者に
盗られたとなっても
しがみついて離さな ....
あふれてくるよ
書きたいことが
洪水のように

『超伝導』

『日記療法』

『窓辺の決意』

何を書こうかな?
どれから書こうかな?
温存していた言葉達に
早く日の目を当て ....
いつも、つねに
私の体を流れる
“冷たい風”

どこから
吹いているかは、分かる

北 でもなく
ましてや 南でも ない

私の心の暗闇から、だった


二度と還りたくな ....
恐いんだな。僕は。
3年前、知り合いが死んでしまったんだけど、
それは何の前触れもなく。
僕は彼の顔も覚えていて、
いい人だったことも覚えているから、
ただ、なんで、と思った。

僕の体 ....
猛吹雪

夏なのに

真っ白け

景色の方?

頭の方?

何も見えない

何も見たくない

頭脳回路をシャットアウト

浮いてる?

そうかもね。



 ....
(1)

明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
幸せになるために
不幸が少し
足りませんでした

不幸になるために
少しの幸せも
いりませんでした

それなのに
幸せになりたいとは
誰ひとり
言いませんでした

幸せになる ....
いくらでもある
吐き出しきれないぐらいある
それにとらわれて夜も眠れないこともある


水滴、集中豪雨と雷光
ガラス越しに映るだけだから 怖くない

どころか
向こう岸の出来事に ....
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