ジグソーパズルの
欠けた1ピースが
見つからない
左目をなくした
モナリザが恨めしそうに
見上げている
完全であることに
恋焦がれる病が
再発したらしい
散らかった机 ....
人形を捨てようとしている人に出会った
少し古めかしいフランス人形だけど
愛くるしい表情をしていた
捨てるのなら 私にください
と お願いしたら
いえ 収集車に放り込まれるま ....
一組の対句が
狛犬の像さながらに鎮座しているのを
ベンチに掛けて眺めている
だがその奥に控える本堂はどうだ
冷え冷えとした静けさは
推敲を重ねられてゆく
....
闇を彩る星たちは
静謐(しず)かな炎を纏い
熱き魂の唄を奏でる
遙かな月に手を伸ばす
掴めぬ あなた
信念(まこと)抱き 何処(いずこ)へ
涙は光の絲(いと)となり
切なさと恋し ....
大きいパナ○プを買ったら
ホワイトチョコがちりばめられてて
「ミルフィーユの様な食感」だとか何とか
{引用=
チョコを食べたら鼻血を出すので
最善の注意を払って
パキパキと音のする
....
そういえば
姉の名前は
梨の華と書きます
はじめての孫に祖父が名づけました。
昨日の午後に
私はのこぎりを持って
全身を使って
梨の枝を切り落としていました
父と一緒に
....
地震
崩壊
揺れ
一度は死んだという思い
希美子、幸司、靖司
混乱
信頼
マンボちゃん、知沙
揺らぎ
ターハイ
イッチャン、ニチャン、サンチャン
巻き込みあいながら
ひとつとし ....
110729
朝が早い
草の息吹を聞きながら
根本を這う生きものたちに嫉妬して
火炎放射器をぶっ放す
燃料が無くなり
あたりはうっすらと黒こげになっている ....
放浪の俳人・種田山頭火の、
昭和8年(1933年)10月15日の日記。
私は酒が好きであり水もまた好きである。昨日までは酒が水よりも好きであった。今日は酒が好きな程度に於て水も好きである。明日は水 ....
きのうおれは
わるいことを思った
じぶん中心
きわまりないことを思った
そんなじぶんを憐れみ
さげすみ
困り果てていた
やっぱり限界だった
(いま起 ....
〈その1〉
乳首の無い乳房をどうすれば良いか
それは一体何になり得るか
これほど寂しい物体はない
これでは彼が愛撫を飽いてしまい
―― この上で赤ん坊は死ぬのだろうか
そんなの嫌だ
そし ....
暗闇にいのちを
おもいっきり
ぶつけて
しまい
たく
なっ
て
それを静かに
ざわざわ見つめている
ぼくはあの誘惑にとりつかれている
こころが溢れだして
収拾がつかなく ....
真夏の図書館では
人の歩く音や
本のペエジを開く音
キイをならす音などが
美しく
混ざり合っている
サリ サリ サリと
新しい音を作っている
サリ サリ サリ サリ
キリ キ ....
あたしがみる夢は
いつも
途中で真っ黒になる
それは空から突然
真っ黒な布をはらりとかぶせられたように
やっと 電話が通じた途端
やっと あの人が現れた途端
やっと 抱きしめられた途 ....
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす
ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
再び僕等は、ヴェールが落ちるのを見る。
いつも目にする当たり前の風景達が囁き始める。
新しい星空が僕等をさし招き
魂は更なる旅路を、歩むだろう
世界は僕等のまわりで
新しいサー ....
跛(びっこ)をひいた男が独り
本屋の軒先を横切る
そこが本屋の軒先であることなど
全く意にも介さず
杖をついた老人が本屋の中から出てくる。
一冊の本を購入するでもなく
じっくりと日課の ....
き、き、
夏空にもくもくと湧き出した巨大な雲たちの間に間を、眩しい白の半袖シャツを着た大勢の子供たちがまるで天使のように飛び交い、
き、き、
炎を混ぜた白い煙をさかんに吹き出す二階建 ....
夏の湖
やや曇る空を見上ぐるしばしの間魚跳びはぬる夏の湖にも
三上山かすむ彼方は雲おおくどこまでつづく湖のひろごり
人の身に災いおおくせまき門入りゆくごとく今日も歩めり
あなたのことが心配で戻ってきました
と言う男がいて
へっと思った
あたしは
その男のことをそのとき初めて見たのだけれど
まるで ずっと昔から知っているようなふりをして
腰のあたりで ....
100歳の詩人のまつ毛には、虹が架かるらしい。
「涙が出さえすれば、虹になってるんです」という。
ふしぎがりの詩人 まど・みちおの映像をテレビでみた。
「自分のここ(まつ毛)に涙、小さい虹が出て ....
人は何故、殺すのか
人は何故、殺せないのか
普通の者は
殺される側への意識的感応で踏み止まる
が、普通の人間も
対象を下位に置く精神操作なしで、人は殺せるのだ
相手を敵、脅威と見做さずとも ....
あなたの轍を見つめながら歩いていた
自転車に乗ったあなたのこころを感じていた
すべてがあなたを守るためだけに
存在している、ぼくは邪魔なの?
帰りの電車でとなりのひとが
....
ママは ついに
短パン タンク
にゃんも
もぞもぞ
おなかなめ
ぬいぐるみの
ファスナー
探してる
シャーっと
脱いで
でておいで
小さい
おじさん
会え ....
八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか
昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
洗い桶に沈んだ
果物ナイフで
指を
つうっと切ったような
昨日の サヨナラ
百日紅の咲かない夏という小説を読みながら
ことしの蝉は鳴かないことに思いあたった
鳴かないどころかぼたぼたと地面に落ちている
地震のせいなのだろうか
それとも放射能だろうか ....
ブレーキかける
下り坂
スピードつけて
おりてもいいが
無駄なちから使って
失速させるもよし
苦しまぎれの
上り坂
後退しては
またのぼり
ぎりぎりいっぱい
出すちから
....
京の街中に引っ越してきたのは
師走に入った頃でした
世間も僕も慌しい頃でした
東向きのベランダの彼方には
百年の風雪に耐えてきた
銀瓦の低い峰々が連なっていました
午後の北 ....
「リサイシャです。」
突然の呼びかけにハッと顔を上げる
カウンター越しにその女性は佇んでいた
小さな女の子を二人連れている
一瞬 何と声をかけようか戸惑う
胸の底に沈殿している ....
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