薄くゆるやかな隙間から
見え隠れする姿
ひそかに映る白い笑みは
今何を語ろうと
かたくなな心そのまま
やわらかな羽衣に包み
両手から
そっと空へと放つ
わずかにそよぐ風と
ま ....
つるつるして光沢のある
金属性の空を
黒ずくめの
鋭利な男が
静かに切開する
美しい処女の血が
あふれ出す
みな恍惚の表情を浮かべ
死に絶える
栄光の
オルガスムス
太陽は
....
泣いた日
左手が動かなくなった日
ボケットに突っ込んだ手を
先生に注意され
からかわれた手と
庇われたことが恥ずかしくて
泣かされた日
泣かされた日
いつも庇ってくれてた友達が触っ ....
私がホームセンターで
百五円で買ってきたアリッサム
少し大きめの鉢に植え替えて
ベランダの日陰に置いた
毎朝少しずつ水をあげて
眺める
心の中で「おはよう」
少しエネルギーを貰えた気 ....
草むらに寝ころがった
ふたりで
もう
なんにも考えずに
この
ゆるい風に吹かれて
しばらく
うたた寝しようよ
春の気配を感じながら
皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿
必死
倦怠も必至
体を溶かしながら
皿
もう
くすんだエプロンで拭いてしまう
思考の発酵は
かなわず
退屈の余地は
ない
....
壮大な大地に根をはり
幾通りの風と
幾重もの雨と
幾千もの時を折り
四季を労い
生命を見届け
雲に平和を
星に安らぎを
月に癒やしを
それぞれに祈りを捧げ
老木は
廻る刻みの光と影に
こんこんと沸き立 ....
その雷は
曇天を引き裂き
暴風雨を引き連れて
街は
次の雷を
静かに待っている
悲しみ
悲鳴を伴って
わたしは
それがくるのを
あきらめて待っている
自由に奔放に伸びる
風のようにしなやかで
たくらみがなくて
照明が音楽が掻き乱す空間
リズムに身を捧げて
縦横に駆け巡り
空間をその身体で
象ろうとするように
きっぱりとした動 ....
「愛していると思ったのは錯覚だった」
そう言って別れを告げて
逃げるようにあなたの前から去った
許さないという留守番電話のメッセージ
それが最後に聞いたあなたの声だった
電話番号 ....
地に根をはって生きる
ということはない
アスファルトの厚みほどの
喪失がある
それでも
浮遊する心を抱いて
在り続けようとする意志に
命の根を見る
私達は
花のように
咲く ....
そばに
空を映す
手鏡の面
扉のない部屋の中で
人知れず
鳥になる
面の中を
千年の時の重みに耐える私が
飛び去って行く
誰もいない部屋の中で
温かな記憶が
私を探し ....
年を重ねれば
味覚も変わる
『美味しい』と
感じるのは
私の中の
時間がながれた証拠
ねぇ、死んじゃったら
なにも見れなくなるんだよね?
なにも伝えられなくなっちゃうんだよね?
そこには、なにもなくなっちゃうの?
なにも残らないの?
天国にいくの? ....
朔太郎さんよ
あなただけだ 分かってくれるのは
誰も僕の気持ちを分かってくれない
なにを話しても無駄だ
あいつらは僕のことを馬鹿にするが
馬鹿なのはあの汚らわしいあいつらの方で
それ故に僕 ....
約2年、私は欝で精神病院にいる。
3回の入退院。
ここでの暮らしは快適だった。
全室個室で
プライバシーはしっかり守られている。
誰にも惑わされない。
(自分以外は、ということなの ....
ゆきよ、つもれ
自分で自分を
追い込んでる
そんな気がした
雪の降った、日
さよならを、待ってるの?
追ってくる、影
掴まれた、腕
黒い感情
....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先
あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
私は流れてゆく
水のようになめらかに
時には{ルビ滔々=とうとう}と
時には穏やかなせせらぎになり
私に映るのは雲の流れ
陽のきらめきがいくつも反射する
あるいは透過して泳ぐ魚の群 ....
、の入口に従えたのは、その言葉が正しいと思えたからだ。
だから不安と向かい合って椅子に座った。
クッションに針が仕込まれているなどとは思いませんし、仕込まれていても構わない。
この言葉が真 ....
人に命が宿る時
神様の手により
その頭の中に差し込まれる
天より伸びるプラグ
その幾つかを
神様は差し間違える
人の頭に差し込まれるそのプラグは
膨大な数にのぼり
人の頭の中の配線は ....
時々
無性に
ラーメンが食べたくなる
蛍光灯を映して
きらきら光る油
立ち昇る湯気
スープを引き連れて
手繰り寄せられる麺
あぁ
ラーメンが食べたい
牛カルビを箸で持ち上げる
タレにくぐらせてご飯の上に乗せる
口へ運ぶ
あっさりとした旨み
歯ごたえがあるようですぐに消えていく
油っぽくはないと
半分ほど食べ進んでから気づいた
乳臭い旨 ....
カウ・ボーイがあたしに言った
「忘れ物だよ」
あたしは
忘れたんじゃない
わざと置いていったのだ
もう
いらないから
「よかったら
あげ ....
皿の上に不恰好な卵焼き
違うようホットケーキだようと
いもうとがきゃんきゃん吠え立てている
味は悪くないぞいもうとよ
頭を撫でてやると
子供じゃないんだからと言って
手をぽんと払われた ....
いたい
と 君が言って
いたい
と それを何度も
くりかえすうちに
いたい
は ちいさなけものの形になって
遠くへ走 ....
ねむいのか まぶしいのか
わらいたいのか よくわからない
とにかく目を細めて見ている
爪は色を置いたよりも
きれいな色を
しているし 空も意外と透明度の少ない
くっきりとした色をしている
....
真夜中のベランダで
ぼんやりと
星を眺めながら
洗濯物を干していると
昨日すべてを
吹き払った
風のなごりが
夜空をそよぎ
よれたTシャツが
かすかに揺れる
季節はずれ ....
待合室の本棚で
文脈が所在なく足を抱えている
現代の錬金術師が白衣を着込み
セロトニンとドパミンを調律する
部屋の隅々まで描いた木は私は統計になる
意識が目の裏と舌の上で目まぐるしく動き
....
雨の音と
エアコンの音が
重なりあう
夢の汀
目を閉じると
海が見える
砕け散る
水晶の波
泡立った
真珠の泡
深い深い
青に吸いこまれて
夢か
現か
深い夜の
反対側では
きっと
誰 ....
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