孤独のしくみ
小川 葉

 
 
 
部屋のしくみ


部屋の壁に
エレベーターがある

時々音をたてて
上がったり下がったりしてる

今日は僕の階で
ドアが開いた

まだ誰も乗ってなかった


+


窓のしくみ


窓の外から
覗いてる人がいる

その人のことを
僕はよく知ってたし
知らないことも多かった

今日は窓の外から
中を覗いた

まだ知らない
僕がそこにいた


+


天井のしくみ


朝目覚めると
天井を
無数の鳥が飛んでいた

青い空、白い雲
彼らは家族なのか他人なのか
誰も気にしない

今日僕は
群れの中に生まれた

家族の意味も
その価値さえまだ知らずに


+


孤独のしくみ


部屋の隣に
病室があった

面会時間は過ぎてるのに
孤独の気配はなかった

今日は鳩の鳴き声で
目を覚ました

何事もなかったかのように
病室は消えていた
 
 
 


自由詩 孤独のしくみ Copyright 小川 葉 2008-08-01 00:39:21
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