最後の灰が落ちる時
佐々木妖精

たばこ
それはヒトを好戦的にする
きつえんしゃ
は 非人道的存在だ
でなければ旅先で 略奪などするわけがない
虐殺者の大多数が 愛煙家なわけがない
ああ幼子を傷付けたくない一心で
花火すら買ってやれない

これは歴史の敗北だ
これは知識の弊害だ
香水で肺を満たし
しみるほど息を吐き
とーさんくさいといってやろ
かーさんたすぽでだんをとる

私は煙草を止めるだろう
死んでこいと声を震わせた 曾祖母のように
あるいは英雄に酔いしれた ドイツ人のように
私は戦争を止められない
バブルとやらには拍車をかける
そのような仕組みで止めるのだ
代わりの葉っぱは見つからないが
煙なら雪の中 うんざりするほど吐いてきた

これは野性の証明だ
もうすぐ彼は剥製だ
全くもって予言者筒井
全くもってまだ獣
俺だって火は怖い
だから錠剤ばかり噛んでいる
無臭の苦味に麻痺しているが
脳を病むより余程いい

最期の灰が落ちる時
最後の煙を撒き散らす


自由詩 最後の灰が落ちる時 Copyright 佐々木妖精 2008-08-01 21:49:06
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