「北極星のあたりを中心に飛んでいるのは
アルビノの不死鳥だよ
青白く燃えながら飛んでいるね」
もし 隣の人が突然白昼堂々北の空を指差し
そう言ったら すこし驚くかもしれない
けれど ....
【債】
抱えてる負債のことは気にならぬ彼を抱いてる夜君思う
【念】
奥さまは記念切手コレクター生きる喜び23日
【迫】
迫り来る得体のしれない暗闇に飲み込まれそう誰か助けて
【 ....
熱帯雨林の奥深くで
一本の樹が音もなく倒れる
遠い北の冬の海で
雨は海面を音もなく叩きつづける
彼が深夜 唐突に眼を開けるのは
そのどちらかの音を聴いた時だ
その瞬間 眼は闇の漆黒しか ....
好き という気持ちは
天使ではなく
悪魔が運んでくるのかもしれない
この胸の痛みは
鎌状の針で
突かれているからだ
思いもつかない
衝動も
悪魔とは
悪さと書くが
....
経験という鍋の中で茹で上がった
卵の殻を剥くように
お前の理性や
潜在意識を
一枚 一枚
ひとかけらずつ
はぎ取っていって
その むき出しの魂を
この手の中に 見つめてみたい
白く ....
あなたという詩集を読む
ページをめくるごとに
あなたは姿を変える
それは紛れもなくあなただ
湖面に張った氷の下で
微かにあなたの体温を感じている
あなたはぼくをぎりぎりまで追い詰める
....
倦怠は ぬるい酸のように
この肌を 柔らかく溶かしていく
このバスタブから 立ち上がれば
街の風が 洗うだろう
むき出しにされた 俺の白いあばら骨を
カルシウムで出来た 籠の網目の隙間か ....
たぶん、枯葉を踏んで
(小気味良いステップで)
たぶん、あなたの森を歩く
あなたの匂いがする森は
いつかどこかで歩いた道
頬を寄せると風が囁く
おはなしをしよう
ブランケ ....
繰り返し繰り返し繰り返し
映し出される自然の悪意
抗らうことも無くそのまま流されて行く
多くの生命 一体地球何個分の生命が流されて行くのか
繰り返し繰り返し繰り返し
流されて行く ....
今日という船が
昨日という川を流れていく
川の水源には産声があり
川の果てには海がある
だから海は
あんなにも大きくて
少し悲しい
わたしのオールは細すぎて
川の流れは遅す ....
爪先を照らす灯
橙色の夕げ
人差し指の先にあった虹
やわらかな心
堪えきれない笑い声
愛しさ故の毒舌
埋もれてみよう
そんな何気ない日常の中に
繋いでいこう
大切なもの一つず ....
美しい人でした
骨になった その人は
けれど
骨になった その人を
もう わたしは その人だとは呼べなくて
いただいた ブローチこそが その人
水引細工
結びの花 ....
どうして君が死んだの
ずっと問い続けている
どうして君が選ばれてしまったの
ずっと考えている
もっと聞きたかったよ
夢の話や 今作っている歌のこと
昨日見た映画の感想や ....
自分が世界でもっとも惨めな
女のひとりに思われる
日
理由はって?
捨てた子に捨てられて
犠牲を払って拾った男は
h,,,,,でs,,,,,,でD,,,,,でf,,,,,
こいつ ....
うすっぺらな
アスファルトを剥したら
今も蘇る
ブリキの街
白く錆びた娼婦の肌が
うすい庇の影に
やさしく溶けて
ぼくを呼ぶ
はだか電球ひとつ
布巻き電線が這う天井
タイル ....
?
玄関扉を開け左壁面 家で一番大きな鏡がある。
その鏡は 不可能な空間ではないが、出入りする者の体全体を映すだけでなく、家全体を裏返す。
鏡の中に空間があるのだが、その空間に誰かが住 ....
雑踏の中 ふいに涙がほほ伝う
このままここで 倒れ伏してしまいたい
どこも病んではいないのに
心の痛みに耐えられない
何もないように笑っているあの人でさえ
胸の中には多くの悩みや人々を抱え
....
幾度か巡ってくる夜に
海になりたいと願う
十六夜の月など見たことがないのに
叶わぬ永遠を願っている
いつかはあなたの海になって ....
生真面目な絆の国の小市民の仮面
の下には
逃げ足だけが速いご立派な大人の仮面
の下には
空気より希薄な辛うじて世帯主の仮面
の下には
コップ1杯でクダを巻ける安 ....
ふゆ
ただひとりの
さまざまないろ
さまざまなひかり
ついばむひと おもいはらはら ゆびおり消えて
積もり
かさなり
かけひき
そしらぬ目をし
つまさき立ち からころり つち ....
ただよう雲
なびく風
うなだれる向日葵
生きているよ
話しかけられた気がして
ただようぼく
なびくぼく
うなだれるぼく
生きているか
軽く肩をたたかれた気がして
地平 ....
かがり火が灯る冬の夜
どこかで
誰かが泣いています
寒々とした出窓に置かれた
ピエロのオルゲエル人形
1ミリたりとも動くことはありません
ネジを巻かれたのは
いつだったか
もう思い ....
貧しいひとの手はなぜか淋しいかたちをしていて
貧しいひとの目はいつも悲しい言葉をさがしています
(本当はとてもきれいなものを求めているのに)
そう、
雪降る夜の冷たさは震える指を動かし ....
去年の九月に赤い薔薇と葬った
人の墓に今日もまた
花の一束と共に言葉を捧げに来た
少女は途方に暮れる
一面の雪の上
去年が埋もれてわからない
地図の無い一日
悲しみは道をしるべを失い ....
政治に詳しいわけではない
選挙も行ったり行かなかったり
本当は行かないことが多かったけれど
ラジオで聞く国会中継は
結構好き
政治家は同じ演技しかできない
その劇場でしか使ってもらえな ....
湿度の無い風景
明るい日差の中に存在する
明瞭な輪郭をもった影
光量の多さが影に
黒の濃淡を作る
冬の日差を描いた絵画
影は濃淡ではなく
長さを主張する
どこまで行って ....
一羽の鳩が飛んでいた
わたしの乗る列車を追いかけるように
無機質な四角い窓枠のなか
黒いコートの肩越しに
羽ばたき続ける
白い鳩の
翼
※
線路を渡る架線を巧みに避けて ....
訪ね来る甥姪ばかり伸び行きて輪転のごと新玉の侘び
年々に家は古びて絨毯も煤けまろうどはしゃぎごえ減る
黙然と高校サッカー観る兄の肩幅のみが去年と変わらず
嬉々と再た愚痴吐く姉の大病と幸を思えば腹 ....
まだ生きることを
諦めていないことをテストするかのように
困りながら
めんどくさがりながら
闘志を剥き出しにしながら
ひとびとが
幸せに幸せをかさねられることを目的 ....
花咲くその日待ちのぞみ
色づくつぼみふっくらと
ゆるり花びらほどきます
寝息きこえる夜明けまえ
白きひかりにつゆた ....
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