無防備
1486 106

不器用なほど優しい君は
人よりも多く涙を流す
その滴を拭うこともできず
僕は何度も唇を噛み締めた

武装した人々で溢れる町
妥協・諦め・偽り・無関心
履き違えた強さを抱えて
一体何と戦っているの?



不器用なほど優しい君は
人の苦しみまで背負おうとする
華奢な体があげる悲鳴に
僕は何度も耳を塞いだ

武装した人々で溢れる町
苛立ち・焦り・不信感・反発
必要もないのに銃を構える
一体何に怯えているの?



強くならなきゃ皆口々に言う
僕も強くなりたいと思った
だから護身のためと言い聞かせて
使い慣れないナイフを手にした
すると君は笑ってこう言ったんだ
戦うことでは何も救われないと



不器用なほど優しい君は
気付かれないように涙を流す
本当はきっと君の方が
僕よりもずっと強いんだろう


自由詩 無防備 Copyright 1486 106 2008-08-02 01:19:03
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