すこし涼しいね エマさんがささやく
たしかに風が吹いている 夜からの風だろう
もう七月で冬の足音がきこえてくる
いろとりどりの十字路 ここは見晴しがいい
少し背伸びをするだけで
100キ ....
ゆきすぎた夏のよこがおを
どうしても思い出せない
急行に揺られて
日よけを半分だけ降ろす
だれもいない改札で
追いかける風は
やさしいだれかと
海のにおいがして
すれ違う夏のよ ....
世界は少しずつ変わろうとしている
やわらかな春から夏に
秋に冬に変わろうとする様に
永遠があるなら見届けたい
どこに向かうのか
何を選び
何を置いていくのか
曇り空の向こうの太陽は相変わ ....
もうだいぶ短くなった青鉛筆を
今日も必死に削っている
先を細く細く尖らせなければ
気がすまないんだ
そのくせ
極度の尖端恐怖症なものだから
どれほど尖っているのか
目で見て確かめることも ....
1.
すき
きらい
どちらでもない
ひとひらの
花びらを海辺にすてに行く
指先が君を呼びかけていて、長袖を捲ることが
できない
もう知ってるんだ
この先で
海辺の声 ....
蝋燭が
消えそうになると
まだ燃えている
知らない蝋燭がやってきて
消えてしまう前に
やさしく火を貸してくれる
白く溶ける
蝋を流しながら
傷跡のように
それは残る
....
どうも顔がムズムズ疼くので
慌てて顔を洗って鏡を見ると
目と鼻と口と眉毛とえくぼが無い
耳も少し消えかけている
顔をごっそり洗い落としてしまったらしい
でも見える
鏡にに映る自分が
....
何をおもい
何をみつめ
紅が
雲をとらえ
空が
紅を受け入れた
同化していく地上に
根を張り
弱ささえ伺えるような一輪
それなのに深い桃色は
紅に包まれてもなお
奪われることなく凛と成し
魅了して ....
*
あの日、父さんは
僕に拳骨を一つくれた後、
西瓜を食べたいな
って、思ったら
ちゃんと言いなさいと
悲し気な顔をして
溜め息を一つついた後、空を見上げて…
確かに、
クスッと笑いを漏らして ....
郊外の電柱林は、中小ビルと畑があって
互いに異なるプロトコルでネットワークにアクセスしている。
電波洪水が起きても、ただの雑音だから無視されて、ゴミ箱に捨てられた。
少年は耳を雑音に ....
青空 曇り空
茜空 夜空‥
コロコロ変わる
止まらない
コロコロ変わる
留まれない
どの顔も
みんなどこかへ
行っちゃうんだ
ずっとココに居る緑色の僕にはよくわか ....
守り
支え
寄り添う
金色の羽根で
そよぐ光と熱
つがいで在ることを望み
隣に在り続けることを選ぶ
背中の愛をヒラヒラと
緑たゆたう木陰のほとり
ブランコが揺れる光景のような
優しい風が吹いている
....
第三軌条だなんて
レトロフューチャーで
スタイリッシュな言葉
第三軌条に流れる電流は
架線に準じた強さ(で危険)だから
壁際を走る軌条は駅の手前で中央に移る
かつて走っていた旧型車 ....
私らは
あなたの為に
集まった
何年振りか
何十年振りか
集まった
微動だにせぬ
あなたの為に
何も知らない
あなたの為に
思い出す
夕暮れの微笑みは
私の為ではなかっ ....
080726
古い手紙は燃えるゴミ
新しい手紙は来ないから
Eメールのフォルダーは
後腐れ無く消去する
古い機械を粉々に
古い情報を粉々に
手品の ....
雨はいつだって突然に
感覚を刺激する
懐かしい音に
身動きが
――…取れなくなる
夕方の雨は
だめだ
カーテンレースを握りしめた
手の
震えが治まるまで
アスファルトを叩く ....
もやのなかのきいろいひまわりたちみたく
呼吸する
はりつめていく明け方の透明の空中に
うでをまっすぐにのばしました
旗ばかりがばたばたして「これが本当の自由」なんだなって
コンビニのコピー機 ....
南の低いところに
朱い月がまんまるく
すこし離れて花火の明滅
幼な子に花火について語る
それは物足りないリレーのようだ
ベランダから花火を見つめている
わたしの ....
彼がやるのは衆勢に網をなげること
粗い網目の投擲部隊
撒き餌を大魚が食いさらい
ガハハ大漁じゃあ!
と彼は酒を飲む
雑魚は網目をすり抜けて、
沈殿した海底でこぼれた餌をたべている。 ....
無数の
とがる
痛み
その
記憶
の
うずきを
かさねられた
豊穣の
日が
咲く。
ぴらんぴらん
ちらんちらん
きらんきらん
ガラスの
ちいさな
鐘の音。
銃声が鳴り響いたもんだから
運動会でも始まったのかと思い
颯爽とクラウチングスタートを決めたんだ
だけど走ってきたのは兵隊さんで
銃口をこちらに向けるもんだから
慌てて草群に逃 ....
私はお菊人形
白い面(おもて)に紅をさした唇
長い髪を粋に結い上げ
ハイカラな着物をまとった人形
自分で動くことはできず
いつでもご主人さまの
....
夏が
色をうしなって
いきます
羽衣を着た
あの人が
人であった頃
眩しく
消えていきました
白く輝く
光のまま
焼き尽くされて
まだ
ここにいます
汗をかいたので
洗濯して
ベランダに干す
ここは海が近いから
命の
匂いがする
書店で本を開いても
どれも白紙なので
選択は
できなかった
もう
言葉などいらな ....
どうしょうもなく渇いてしまえば
身軽になるものだというように
からから笑いながら波打ち際の
空き缶の口元を叩く
浜辺の砂
※
昨日までわたくしは海の中におりました
かつては地 ....
お縄にかけられた女の姿を思いだし
娘は静かに下唇を吸った。
宿下がりのたびにあのおぐしを勝山に結うたはわたし。
江島どの、
かほどにあの男が愛おしうござりましたか。
さればわたしも。
....
かわらぬひがよどむ
みずのそこへ
ふかく
しずむ
なくこえも
わらうこえも
もとめるこえさえも
とどかないほどふかくしずむ
ただおわらないいのちのしるし ....
小銭をじゃらじゃらさせてる
オジサンは
時代は買えないが
切符は買える
路線図に目を凝らしてる
オジサンは
時代には乗れないが
電車には乗れる
ホームの端で背中を丸める
....
そっと抱きしめてよ
あんまり強く抱かれると
心がジンジン痛いから
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