ありがとうと
いう気持ちになって
流れる涙は自分の
汚れをとる
空気に蒸発して
生命をけずる
それが宿命ならかまわない
どんなことをいったって
突然わかるの
ありがとうといいたくなる ....
ハイネケン飲みながらストライクとばす。
ストライク、ストライク、ストライク、ガーター、ターキー、ターキー、ストライク。
祖母の七回忌の知らせを知って、
自分が引きこもり始めて七年経つ事を ....
魚屋の片隅にあった目薬を買う
お店の人と角膜や水晶体等について
少しだけ話した
すぐ側で魚介類はそれぞれに
幸せそうな形で整然と並んでいた
それから帰りの駅ではお腹が痛くて
膝 ....
桜よ 桜
無言にさらされている春の
中に命を芽吹かせる木々たちよ
人の驕りの根はいつの
どこから生まれてきたものなのか
知らない時代の
知らないこころの
中に繰り返される盲目 ....
長い鈍痛が
背中に続いていた
ダラダラ脂汗が
額にうかぶ
誰も、妻さえも気づかず
ただ一人
わたしは苦しんでいた
わけがわからない
きっと大病
ちょっと待てよ・・・
この痛み
....
おとこはよるに
ねむれぬよるに
ひとつ便器を
みがくのです
まあるいおんなを抱くように
できそこないの陶器を愛でるように
裸電球のよる
おとこは奉仕するのです
そうして ....
>夜がわたしに降り注いだ。
それは思念として漂うわたしを取り巻き、大きな渦になったかと思いきや
急速に血肉をつけ、むくむくと膨らんでいった。
くるり、ころがる。ころがれば、すべてが曖昧に都合 ....
どうして涙がでるのだろう
水に戻ると書くように
海から生まれた僕たちの
からだの中の塩分が
外へゆこうとするからなのか
どうして涙がでるのだろう
広い世界のかたすみで
こんな ....
何処かに残っているはずの
理想の欠片が見つけられない
繋がっていたはずの
天球の波動が感じられない
現実的だったはずの
予感は思惑を外れて宙に浮いた
身近に感じていたはずの
神の息吹は遠 ....
発音法は本で学んだ
息をはくとき、のどをふるわせ
音をつくる
これがなかなか難しい
僕の場合、17日間つづいた夜のおわりに
はじめて成功した
口とのどをひらいて アー
口をすぼめ ....
ふるら
ふるり
舞い落ちる
薄紅色の憂鬱に似たもの
らるら
るるり
鼻先で笑う
どちらの岸にも辿りつけないもの
うるら
うるり
降り注ぐ
乳白 ....
すこしぬるい冷たい風
くるまが横をすべってく
電車のおとがつれてゆく
ふつうに夜桜さいている
コンビニ袋ちりちりちりちり
なんでこんなに悲しいのだろう
知らぬま ....
したをむくことも
たいせつだ
うえをむいてわらえる
そのときのために
うえをむくことも
たいせつだ
したをむいてかなしんだ
そのときを
わすれないために
....
疲れた時に疲れた事を疲れたと
言える場所が欲しい
嬉しい時に嬉しい事を嬉しいと
言える場所が欲しい
悲しい時に悲しい事を悲しいと
言える場所が欲しい
静かにしたい時に静かにしたい事を静かに ....
この風に
のって走るなら
きみの元に辿りつきたい
はかない
きぼうと花びら
めぐるきせつを一緒に
いたいだけ
いたいよ
きみからの電話
何もいえなくて
恋になった
呼び方ひ ....
遮断機の棒が塞いだ
目の前を列車は瞬く間に走り抜け
突風に泳ぐ前髪は、唄い出す
{ルビ焦=じ}らすように長い間道を塞ぐ
赤ランプの音と{ルビ邪=よこしま}な棒が上がる迄
....
呼んでいるのは誰?
ロマンスの予感に震えては
言葉にできない思いに
微妙に心は揺れ続けている
*
よーいどん!
ロケットみたいに飛び出そう
幸運は思いがけずやって来る
ビリケン ....
お互いの心を
ありもしない感情で
罵り傷つけ合い
次第に二人の間に
冷たい空気が
椅子を持ってきて
座り込む
空を見ると
大好きだったはずの
あなたの顔に似た
黒い ....
避難区域からわずか数歩の場所で
自営業を営む友人
屋内退避してちゃ飯が食えないといい
従業員を避難させてひとり仕事する
だれもなにも運んでこず
うちに蓄えたなにもかもが底をついて
とうとう ....
嫌いなものが沢山あるんだ
好きなものはあまりないのに
必要とされていないんだ
必要としているのに
ずっと独りぼっちなんだ
同じ地球にいるのにね
希望の背中に絶望がもたれかかって ....
あら
見えなくなってしまったの?
わたしは穴をふさいだ
そして、短い爪に真っ赤なマニキュアをぬってみた。
笑っちゃうよね
ひとりでいることは平気なのですが
ひとりに ....
今朝、傷ついた白鳥を見た。
その体にはコールタールのようなものがへばりつき、
身動きが取れないようだった。
遠巻きに五、六羽の白鳥が心配そうに彼を眺めていた。
彼の体の、どろどろにこびりつ ....
雲ひとつない空
地上ですら風が強い
空ではきっと誰も立っていられない
日陰の空気は金属のつめたさで
無防備になり始めた肌を冷やす
落ちぶれた冬の狂いかけた残酷
昼休みに弁当を
窓 ....
歪みを補正しようと
身震いした球体の表層に付着した
病原体のような存在が
界面活性剤に流され
漂う芥となり
大洋に流れ出す時
芥に染み付いた
悲しみと喜びと
誇りと落胆と
憎悪と ....
フリルの青いふちどり 透明な金魚鉢
陽だまりに腰掛ける 丸く揺れる水
雲の尾びれが覗き込み ひとくち
指に 甘くて白い 隙間が 落ち
金網を越えて 草の上 風枕にのぼせた
黒い小石を ....
めったに喋らない叔父さんが神さまのまえでの作法を教えてくれた
神社にはいるときは一礼せなあかんのや、
帽子はとらなあかん、叔父さんもジャケットぬぐさかいにな、
神社は真ん中歩いたらあ ....
僕は何も知らなくて
僕は何も覚えられない
そんな僕は
周りから捨てられ
見放されてしまった
僕は
力が欲しかった
物を覚えられる力
何かを知る力
そして手に入れた ....
君のこと愛しているよ
って
叫べるほどに誰かを愛したことあったのかな
*
おとこの子
男のひとを「きみ」って呼ぶ
私に似合わないのは判っているけど
敢えて、そう呼んで ....
気になる
と いうことは
まだ
心 が
残っている と
いうことなのだろうか
深夜まで
足跡を読む
理解しきれない
文字たち
脳裏に残る
モノクロの横顔
....
この像もまたなにかのものまねをしているのだ。
ここにいつまでもいたいと思った。
存在のものまねをする存在への、それは畏敬であるにちがいなかった。
重要文化財でもある東寺の五重塔は ....
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