テレビの電源を
オフにする
それだけでは
現実と私は切り離せない
と知ると
カーテンを開け放って
現在と対峙する
朝焼けも
夕暮れも
物悲しく過ぎた日の
言葉を吐くことを
一 ....
引っ越した家への帰り道には
お寺の門前と墓地を抜ける箇所があって
そこから先は急に夜が深くなる
歩いていると聞こえるのは
虫の声と自らの足音だけで
夜に包まれる心地好さを感じながら家路を ....
久しぶりに泣いた夜
涙のキレイな人ではないけれど
つかえて 込み上げた声に
本当の気持ちがまっすぐに流れた
剥き出しにした感情と
不意に笑いあえた記 ....
彼はいつも、四つ足を
ぴたりと大地につけている。
一体何が本当に
天から彼に
与えられたものなのか
ぢっと開いた丸い目で
夜の{ルビ静寂=しじま}を見抜く
蛙のよう ....
080910
夾竹桃に絆されて
ここまで来たのです
行きたい場所に
連れて行ってやると
いわれ続けて50年
もうこれ以上登れない
階段の先を眺め ....
この街は夜が早いので八時九時にはもう店は閉まりきる
昼のにぎやかな通りは明るい街灯を残し
ひっそり寝静まってしまうのだった
カップルの散策も終わり、客足もドンチャン騒ぎもなく
波の ....
重たいよ、重たいよ、と稲が鳴ります
生まれるよ、生まれるよ、と栗がもうすぐ妊娠八ヶ月です
うーーん、と心地よい秋風に、晴天が背伸びをします
ぐう、ぐう、と魚の雲を見たわた ....
祭りの夜は渦巻く貝殻
空はずっと青かった
水の流れをずっと聞いていた
草を噛むとたちまち苦みが
口なかに広がって 星が銀河が
水のように押し寄せて来る
あれは
ケンタウルスのきら ....
たまゆらぐ
あきのひとみで
草のなかにかくれた
君をきいている
何かにすがりつきたいふうな君は
細い、ほそい線になって
なまみの月を仰ぎ
永いときを抱え
ふるえる
{引用=
....
080910
幽霊が
ネギトロハンバーグを食べたいと
裏の畑を掘り返す
ネギは青い芽を毟られて
成長を阻まれた
なんという残酷ことと
幽霊を非難す ....
星はかつて人で
海はかつて宇宙で
ぼくはきっと蟻んこで
きみは
きっと
かみさまで
(命の軌跡をなぞるその指先が)
....
お人好しの楽天家を
気取ったって
些細な石にもつまづく
几帳面
後ろを向きながら
前へ歩いていく
ちょっと湿っぽい
僕らしき僕
典型的なO型気質を
なぞったって
大雑把な素 ....
その彼の面影に勝手な幻(りそう)を重ね
もし隣りにいても相手がどうしているとかは
空ゴト
その彼が生きてさえいれば
自分は要済みの人間とハンを押したくなり
消えてなくなりたいのに ....
心臓が集まるとファンタジーになる
初秋に夏をふり返る日
スパイスをスプーンいっぱいほおばるような
日常のすてきな刺激のような
心臓がより添うときを
見たような日
旅から戻ったベ ....
人の生を、単純な線にしてみる
すべての線が、平行に走り、交わることはない
それが孤独
すべての人が、もって生まれたもの
人は、人として生まれた
幾千の星が持つ固有のベクトルに似て、
すべて ....
私の想いは熱い
それはまるで
リアトリスの花のよう
この気持ちに
偽りはない
ただあなただけを想う
この淡い花に誓って
いつまでも ....
窓辺の四角い夜に うなだれた手をかざすと
しずかに風は
終わりの夏を打ちつけてくる
部屋中を駆け巡る息づかいは
いつもそこに置き忘れてあるから
死をつつましく夢の先に灯して
ただ耳を ....
子供の頃
日曜日になると
隣町まで習字の塾へ行った
習字よりも
塾をさぼって
町の本屋で立ち読みしたり
ゲームセンターでゲームしたり
そんな思い出ばかりが残ってる
ある日 ....
駅前の公園で
大人になることをまだ知らない僕は
彼女の帰りを待つ友達のふかした
煙草の煙を吸い込んで
萎れた茎のような心を直視してしまう
どうしようもないから
雲の多い夜空を見上げた
そ ....
砂に埋もれ
沈みそうに生きて
手の届く範囲の幸せを
ただただ全うする
あたりまえに生きることが
どうして
美しくないと
思っていたのだろう
みんなの中に居るか
「だれ ....
雨上がりの
ささやかな庭で
どうしても
名前を思い出せない虫が
りゅう、りゅう、理由と
鳴いている
僕は滞った雲に
力なく視線をあずけて
ありもしない
翼の付け根あたりを
かり ....
粗雑な人生の
粗雑な吹き溜まり
サヨナラ出来ない
このサヨナラ
茫々とした
ひかりと雲が
茫々とした
前途をてらす
粗雑な人生の
粗雑な吹 ....
何も見えない
何も感じない
それが悲しい
あの頃の私には「何か」が
あった筈なのに
現在(いま)は心が空っぽ
何も見えない
何も感 ....
孤独の質はおなじでも
住んでる世界がちがうから
かけらの位置はおなじでも
おたがい鍵ではいられない
涙の音がする
声の匂いがする
秋の風が
微笑んでぐるり ....
おとうとはアニキよりおとなだ
アニキのせかいを
おさないおとなの目でかんさつしている
アニキがうちでべんきょうしているのは
ぜんぶじゅくのしゅくだいだと
おとうとはそ ....
「自動販売機に並ぶ
ペットボトルの色水達は
どうも買う気がしないねぇ・・・」
そう友達に話した昨日は
蝉時雨の降りそそぐ
残暑に湿った一日でした
翌日一人で出かける僕 ....
<伝える>
ひとつの言葉に
ひとつの意味しか
与えられていなかったら
ちゃんと伝わるのかな
肯定と否定の
二者択一で
チャートを辿っていけば
簡単に真理に近づけ ....
080903
明日も良い天気
保障する
空約束と信じていたが
少し軽率すぎたようでした
宗谷本線
抜海駅で降りて
歩きだしたときは、よく晴れていて
....
湯船に浸かり
うつらうつらしていたら
突然誰かが部屋に入ってきた気配を感じ
バスタオル胸元に巻いて飛び出すと
消したはずのルームライトに薫る
わたしの大好きな秋桜のアレンジメントに
添 ....
ふとした瞬間に口ずさむ歌がある
桜並木道
夏の浜辺
満月の夜
大雪の庭
振り返ってみれば
いつだって僕の側には歌があった
埃にまみれた音楽の教科書 ....
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