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夜になってから急に
庭の倉庫に首を突っ込み
懐かしい教科書を次から次へと処分して
家の中に戻ったら
腕中足中蚊に刺されていた
それを見た母ちゃんは、言った。
「あんたはつよ ....
愛は、{ルビ脆=もろ}い砂の{ルビ塊=かたまり}
この手に掴もうとすれば
指のすき間から零れ落ち
{ルビ一時=ひととき}で姿を消す
優しい陽射しのこぼれる
窓辺の下にそっと置かれた ....
君は控えめに微笑む
今僕がここで笑ってもいいのかなって
君はそぉっと思いやる
おせっかいにはならないかなって
まだ
子どもの大きさしかない君は
その内側で
広 ....
そうしていつも、一つの愛は
踏み{ルビ潰=つぶ}された駄菓子のように
粉々に砕けゆくのであった
そうしていつも、一人の{ルビ女=ひと}は
林道を吹き過ぎる風のように
{ルビ昨日=かこ ....
呟く声が
布団に染みてく
手首を締め付けた痕が
言葉を打つ力を奪う
心臓から流れてきた
真紅の味がする
一体何故
ここで産声を上げたのか
ここでミルクを貰っ ....
曇り空に
夏が少し薄れて
鮮やかを誰かに譲った向日葵が
枯れた葉を恥じらうように俯いている
風に混じって遠い蜩の声が
髪を擦り抜けると
秋、と囁かれたようで
逝く夏に何か
何か ....
ねえ、コーマ
ひた走る夏がまたやってきたよ
クルクルと
額を通り過ぎる光の群れ
君は開け放した口で
笑うね
(笑う 笑う 笑った)
君は箱庭が沢山ぶら下がった
奇妙な棒をかついで
....
けだるい午後に寝転んでタバコをふかしてダラダラ
知らないうちに僕もオッサンになっていた
角がとれて丸くなり
少々のことでは怒らない
いつの間にか出来ていくサーク ....
電柱下の掌ほどの地面に
可憐な顔を寄せ集め
行過ぎる車の排気ガスに
小柄な身を揺すつてゐる
{ルビ菫=すみれ}よ
元来野のものであるおまへたちが
どうして
こんな狭小な場所に
置か ....
少年の庭に咲かれた一輪の花
匂われて
光られて
やがて散られてゆく
そんな花の花
の花の内側を醒ましてゆく
夏の繊毛
角膜
破瓜
少年は不安によって
空間を把握する
不安の立面に ....
{引用=
まるで見通せない
乳白色の霧の中
時折 虹色の燦きが
不安定な夢の充実感
あれは幸福なひと時だったのか
すぐ近くに 君がいたのを
知りもしないで ....
僕には、
{ルビ鈴香=すずか}、{ルビ京香=きょうか}、{ルビ由香=ゆか}の三姉妹がいました
{ルビ次郎=じろう}君は彼女たちと一緒に暮らしていました
彼女たちにはそれぞれ次郎君の子供がいて
....
海はまだ広がっているけれど
ぼくはもういらない
―窓を閉める―
室内が戻ってきて
マチスの絵がまぶしい
木椅子
ポトス
絵の中で金魚が{ルビ捩=よ ....
一.
俺の知らない赤で
雲が光の中で
死んでゆくんだ
今も
おまえの知らない青で
波が砂の上で
壊れてゆくよ
ほら
見ろよ
カモメの親子が今
俺 ....
千綿!
風が
燃えてる
僕らの
心のように
長い
カーブ
もどる
ことない
光の流れ
「時の王座」に
たどり着くまで
雨が
走り出す
焼けた
マシーンを
気 ....
ぼんやりとうつつの白い部屋のなか
時折降りてくる過去からのデュエット
驚くほどに長い時を越えて出会えた
浮き沈み漂うだけの魂よ
広く輝く未来への扉
開く勇気今日こそ ....
潮が引いていき
潮溜まりに一尾の魚が残された
魚の名は ユア
アユではない ユア
ぼくはユアを追いかけて
潮溜まりの周りを
めぐる めぐる
ユアはどこ?
夕日が落ちてきて
水面を塞ぐ ....
かつてお前はあんなに
力強く 熱く燃える目をしていたのに
風のように自由で その歌声は若々しく
どこまでも駆けていけたのに
お前の炎はかくも色褪せ
かきならす竪琴は銀のささやき
お前は{ル ....
語らう小鳥の 囁きも
野を渡り疲れた 風の旅行着も
みんなみんな小綺麗に 仕舞い込まれています
雨の衣服のポケットに
消えた森、そのものが すっかりと
畳み込まれているのです
だから ....
{引用=※できれば声にだして、詠んでみてください}
迷い人よ
汝
振り向くことなかれ
眠る肢体の硝子の呼吸に
空の落下を錯覚する
心音の宙に浮いてきそうな静けさに
めまいしてうつむく不意なかたちで
水性のからだへと溶けそうで
うわ言をもらすあなたの手に
ドライフラワーを一輪 ....
ゆらり金魚
ふわふわ踊る朱色の帯
髪結い上げた女の子の
すくい網から
グルリと
あわてて
飛び出していく
金魚
しなやかに
泳いで
見えないゴールを
いくつも越えて
金 ....
窓を開けると庭でねこじゃらしが揺れて
通り過ぎてきた時間を優しく撫でていく風
いつの間に同じ高さから空を見れなくなったか
なんて もう思い出せないほど遠くに流されて
昨日思い出に留まってい ....
詩は語らずに歌えって
俺の先生が言った
先生って誰だ
そう訊くから
雀だって言ってやったよ
スズメ?
雀だ 雀だ 雀の学校の先生だ
俺はそう言うしかなかったぜ
だって、その通りだも ....
月明かりだけで暗い森を分け入って
辿りついた小さな泉
濁りのない水は鏡の様に
僕の顔を優しく映す
清らかな水は月光を反射して
柔らかくきらきらと煌めく
光の中から小さく愛らしい妖精 ....
ばっさり斬り落とした短い髪に
唖然とたたずむ
(なんか、めんどくさくって
照れたように君が笑う
右の頬を隠して
僕の知らない君の夏
正しい折れ曲がり方なんて
よく分からないけどさ
....
額の汗を無造作に拭うあいつより
きれいに畳んだハンカチで汗を拭う
そんな男のひとに憧れてしまう
えっと…そんなひとなら
細い指先に挟んだボールペンを
くるくる器用に回したりして
わたしのこ ....
探しものは
なんですか?
もしかしたら
「あの時追っていた夢」
ですか?
あ〜〜〜
残念っ
それならばもう
消費期限が過ぎて
腐ってるみたいです
もし・・
あきらめる事が ....
夜になると森の奥から
ピュー ピュー ピュー
と音が響いてくる
僕は竜のいびきの音だと思うんだ
大人達は森の奥の谷を抜ける風の音だと言う
でも僕は信じていた
森の奥には竜がいるって
....
渦巻いている
頭の上で
あれもこれも
信じていいのか
世渡りのうまい人々
正直者はバカをみる世の中
いずれは報われるのか
僕の進む一本道
時計の針 ....
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