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傘もささずに駆け出した
胸に 弾む雨 あなたとの出逢い
秋は深まり ひだまりのぬくもり
やがて移ろい いつしかたよりは途絶えたまま
春を待つ 心に 訪れた小鳥のさえずり
この街 ....
一千本の咲き乱れる桜の木の、舞踏が繰り返される。
そこから溢れ出る、花弁の洪水のあでやかさ。
男は桜のにおいに溺れながら、身をゆだねていった。
何も振り返らずに、ここに来たのかも知れない ....
月曜日は眠くて布団から出られなく
火曜日は星空を見上げて涙して
水曜日は透き通った青空に思いを寄せて
木曜日は何もする事が無くただがむしゃらに
走り続けた
金曜日は放課後 ....
風の匂い
明るい夕方
さむくない
はじまる
はじめる
僕は
じっと力を
ためる
地図をすてて
自分をひろう
冬が来る前に
どこまでいける
大きな大きな
青 ....
あの手紙を
風に託したのは
去年の秋のこと
あのとき流した
涙の理由
忘れたふりして
送った月日の重たさも
体の一部にしたけれど
それも性分なんだと
開き直れば
今、吹く風の行 ....
一昨日
夕食を待ちきれず
ピーナツをひと袋
ぼりぼりたいらげたら
腹をくだした
昨日
{ルビ無精髭=ぶしょうひげ}を{ルビ剃=そ}り忘れたまま出勤し
一日青白い顔で吐き気をこら ....
団地の掲示板に
吊り下げられたままの
忘れ物の手袋
歩道に
転がったままの
棄てられた長靴
{ルビ棚=たな}に放りこまれたまま
ガラスケースの中に座っている
うす汚れた ....
トリノオリンピックが終わった
日本は頑張った
最後まであきらめずに
でもメダルは
荒川選手の金一つだけ
でもぼくは思った
銀は金より良いと書いて
銀
銅 ....
耳たぶを
どうか
噛みちぎってほしい
此処から出られなくていい
私が誰で何処から来たのか
なんのために生きているのか
なんども問いかけて
なんども見うしなう
歌なんか
....
この街で一番高い時計塔を勝手に「エッフェル塔」と名付けたきみを、
今日も僕はそのエッフェル塔まで迎えにいくんだ、自転車で。
そのエッフェル塔の真下にある噴水に腰掛けて、
つまらなそうに足をぶ ....
喫煙所に近づき
しゃがんで声をかける
「 調子はどう? 」
{ルビ煙草=たばこ}をふかす R {ルビ婆=ばあ}ちゃんは眉をしかめ
「 調子悪いねぇ〜・・・
明日は歯医者
....
滴る水滴の先が、凍りつく地面のひだを叩く冬。――
冬のうずきは、過去を染める季節の色を、林立する寂しさで押し流すが、朝の庭では、気高いさつきの花が、薄いひかりのぬくもりを花弁に焼き付けている。
....
厳かな表情は
白い和紙に包まれて
丁寧にしまわれていく
もうしばらくは
という
僕の意見は
宙に浮いたまま
ぐずっていた子供たちは
いつのまにか嬉々として
桃、橘と桐箱の中へ
....
体じゅう
寒気が
激しい朝
詩がとどく
さむいのに
雨なのに
書いたひとの気持ちが
きれいな色が
入り混じって
ここまで
とどく
チョコレートを
私はスペインの
よく冷え ....
わたしは、この震える指先のなかを流れる満たされない血液の重さを推し量っていた。わずかに眼の中に残る記憶を辿り、心房が包む夜空に対峙して、透明な糸で繋がる星を撫ぜて、痛みを発する疼きの場所を見つけて ....
君に手紙を送るよ
2年も逢ってないし
電話もしてないな
あなたと二人で撮った
写真が無言のまま
こちらをにらみつけてきていた
でも今も君のことは
心の中で
....
真冬の動物園をゆくと、不思議な光景に遭遇する。
例えば、インド象が、真剣に雪を、おいしそうに競って食べているのである。彼は、はたして象なのだろうか。生きている象は、熱帯のサバンナの赤い夕陽を背に咆哮 ....
綺麗な夕陽の見れる丘の上で
ぼくは夕陽とにらめっこ
上着のポケットの中に入っていた
コンビニのレシートが何かの弾みで
落ちてきた
それを役に立てようと
したわけはな ....
息を
わたしたちは潜めて
東の空の彼方から
春がやって来るのを
待ち侘びていた
夜明けに
うすい紫の風が
わたしたちの
頭の上を撫でながら
通り抜けてゆくとき ....
{ルビ濁=にご}った泡水が浅く流れるどぶ川に
汚れたぼろぞうきんが一枚
くしゃっと丸まったまま{ルビ棄=す}てられていた
ある時は
春の日が射す暖かい路上を
恋人に会いにゆく青年の ....
青い朝が鈴を鳴らして合図する。
霧のむこうは、へらさぎが、雨音に耳を澄まして、
零を数え終えると、夥しい空の種が芽を出して、
幾万のひかりが降る。季節が連れて来る慈悲を、
寝台に凭れて、味 ....
満月と星たちが次々と、深い海底に落下して、
水鏡には黒褐色だけが見える。
孤独になった空は雲を身篭って、
粉雪を定まらない海底に落としてゆく。
きのう、海辺の空を眺めて笑っていた僕は、
今日 ....
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純白の太陽が沈まない世界で、峻険な断崖が水平な時間の裂け目に現われて、素肌が剥き出しになったやまびとたちが戸惑っている。首のない禿鷹の幽霊に急き立てられて、断崖を昇りきると、空 ....
(くもはしろいだお
と、ノンちゃん色鉛筆の箱をひっくり返す
あいにく白い色鉛筆は
どこかに失くしてしまって
ノンちゃん覗き込むけど
箱はからっぽ
みつからない
ノンちゃん白い画用紙広 ....
春は
思いがけない記憶を呼び覚ます
フリージアの花びらが揺れていた
恋に幼い心も揺れていた
サヨナラの理由を
頬伝った涙をさらう風のせいにして
強がる笑顔で背中を見送った
....
夜電気もつけない部屋で
ぼくはベットの上で体育座りして
自分の膝を抱えて
泣いていた
何に泣いているのか
わからない
隣でなっている
ガラスでできた
も ....
放置された畑 咲き並ぶネギボウズ
バコン バコンと
プラスティックバットを振りぬいては
浅緑を空の彼方に弾き飛ばした
なぜそんなことをするのだと叱られたが
ネギボウズの高さが
ちょうど僕ら ....
嗚呼青春の日々が
ゆっくりと螺旋階段を
登っていっているけど
必ずこの階段に
終わりがあるってことぐらい
ぼくは知っているよ
ならこの時間を楽しく
生きていく ....
川沿いの道を歩きながら
澄んだせせらぎを聞いていると
傍らを
自動3輪車に乗ったお{ルビ爺=じい}さんが
口を開いたまま
骨と皮の手でハンドルを握り
いすに背を{ルビ凭=もた}れて傾きな ....
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ
土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ
風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
....
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