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不思議な声で
鳥が鳴く
梅雨の終わりに
わたくしはその鳥の名前を知らない
ワールドカップの順位表で
トリニダード・トバゴという国の存在を
初めて知った
わたくしはその国の ....
打ち震える涙が、立ちならぶ
忘れられた街景の片隅に、十代の足音を揺らして、
失われた向日葵は、いまだ声を上げて、
古い風の臭いに浸り、
枯れた夏を首に巻いて、
届かない空の裂け目を編んで ....
照りつける夏の陽射しの下
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか
( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
やがて
夕闇に閉ざされる海の
光る航跡を追いかけて
白い波間に漂う一人ぼっち
私の貝殻は声もなく
笑えるうちは
泣けるうちは
あきらめません
だから
あなたも
あきらめないでください
....
昨日は切なさを
今日は愛おしさを
明後日は狂おしさを
一枚
また一枚
引き剥いだ心から溢れ出る
あかい
あかい溶液は
あなたの眺める空を
あなたの愛でる花を
染めぬいてくれるでしょ ....
我がスメラミのすめらおか
すめらむ京をあとにして
すめらが岡を望みつつ
すめらが勝ちと駆け上り
スラリ引き抜く2尺5寸
ダウと倒れる童女の
首を掻き切り弓手に提げ
駈け来る追手切り捨 ....
かわいた南風
空は澄んで
ニイニイゼミが賑やかに
白い雲がゆったりと流れて行く
小笠原高気圧が居座って
台風も避けて行ったのだ
誰も居ないから
力強い風音が頭上を走り
誰もが高 ....
えんえん泣いてるときより
はにかんで大笑いしてる方が可愛いよ
なにげなくふれあう瞬間
電撃が体内をいっそうに駆け抜ける
消えかかる心の奥底に
沈み損ねていた思い ....
前線が
ぼくらを踏みつけにして
粘着質の雨を停滞させる
内臓は肋骨にぶら下がったまま
くるくると渦をまいて
今日の天気に反応している
こみ上げてくる葡萄の粒、
胸で弾けて
お気に入りの ....
1.
もわもわ
と、ふくれあがる嫉妬心
あなたが遠くをみつめるその先に
見えるはずのない影を見ては
心に広がる黒い雲
2.
クルクル
と、まわる私の猜疑心
ゆう ....
そう 私たちは
日常のドアを開けながら生きる
何事もなき
それでいて それなりに満足な
{ルビ同=おんな}じ時間の
{ルビ同=おんな}じ場所で
毎日毎日 繰り返し
人々は皆 すでに{ ....
風鈴の音
金魚の赤
縁側で夕涼み
ビールの泡
ダイニングの
トライアングル地帯
何があるか分らない
眠くなった。
作り笑いが下手な
君
駄ジャレが下手な
僕
は、真空の一点で凝縮し続ける無言する{ルビ性=さが}である。
仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
{ルビ濃紫=こむらさき} ....
草合歓の葉陰から
かすかにもえる月を見た
藍青の波間にひかるものは
あれは はるかな昔
指から落ちた曹長石のかけら
青みをおびた涙の石の粒
もしも
月の淵から水音がしても
蠍が ....
雑音から 聞える
あの 道は
どこか
案山子と 6月の
微風の 元
雑音は 膿んでいる
あの 道を
越えれば
花畑
だが その時 私は 聞いた
雑音から 呼び止める声を
....
私達は知らない
戦時中にかけがえの無い妻子や友を残して
死んで行った兵士の
爆撃で全身が焼け焦げてしまった少女の
青空を引き裂く悲鳴を
( 昔話の地獄絵巻は深い地底に葬られ
....
ウエッジソールのサンダルなんて
3年たったら過去の遺産
昔はやった厚底サンダル
今年のウエッジソールと何が違うの
星型の砂を探して
海に行こうと決意した
私はふわふわと波に乗る女
....
足元は、崩れている。
真っ直ぐ歩くことも{ルビ覚束=おぼつか}ず、
肩が揺らいでいる日々。
( ぼくの脳内には
( 壊れたリモコンが内蔵されている
胸を張れども三日坊主。
....
目の前に置かれた石を
思い切り、蹴る。
弾道は前方に細く長い弧を描き
一面の霞の向こう側にある
無数の「明日」を貫いて
激しい雷雨の日を貫いて
柔らかな陽が注ぐ日へと
....
さて
飽きるほどの恋からも遠ざかり
梅雨の間隙を縫う洗濯ばかりに
脳みそを支配されている私に
今のところ夏の予定はありません
貴方
先月結婚したそうでおめでとう
おかげさまを持ちまし ....
花を買って
部屋に飾り
香を焚いて
静かに座り
読みかけの本と
ハンケチを用意して
すすり泣く
できれば
大きな声で
できるだけ
長い間
それを
気 ....
この眠れない夜
少し開いた窓の隙間から
カーテンの裾を揺らすのは
頬を掠めるひやりとした夜風
紛れ込んできた露の雨音に
畳の匂いが、一層、濃くなる
月があるわけでもないのに
外は仄か ....
土砂が流れ、人が死ぬ。
山あいの村を、水があふれる。
生活をすべて、押し流していく。
ささやかなものを。
IT長者たちが、お互いの富を分配する。
早い者勝ちですよ、と
悪びれずいう。 ....
始めて出会って三秒で
僕等は抱きあった
それは僕の小さな悪戯
握手をしたまま右手を引いて
僕は君を抱きしめた
そのまま僕等は抱き合った
余りに君がチャーミングだったから
そうせずには居ら ....
ここに
太鼓がある
太鼓は
太鼓の皮と胴があって
バチで叩く
皮だけでは
太鼓にならない
胴だけでも
太鼓にならない
太鼓の音は
どこからするのだろう
黒色の雪がヒラヒラ舞い落ちる
それに合わせてリズムをとるぼく
ブランコにのりながら遠くまで飛ばした
靴は雲の中に突き刺さり落ちてこないよ
ぼんやり光っている電灯に夜蝶が ....
障子のむこうでは
雨の簾が揺れています
重なり合う影を
私の分だけ
一枚引き剥がして
あなたの流れに
耳をすませ
聞き取りたいのです
....
彼は今迄何度も転んで来た。
愛に{ルビ躓=つまず}き、夢に躓き、
恋人の前に躓き、友の前に躓き、
鏡に映る、自らの{ルビ滑稽=こっけい}な顔に躓き、
振り返れば、背後に伸びる
長い日 ....
私とあなたの間には
数十億光年の距離があり
互いの影はいつまでも交わることなく
仮想の白い空間を歩き続ける
( {ルビ孵化=ふか}を知らない孤独の闇に{ルビ包=くる}まれて
( ....
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