すべてのおすすめ
雲の坂道を走る
小さなバイク
蝉時雨を横目に、ぼくは
食事の支度を
プツプツ
音を立てる落し蓋が
砂埃を笑い
山の辺の切りたつ階段を
葉っぱといっしょに転げ落ちてきた、きみを
乾いた ....
真夏の一本道は何処までも続く
と思っていたのに気づくと僕は
廃墟の街で佇んでいた
強烈な西日を受けながら
僕は少年の影を追いかける
街が暖かく流れていき
ランドセルを地面に置い ....
私の部屋の金魚鉢には
金魚が一匹いる
金魚鉢を見ていたら
すうと引き込まれて
泳いでいた
涼しい青い水の中
緑の水草ゆうらゆら
赤い尻尾はひいらひら
たくさん泳いだら
す ....
ひたひたと打ち寄せる若い海が、
青い匂いに弄ばれて、言葉の果てで立ち尽くす、
夏に縛られながら。
波は立ち眩んで、一滴ごとに、ほころびる海の雫が
暑さに滲んでいく――。
散らばる熱が ....
影が私だ
夏
私はようやく
私になれる
薄曇りの中で
私は埋没する
私はへらへらと笑っている
気づかれないように
夏
私はくっきりとあらわれる
私が背伸びする
と
....
黒い太陽が投げつけている
スライダーに似せたにびいろの雲影を
つつじが丘のひだと
八幡の森のぼんぼりに
....
どうしても捨てられないものがある
幼い頃母に買って貰った運動靴
靴入れの奥に今も大切にしまってある
いつかあなたもシンデレラになるのかなと
七歳の誕生日に買ってくれた運動靴
そういえばこの季 ....
そりゃあきれいでサラサラのボウズさ
プールからあがって
シャワーを浴びたばかりの
音も殺して近づくんだもの
それで顔にティッシュ乗っけて逃げてくから
なんともはや、
すごいでか ....
真っ白な紙を前に途方に暮れている
昔なら何も迷わずに
筆いっぱいに色とりどりの絵の具を染み込ませ
描きなぐったのに違いない
誰のことも考えることなく
自分というものをもって
確かに楽しかっ ....
正しければ正しいコトほど、
面白くないんですよね。
逆らいたくなるんですよね。
できないんですよね。 なぜかア。
正しければ正しいモノほど、
面白くな ....
海という隙間で息も絶えだえに
船がただひとつ進めない方角があり
羅針盤の鏡にこうして映すと
宇宙も空も無くなる時間なのに鏡は
越えられない境界線を示すだけなのです
宇宙に似た深い暗闇を
....
「あら、どうしても扉が開かないわ」
これまで幾度となく国際線を利用してきたが
経験したことの無い強い衝撃に突然見舞われた
それは、俺に跨っていたCAにしても同様らしく
膝下までずり下げた下着を ....
水面にゆがむ月よ
滑らかならぬ蒼白い顔は
私を待っていたのでしょうか
それとも見送ってくれるのでしょうか
足を止めると
あなたはきらりと
涙を放ったように見えましたが
驕りだったよう ....
夏の涼しい夕暮れに
恋の病にうつむく友と
噴水前の石段に腰掛けていた
( 左手の薬指に指輪をした
( 女に惚れた友が
( 気づかぬうちにかけている
( 魔法の眼鏡は外せない ....
刻むビートの中で
すれ違った人の思いを切り刻む
夏の日じっとしてられなくてパジャマのまま
夏の風のなかをはしりぬける
繋いでとぎれない笑い声
手をのばしてつかみ ....
さびれた歩道橋の上で
夏を見上げると
空、空
本当に海まで続いているのだろうか
この橋の下を流れる車の群れが
緩やかな河口付近の川だったらいい
時折陽射しに煌めくヘルメットが
....
色あせてゆく
その言葉に
偽りの色のせぬよう
くちびるよ
痛みに目を覚ませ
熱をもてあますな
気持ちを厭うな
私の中の陽は
言葉でしか燃えぬ
それしか知らぬ
ど ....
八月。
私たちの街は。少し空気が、変わる。
街宣車が増える。黒塗りの車。スピーカーから、流れるテープ。
ツーリストが増える。大型バイクが空気を、揺らして。
外国人が、増える。たいていは年輩 ....
夜を乗り越える呪文
古いノートの落書きから思い出す
詠み方を忘れた大人には
雑踏に落ちている足音に似て
あどけなく残酷な
季節を乗り越える呪文
変色した写真の束から探し出す
今日しか ....
バザールは活気に満ち溢れていた
女たちは色鮮やかな衣装を身に纏い
自慢の品々を並べて
旅人たちに朗らかな笑みを投げかける
すべては明日の命の糧の
マナトを稼ぐための軽妙な話術
....
日没にはまだ少し早い
真昼の太陽で暖まった道は
この足どりを重たくする
ふうと
ため息に似て
諦めともつかない
息を吐きかけたとき
風が首のあたりを
掠めていく
この道の
....
うつむいてしまうとき、
あなたの笑顔をおもいます
あなたはわたしの
元気の素です
わたしも
....
夜の街 爛れた皮膚に
舐めまわす猫の舌
黒ずんだ河 溺れ回る星々の
虚しさを大声で叫ぶ
ノートの上
無数の赤い虫を
叩き潰して書きなぐる
夢見心地 愛の詩
夜の喧騒
沈黙は煩 ....
春の陽射しに包まれた
消えゆく雪のその薫り
蒼白の日々の儚げな薫り
ひんやりとしたあたたかさは
春の命にとけて
空の色になって
泥に塗れた冷たさは
思い出を残すこともなく
....
「こんばんは、お久しぶりね」
聞き覚えのある声に振り返ると
おんながひとり乗っている
「今日ぐらい早く帰ってきてね」と
妻にせがまれたのに残業を強いられた
可愛いひとり娘の誕生日だっていうの ....
炎の塊がどんどん大きくなっていく
僕の心もどんどん大きくなっていく
知らず知らず僕は少しずつ大人になっていった
まだ子どものままでいたい
ピーターパンシンドロームでもい ....
記憶の湖に小船を浮かべる
揺らぎの中を覗く
湖の底で幽かに白く
蜃気楼の様に
魚の影の様に
消えた世界が見える
あれは何処
あれは何
あれは僕
あれは誰
....
A子(主婦39歳)は嘆いていた
価格破壊の世の中を
街を見渡せば
いたるところに100円ショップ
(なのにレジでは105円取られるのよね)
超ディスカウントショップも蔓延し ....
(でっかいのが、死んだ。)
風殺すようないかり肩に丸刈りの白髪頭乗せて来るのは あれは
ロブス 漁師で 工房の隣の教会の管理人だ
逆光でも分かる お調子者の いつものいたずら ....
「太陽は暴力だ。
冷房の効き過ぎた教室で
あたしはカーディガンの袖を食みながら
前方伸身2回宙半ひねり
を、決めた燕の
誇らしげな嘴を 遠く眺めていた
あの、三つ子の巣立ちは
母の墜 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179