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ほほを桜色に染めた
小町娘が夜道をすっすーと横切って
午前零時の散歩
{ルビ映日果=いちじく}の葉に反射する
コウモリの声
超音波時計に刻まれた
わたしは悲しみに冷静でいたつもりだった ....
それでも僕は君を愛していたいと願った
ただ、それだけのこと
窓に流れる光を眺めては
ため息ばかりを吐き出していた
恐ろしいほどに静まり返った胸を
恐ろしいほどに高まった ....
死体になることも出来ない
朝の、調子はどうだ、と聞かれても
貝殻になりきれない私では
考えているからと、通り過ぎるしかない
美しくありたい
ほんの、時々でいいからそう思って
張り詰めた ....
二十代の頃から
わたしの思考回路はストレスに負け気味で
いつしか心療内科のお世話になり始めた
抗鬱剤 抗不安剤 精神安定剤 入眠剤 など
とりどりの薬に身を任せているのが常となり ....
彼女は二度、嘔吐して、蒼茫とした死者の距離を巡る。
傍にいる三毛猫は、
笑っているテレビを見つめて、溜息をつきながら。
(イラクから自衛隊が撤退するそうだね。
(おばあちゃんはね―。戦争は大嫌 ....
夏の夜に
いくつもの太陽を揺らすひまわり達
仕事帰りの疲れた男に
わさ わさ わさ わさ
大きい緑の手のひらを振る
日々の職場では
密かな善意を誤解され
....
何もない
私の中には何もない
かつて私の中にあったもの
一体何処へ消えてしまったのか
どうして失くしてしまったのだろう
あんなに大事なものだったのに
私の ....
南向き・角部屋・駅まで5分
大学まではなんと2分
鉄筋コンクリート造のマンションで
流行の耐震強度もアスベスト対策もお墨付き
お家賃6万9千円
東京の真ん中で、この条件なら奇跡的なお値打ち価 ....
?.
あなたを
あなたのすてきなところを
一日
大切にする
あなたを
あなたの汚れたところを
裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
母さんは言った
雨が降るかもしれないから
傘を持っていきなさいって
少しくらい濡れてもいいと思った
朝起きたら
神様に祈りなさいって
仕方がないから祈った
理不尽があ ....
あなたは手慰みの指先で
わたしの身体をくるくる回す
言いなりになんかならない
と思ってはみても
あなたにだけは嫌われたくなくて
股関節の痛みをこらえ
アンディオールのポーズを取る
(わた ....
正直者はバカを見る世の中
それでも自分に嘘をつきたくないのだが
蜘蛛の巣のように張り巡らされた友人関係
一人をたてれば一人がくさる
本当のことを話せば諍いがおこる
修羅場はま ....
三ヶ月の月日がたったら
僕を食べておくれ
きっとうまい具合に熟れて
おまえを喜ばすことができるだろう
何だって!食べたくないだって!
嘘を言うのじゃないさ
おまえはいつだって舌なめずりして ....
朝に
林檎がもがれる
それは
太陽になり
風になり
私のもとへとやって来る
おはよう
ごきげんいかが
と はにかんで
さくりと
歯に当てた
ほのかな酸味
....
ぎしぎしと影の中から
不気味な音が聴こえる
何かが私の中で芽生えようとする
予兆なのだろうか
私は闇に引きずり込まれたくはない
光の中に在り続けたいん ....
涙を2つください
1つは自分のために
1つはあの人のために
こんな深夜にすみません
いえ、ハンカチはいりません
注文は以上です
こんな深夜にすみません
夕闇の
あの色が好きです
切なさをひとつぶ
いとおしさを一粒
弄んでは
つぶすたびに
広がってゆく葡萄色
甘いあまいのは
街の匂い
あなたとはぐれた
秋の匂い
五 ....
人々が漏らす{ルビ溜息=ためいき}で
街の輪郭が{ルビ歪=ゆが}む土曜日の夜
場末の Bar の片隅で
翼の生えたアダムとイブの人形は壁に{ルビ凭=もた}れ
虚ろな瞳で古時計をみつ ....
茜空が僕達を照らしてる
きれいなオレンジ色に映るボールを
投げては受け
受けては投げ
弟と家の前の路地で
夜の帳が降りるまで
キャッチボールをしていた
やがて味 ....
懲りずにまたお昼寝をしてしまったので
また哀しい
夢を見ていたことも
気が付けば
今日の昼はとてもさむい
一羽の黒い鳥が
窓の外で縮こまっているのが見える
「じゃあ、これが最後だね。」
携帯の奥、
凍るような一言
中々出ない一言を振 ....
祖父が亡くなってからずいぶんの時が経つ
お骨になった祖父は白く そしてもろかった
まだ暖かい祖父の骨を私たちは火ばしでついばむ
生きている者を火ばしで持ち上げたりしないすなわち
祖父は名実 ....
秋に装飾され始めた街角に立つ君は
凛々しく軽やかでその髪を風にまかせてる
ルージュもつけない唇は
すれ違う人々の視線から逃れられない
風が舞うとき
君まで舞いあがりそう ....
絶える昨夜が静かに終わって
それでも、紡ぐ言葉が見つからない
明日の羽音がまだ見えるのは
踏み込む足が力強い、から
ほら、世界はこんなふうに明るい
ドアが開くと、大勢の人が流れていく
....
気がつけば雨は冷たく
手は
冷たさを感じて
少しだけ傘を強く握る
気がつけば空は暗くて
陽は
光をしまい
月へとその日を譲る
虫たちが音を奏でて
....
150億円の借金を抱えて
華厳の滝に飛び込んだら
借金が重すぎて
華厳の滝の
滝壺の
水が溢れて
日干しになった
カワガラス
クイナ
セントロニクスのプリンター
関係ないじゃんとい ....
白紙の紙の上には神は宿っている
どんな色にも
どんな言葉も
その白い世界は受けとってくれるんだ
時には失恋の詩を
時には季節風情を
時には魂の知恵を
書き手を紙と ....
小首をかしげて 鳥が
私の胸のあたりを
ついばむ
私は
驚きで声も出ない
鳥は
よくわからない
といった風情で
私の
腕をついばみ
ひょい、と脚に移って
ついばむ
小首を
....
山里深く
美しい女が独り
淋しく庵を結んでいるとの噂を聞きつけ
伊達男や
誇り高い益荒男どもが
我こそはと
鼻孔をうごめかせつつ尋ねて行ったが
その度に女は
こんなときを ....
金太郎飴を舐めんなよ
ヤツは世界最強だからな
金太郎じゃなくて金太郎飴がだぞ
どこを切られても平気な顔して
いつまでも若々しくて
最後の最後まで全力で生きている
歳を取れば取るほど誕生日が ....
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