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昔 そこに畑があった
住人たちは種を蒔き苗を植え
野菜を作り花を作り 少しばかりの木を植え
土に汗をおとした
笑い声も聞こえた
主が亡くなった畑を 子供は捨てた
未亡人は独 ....
西日に揺れる色褪せたカーテンの隙間から
焔に焼かれた夏の葬列を見送る
背を丸めて折れ下がるだけの向日葵は
昼に立ち止まり、夜に顔を奪われたまま
晩夏を歩む
背骨を晒し腕も手も顔も腐 ....
どこかから怒鳴り声が聞こえる
悲鳴でないだけ良いのかもしれない
灰色の恐怖 圧迫感
その あまりに巨大で
要塞のような塊は
視界から見切れてしまう
圧倒的な質量の、壁
....
君の取扱説明書
注意書きに
愛だけじゃ動きませんのメッセージ
数十億光年さきは
光でだと数十億年かかるけど
心でなら一瞬でいけるんだ
過去だろうと
未来だろうと
心でなら一瞬でいけるんだ
ぼくは心の実力を信じる
心は時空 ....
雨 いつのまにか
静かな吐息のように
染まりはじめた黄葉から
ひとつ ふたつ しずく おち
{ルビ中空=なかぞら}はしっとりして
往くトンボたち
ゆるやかに すこし乱れて
....
命をそまつに扱うのは、命の価値を知らないからだ。
それは、究極の無知だ。
あの日に近づく合図は
金木犀が香ること
最近よく見る夢は
ブラックコーヒーに
溺れてゆく私
角型よりも
山型の食パンが好き
通学電車でおしくらまんじゅう
数学の ....
「いらっしゃいませ、こんにちは」
こんにちは 尻文字マンです。
「店内でお召し上がりでしょうか?」
わたしは尻文字マン。
店内でお召し上がりです。
チーズバーガーをくださ ....
フラれた 月曜日の女にフラれた
週刊少年ジャンプのせいでフラれた
最近はONE PIECEしか読まないようになっていたのに
フラれた 火曜日の女にフラれた
踊るさんま御殿のせいでフラれた
....
ながい階段が その夜
わたしの内に滑らかに延び
喉の辺りで途切れていた
笑えるほどにせせこましい
悲しみなど疾うの昔に
桃色の床で何者かに
踏み ....
ー年を取るとはこういうことか7ー
若者よ ズボンをはくとき
ベッドに腰掛けなくても履けるか
家中の者が畳の上で生活していた頃から
立って履くのが常だった
布団の上で寝転 ....
きっと生き方には
真剣なのだけれども
政治家と詩人は似ていると
他の人々に言われたとしたら
お互いが完全に
否定をするだろう
だがひょっとしたら
似ているところが
あるかもしれない
....
身重の母さんをつれて
この道を通ったんだ
秋の彩りが見たくてね
秋の美食に酔いたくてね
俺の
そういう独り善がりは
あの日もいまも変わらない
ただひとつ違うのは
お ....
嫐という字の男が憎い
尻文字で詫びている
誰のだか思い出せない名刺の角が丸い
ある日{ルビ馬鹿=うましか}は恋をした
とても美しい理念に
薬はなかった
あっても飲みはしないだろう
なにせ
夕日を浴びた{ルビ馬鹿=うましか}の群れが
一斉に嘶いた
美しい ....
夏過ぎて
名残の風は
漂泊の
想いで刻む
たむけ花
荼毘に付したる
骸には
五色に浮かぶ
懸想文
てのひらほどく
文様も
水底沈む
龍鱗に
染むる誓いと
思し召 ....
天国と地獄の門は開かれた
今と未来の狭間に漂う中に突き付けられた
そのナイフ
鋭く胸を抉るのは
君にだけ
与えられた手法であり
思想であった
僕はあの日のように
ひとしずくの水に戻った
水の精に魅了されたピア二ストは健在だった
瀧のごとく
怒涛のごとく
自由に偏在し
現れては消える
彼の日は今に
今は彼の日に
打ち寄 ....
怪獣がすきだった
一生懸命に敗北へと向かう
その信念がすきだった
破壊される街も
逃げ惑う住民も
どうせフィクションだから
心配には及ばない
それなのに
怪獣の優勢が劣 ....
澄み渡る青空に
赤々と色彩滴らせ
紐状花弁幾重にも湾曲結ばれ
彼岸花、輪を成し髭を反らし無言開く
と
いよいよ高まる青空に
透明に重なりいく女の声は 彼方も此方も自由に往き来する
彼岸を ....
目の眩むような夕日に明日への希望を託し、今日の自分を労う。
それは燃えるような赤さで限りなく透明で。
お疲れ様。
今日も精一杯生きたんだね。
もうすぐここは闇に包まれるけれど ....
あてどもなく私は私だけの絵画を求め歩いてゆく。
町を抜けると海に出る。
なぜだか私の見る海はいつも孤独に満ちている。
停泊している貨物船に群がる鳥たちの声も聞こえない。
待 ....
風を頼りに生きている
それは
揺るがず、歪まず、
だれから教えられることもなく
透明な命令として
継がれゆく
風を頼りに生きている
風がそれを望まなくても
わたしたちは
....
電車の中
向かい側に座る誰か
死んだ時の顔を練習しているのか
ぐったりとしていた
でも画面を見ている間だけは
生きた人間の姿に戻って
ブルーライトに照らされた青い顔は
夜の開演五 ....
あ 愛してる
い いつまでも
う 美しい君を
え 永遠に
お お・・・
あ ありがとう
い いつも綺麗でいてくれて
し 死ぬまで君を離さないよ
て 照れちゃうけど
る るー ....
明日の君は今日の君より美しい
一秒ごとに綺麗になっていく
{引用=
そんなこと聞き慣れてしまっているんだろう
}
愛してる 好きだよ 大好きだよ
綺麗だよ 美しい セク ....
ほどよく甘い幸せは
二人の熱ですぐに溶ける
さようなら
あなたの中に 幸せの余韻は
まだ残っていますか
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