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日曜は嫌だ
退屈だし切なくなるし
他の曜日と違って色もないし
日曜は嫌だ
「生きて 在る」 ということを想えば
やはり不完全だ
「生きて 在る」 ただそれだけでは
感じ 考え こうして思念で交信する以外
何もできることはない
私たちはどんな姿をしているのか
....
雨音がすべての音を掻き消していた。
この町に人はまばらだが、誰もが何か特別なことが起きるのを待っていた。
不謹慎極まりない人々なのだ。
小さな町では誰もが監視されている。
....
すっかり改装された応接間に白い光が差し込む時、
僕は思い出の中で横浜の匂いを嗅ぐ。
まだ何も知らなかったあの頃の幸福は
クラリネットの甘い音色が包み込んでいる。
庭に抜ける大 ....
僕らはどれだけ走れば見えてくるのだろう
最後に選ぶべきものは透明なのか
水でも被りたい一心
そうだ一度立ち止まり
息切れを整え
空を仰ぎ
後ろから追いつく友を待とう
焼けたアスファルト
....
象が並んで
観覧車の順番待ちをしていた
みんな休日だった
近くに
錆びたエスカレーターが落ちていた
午後になると
誰も海の話の続きなど
気にしていない様子だった
....
卵はひとつの理想形だ
人間もまた卵から生まれれば
これほど母親との確執に苦しむことはない
乳と血の繋がりはどんな病的恋情より
互いを束縛しその愛は動物並に遠慮がない
その点 卵は完璧だ
無 ....
雨が降ってきた
それに加えて午後からは
槍まで降ってきた
雨が降ろうが
槍が降ろうが
必ず行くよ
と言っていた友人は
終に来ることはなかった
窓を開けると
代わり ....
――風よ
木の葉をさざめかせ
やさしく掻き乱し
花房にそっと触れ
散り際へと誘う
子猫の背を撫でるよう
湖の面を煌めき立たせ
風 おお風よ!
おまえが気まぐれに ....
私たち親子の手を見比べると
娘の手は白くて 細くて
張りがあって美しい
私の手は皮膚が薄くなって
血管が浮いて見える
やはり手には年齢がでるね
真面目なだけが取り柄で
洒落っ ....
元カレのTシャツで牛乳拭いている
値札ついたままのぬいぐるみと話している
クーポン使ったせいかポテト冷めている
砂漠の真ん中で
洗濯機が回っている
インド綿のシャツを着た官吏が
時々中を覗きにやって来る
飛行機が上空を通過する
やり場のないコウモリ傘や
目新しい嘘を乗せて
真夏日 ....
今日を捨てる人に
終わらない明日をあげよう
たとえばある種の硝子を隔てて
見つめても そこには世の冷たい写しと
見飽きた己の顏しか見いだせないのだが
硝子の向こう 不可知な領域からは
こちらの姿が逐一観察できるように
ひと筋の時の ....
「仲良くさせていただいているけど、友達ではない」
言わなければよかった
後悔ばかり胸に残り
詩にもならねえ
湖岸に立つ私に風は爽やかで
静寂の中に鳥たちの声が聴こえる。
靄のかかった湖面から小枝が屹立する情景は
私に生命力の尊さを教えてくれる。
静かに歩み寄る初夏の足音に耳をすませ ....
ページを捲っていくと
その先に
廃線の決まった駅がある
名前の知られていない従弟が
ベンチに座って
細い背中を掻いている
とりとめのない
日常のようなものは延々と続き
梅雨の晴れ ....
何度繰り返せば気が済むのだろう。
私は自分を見た。
逃れがたい現実から目を背けてばかりで。
今日もまた一冊の書物の中に引きこもる。
死にたい なぜ。
死にたくない なぜ。 ....
午前三時 僕はあなたと海を聴いている。
二人は言葉もなくただ海を聴いている。
ただ失くした時間をお互い必死に埋めようとしている。
過去がゆっくりと波間に解けてゆく。
群青色の ....
おとなになれなかったこどもは
おとなロボットに乗った
大きくて頑丈 パワーがあって
こどもには持てない武器をたくさん搭載していた
こうしておとなロボットは戦場へ出て行った
いったい誰がおとな ....
揺るがないものが揺らぐ
仕方のないこと
ありのままを見ているつもりで
水鏡に映った姿を見ているから
冷やかな風にさざなみ
優しい陽射しに微笑み
自らの夢を重ね映して
時を凍らせた写真 ....
現実から逃れるためではない
現実を死ぬまで生きる
そう 何処かで決めているから
扉も窓も開けたままにしてある
鍵は壊れたまま
入口は出口で出口は入口
外側は内側で内側は外側
脳が現実だと ....
大型ショッピングモールを歩いていた
なぜ生きるのだろう
そう考えた時
心がしんと冷えた
なぜ生きるのだろう
なぜ生きるのだろう
とりあえず今日のめしを確保するため
働くけど
感謝そ ....
パンが食べたい
結婚して子供をもうけたが
三十過ぎに発覚した病が原因で離婚
その後は親もとで闘病生活の女性を担当している
駅前のマクドナルドで聞いた
きみの近況
脳下垂体の異常 ....
41年
生きてきてわかったことは
時は流れるということ
だから焦らなくていい
焦らなくていいよ
どんな失敗も
やがて笑い話にかわる
41年
生きてきてわかったことは
忍耐強く生き ....
一度きりの
ときとして、つかの間の
或いは
やがての日々の懐古となる
すべての複雑な
シンプルさに
ひとは
名をつけたがる
かなしみだとか
裏切りだとか
やさしさだとか
....
箸でつまんで
ポトリ ポトリ
やわらかな壺へ
金色の毒虫入れ合うの
互いに舌を絡め
{ルビ騙=かた}ることば
海が見たい騒がしく
鳥が声が
眼裏掻っ切って
わたしたち手探りのままでい ....
電車の窓ガラスに映る
何か忘れ物をしたような顔は
別の世界にいる自分を夢見ている
手に入れたものと失ったものを 秤に載せて
手の中にあった 虹色の玉は
守ろうと握り締めた瞬間に ....
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