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亀が道を歩いていた
甲羅をつかむと
慌てて首を引っ込めた
のは
何故かぼくの方だった
亀は空に向かって
首をおもいっきり伸ばし
退屈そうに大きな欠伸をした
ぼくはその一部始 ....
古代飴のような
琥珀の中に
小さな虫が
羽ばたいたまま
閉じ込められている
時が止まったままの
小さな宇宙を
私は
手のひらで
そっと転がして
スイッチをさがす
ろうそくが燃えるのは
それは
ロウが燃えるのだ
と
では
ろうそくが消えるのは
それは
ロウが尽きるのではなく
燃えるべき
ことばの芯を失うからだ
心を持たない
....
穏やかな日常が
美しく思えるのは
嫉妬や、ねたみや
細かな不安の襲来と
絶え間なく
闘っているからかもしれません
ほかの
みんなはどんなふうに
生きているのだろう
何を心に
抱 ....
かすみゆく
昭和という名の喫茶店
中には常連のサラリーマンと
マスターらしき初老の男
私はなぜか吸い寄せられるようにその喫茶店に入ってきたわけだが
本棚に詰まってる室生犀星 ....
砂漠の砂が風にまかれて
境界線を越えていく
海に捨てられたゴミが
国境を越えていく
静かに一歩も動くまいとしても
境界線を越えていく
誰にも気付かれまいと身を隠しても
境界線を越えていく ....
なんでそんなのえらんでるの
だってこれしかなかったから
それおとこがのるやつじゃん
だってこれしかなかったから
あしたにあたらしいのくるよ
しってるけどはやくでたいの
あとでこうかいすると ....
目の前を紋白蝶がとぶ
春の風に負けそうで
それでも戦いながら
桜はもう、ハザクラにかわりました
あなたは言った
知っている
だから、もうすぐ雨がくるんだ
....
書いた詩を全て捨てた
インクと紙の無駄だったと気づかされた
春の日の真昼だった
そして 僕はどこに行くのだろう
書いた詩は全て無駄だったのだという
自由だけが 約束されている
ひとが
きもちわるい
この世が最初から
きもちわるさの総体だったみたい
だ
曇り空
僕が僕であることに理由はない
ただ
誰かが暇つぶしに書いた
歴史があるだけだ
詩とはなんだったか ....
ある日からぼくは命が呟くのを
耳ではなく心で直接聴ける様になった
命は言う ぼくが挫けるときに
誰だっても転けも挫けもするが
まだまだ俺もお前も大丈夫だからなと
命は言う ぼくが愚か ....
うとうとしながらうったメールは
夢の中のわたしに届く
夢の中のわたしは自信に満ち溢れ
非の打ち所がない
夢の中のわたしはとてももどかしそうに
寝ているわたしにメールを返す
目覚 ....
会いにいけば会える人に
会わないまま人生は終わる
会いたいのに
どうしてそんなことに
なるんだろう
家に帰ると
種をとる用に買っておいた
300円のトマトを
流しの前で ....
重なりあっているから
いいことも
わるいことも
あるよね
の あなたも
わたしに重なっている
それが縁だと
風がいうけど
しんじない
重なりあわない
部分がさむい
....
月に腰かけ 太陽を{ルビ的=まと}にして
流星のダーツを投げる
唯の退屈しのぎだが すこしばかり はた迷惑な気晴らしかも
俺のエゴはでっかくなりすぎて 地球の中には納まりきらなくなってしまった
....
列が
乱れますから
前へならいなさい、
切なさよ
ラインをよく見て
その境を越えないように
たたずみなさい、
恋しさよ
下を
向きすぎてはなりません
他のものたちと ....
詩人が真実を語ると
人は「黙れ」と言う
詩人が美について語ると
「あいつは現実を知らない。空想的だ」と人は言う
君よ 真実を語ってやれ
人々の中に咲くたった一輪の花になれ
例えこの世界が壊 ....
胸のあたりに
なつかしいうたが溜まってしまい
病院へいったが
ておくれだった
それ以来
胸のあたりに
うたを一匹
飼っている
大きな蓋がひとつあれば
こと足りる
あれは
実に包容力のあるヤツだから
けれど
ここには
とても小さな蓋しかないのだ
あろうことか
私のキッチンには
小さな蓋しかないのだ
....
人は名付ける
自然は名付けない
海や空を人が何と名付け
どうやって区切ろうとも
鳥は空を飛び 魚は海を泳ぐ
彼らは人間が作った制限を
安々と越えて飛び、泳いで行く
人間だけが自分の思慮の ....
ホンマに?
ホンマに。
ホンマにホンマ?
ホンマにホンマ。
これ、
エンドレスです
美しい季節を
嘘だと思うから
哀しい現実を
嘘だと思いたいから
ホンマにホ ....
あかるい雨の夜に
空を見あげて
ボウッと明滅して加速して
加速して
それから、加速して
笑って、鼓動を数えて、目を細めて
空へ
飛び立つ
タンクローリー
....
帰宅中の電車に揺られて
辺りをキョロキョロした
ハッと我にかえり
自分が何故
キョロキョロしたのかを
考えてたら
懐かしい香りで
無意識のウチに
君を探していたんだ
お香 ....
暁の向こう側で 狭間で行き交う静寂に
落つる露は何を語るのか
陽を待ち侘びて 固い蕾が柔らかくなり
大いなる花を咲かせる
瞼【まぶた】をゆっくりと開く
燻【く ....
ため池に立っていると
女たちがやってきて
きのうまで愛していた男を捨てていく
濡れた靴したをすっかり乾かしてやると
女たちは
ちがう男を釣り上げて
また
立ちこめる現実へ帰っていく
人は
自分のテリトリーに
侵入者が
入ってこようものなら
たちまち
不機嫌になって
どうにかして
追い出そうとする
そのテリトリーさえ
誰かからの
借り地だというのに
そこは儚い
青い微熱 うつぶせの日記
ぼくの息づかいったら こんなにも 儚い
三つめの春が 言葉もなしに やって来るってね
だれもしらないよ
宇宙の ....
朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
あした朝早く成田で待ち合わせをしているから
きょうは東京駅ちかくのホテルに宿泊する
まえの座席ではフジコ・ヘミングが大人しくしている
窓際に花束をおいて通路側に座っている
猫を ....
残りの寿命と引換に
アメリカの大統領になれるとしたら?
そんなのは馬鹿げたことだよって笑う
きみはずっと
健康的だって思うけど
答えを知らないから
手を上げるね
無鉄砲で
....
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