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変わらず、
愛娘と手を繋いで歩いた
川沿いの遊歩道はあり
愛娘だけ不在となり
果てなく伸び行く

変わらず、
いずれ銀に光る川も遊歩道も消え
巨大な途方もなく巨大なチカラが
噴き上げ ....
服を脱ぎ捨てて、
皮膚を剥いで、
すべて剥ぎとる。

まだだ、
核心に触れるまでは遠すぎる。
いったいどこまで
いったいいつまで
続くのだろうか。

魂は太陽に比例 ....
君が往ってしまったのは解らなくもない
ぼくと君は銀河を観たね
約束の小指が振えたよ
あまりにも美しい景色の中で
ぼくはまだ生きている
もっと美しい音色を聴かせたかった
でもね
約束だ ....
皮を剥くことばかり求めて、
実の味を忘れた
林檎みたいな私の肌に、
あなたは歯をがりり立てました。
私はその痛みに歓喜し
ちいさな翼を羽ばたかせ
あなたの心のなかの
小さな ....
最近は月を観ていないからかも知れないけれど
ぼくは退屈で何をしていいか解らない
マリィの部屋に行き
琥珀を舐めても
紫煙に沈んでも
何が変わるとは思えない

あなぐらに潜んで夢でもみ ....
絵のない絵葉書が届く
ことばのない詩が書かれていた
ピアノソナタが雨に溶けて
コスモスはうつむき顔を覆う
山の精気が少しだけ薄められ
ものごとを前にしてふと
過去からの声に手を止めている
 ....
     わたしは帰る
     猫の住む我が家へと
     服も靴下も脱ぎ散らかし
     ひんやりとしたベッドへ
     もぐりこむ
     鼻先の生温かなけものの匂い
 ....
一般邦人は
メキシコ麻薬戦争とは
一見して関係がないはずだが
実際は関連が
あるのだ

幻覚を見たり
聴いたりする病のことを
ご存じだろうか
昔からある病気で
その病気の名前は
 ....
誰しもが健康であることを望んでも
人間はタバコを吸うと云う
嗜好があれば
病気を悪くしたり
病気を患ったりする

まだ若いころ
人と人との距離感を
思うとやるせない気持ちが
するよう ....
枝葉に付着した
無数の小さな丸い水滴      銀の透明
は、
照らしだす光に 光を通し輝く

光そのものは見えずに
只、
銀の透明響かせます

無垢なる人の魂に
光と樹木が交差する
あの夏の濃い陰りを抜けて
ヤンマゆくよ

感光した記憶の傷痕なぞり
迷える樹海の鬱蒼を越えて
ヤンマゆくよ

うすい双翅に光彩を弾き
風の流れを遡り
この目が耳 ....
お母さん、私ね、学校にin loveなboyが八匹もいるんだよ

金魚に餌をあげていたら 
次女が後ろで不意に大きな声を出すものだから
目の前の水槽に
突然金魚が九匹飛び込んできて、
その ....
汗にはにおいが有る
涙にもにおいが有る
汗も涙も
わたしの何かと
よく混ざるのだろう
ときに
錆付いたような
においが鼻につく

陽にあたればにおいがこぼれる
寝息のなかにもに ....
『ダイパー・ドライブやっています』

“おむつのドライブ?”
丁寧な発音
穏やかなトーンの声に
思わず立ち止まる
行きつけのスーパーの入り口

『新生児用のおむつが特に不足しています。 ....
木影に影を重ね 静かに見送る 
蟻たちに運ばれて往く
ことば 肉から零れ落ち

    熱い 取っ手を掴んだ

わたしは夏に生まれた
きっと夏に死ぬだろう
光の色彩が教えてくれる

 ....
どんなに惨めな境遇にあっても
どんなに酷い苦しみに襲われていても

光の感覚が
懐かしい思い出のように
余韻を響かせる時、

魂は生き生きした理念に満たされ
霊の光を神の温もりを体験す ....
いっちょまえに
子(娘)が親(母)に意見(もんく)をいう
いっちょまえに
子の方が稼ぎが多くなってきた――

一緒に道を歩いていたら
いきなり娘に腕を掴まれた
「なにするん?」
背後か ....
月が描く円を
薬指に通して
遥か未来を見つめ

星の道を歩く
物語の優しさで
今は肩を寄せる
若き翼は
血を流して翔ぶ
悲しみを糧にして翔ぶ
それは誰にも止められない
止められないんだ

仮に太陽に焼かれ
地に堕ちたとしても
翔んだ事実は残る
俺はあそこまで行ったのだと

 ....
無風に花瓶、
押し倒れ
転がる転がる
少女の手許

受け止める幼手
花瓶は砕け
甲高い笑い声
さも当然に

さも当然に、
笑い声響く度
花瓶は完璧に粉々に
亀裂走っていく円卓 ....
どんな肉痛でも
どんなに抉られても
どんな裏切りでも
どんなに孤立しても
俺は息継ぎ息継ぎ生き続ける

肉の内なる霊性と
肉の外なる霊性が
出逢いスパークし
不可視響く 深い光の陰影 ....
長い雨のレースを開けて
六月の陽射しが顏を出す
反射して散らばる子供たち
ビー玉みたいに素早く駆けて

ひとり離れて
シロツメクサを編む
首の細い少年

意識されることもなく
満ち ....
まだらに響く蝉
そのすきまにかぜがふき
一滴の風鈴
 絶望のたゆたう夜空に黄緑色の言の葉は寄り添い、
 音楽を友として今まさに昇天しようとする魂よ。
 君のその美しい羽はなんであるか。
 此岸より望む大河の流れに身を任せるのか。

 ああ ....
風だけが 通り過ぎていった 
時計は止まったまま ベッドの上に
白い部屋の窓辺に 深紅の薔薇が
赤い影を落とす 花瓶の陰で


黒猫が身を伏せて 狙っている午後
死んだ蜂の羽が虹 ....
見る、聴く、嗅ぐ、
触わる、味わう
五感に現れる世界
物質の界
人の囚われ執着スル
欲望の界

光る音、浮き立つ輪郭
震え透明に輝き響く時
五感の界はそのままに
欲望だけが浄化され ....
森の木漏れ日、揺れ
光の斑点また斑点 
それぞれの陰影を穿ち浮き上がり
あちこち異様に懐かしく
輝いている
響いている
感覚、奥まり次第に消え
光あるのは私の内
響き
残響し
木霊 ....
霧が湧き 雲は下り
天と地の息吹が交わり合う
噛み合わされた大地 喃語の潤い

ぱせり ぶろっこり やまのみどり

熊や鹿が嗅ぐ土の匂いが知らしめる
地脈の辿り 遠く 深く 息みて

 ....
 
 
バスに乗って目を瞑ると
私の中を通過していく
一台のバスがある
開いた窓から
誰かが手を振っている

懐かしい気がして
手を振りかえすと
バスは小さな魚になり
泳いで行っ ....
こんなの詩じゃないと
お叱りを受けそうですが
まあ、いいだろう
と、寛大な心の方はご覧ください

     *

小さい頃のわたしは
引っ込み思案で 恥ずかしがり屋
自分から友だちを ....
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