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友人が子猫を二匹拾ってきた
寂しそうにしている僕を見兼ねたのかどっちか一匹もらってくれと言う
…どっちにしても雑種の野良猫だから美しくはないが、と前置きをして…
訪ねてみれば、確かに顔は ....
夢は常に遥か遠くに横たわっている。
僕らはあらゆる手段を用いて少しでもそれに近づこうとする。
幾つになってもそれは大事で光り輝く真夏の太陽のようだ。
空には気さくな雲が流れている。
....
顔ヨガしながら散歩しているのか
本屋で万引きしたレモンが硬い
ずぶ濡れのアパートを 飛び出して
たよりない街の たよりない自分から
駆け出して行く
「お前を産んだ途端に、
お母さんの人生は終わってしまったんだ」と、
罵る泣き声のようなもの ....
なにか
あたらしい生命を宿したように
ある種の覚悟を
はらんだようにもみえる
鮮やかな紅の群れ
陽をあびて
風にながれて
堅くも軟らかな血脈として
秋を運んでいる
そ ....
素直に
想いを伝える
命の煌めきは
身体を紅く
染める耀きの
燃料になっていて
未来へと
想いを運ぶ
夜空を照らす
裸のままに
燃える僕らの炎
それは時を越え届く手紙
――封筒は茶色く変色して
だが土色の背中に亀裂が入るように
そうして新たな啓示を告げ知らせる妖精が
花弁のような華奢な翅にその霊妙を巡らせて
そよ風とワルツを踊りなが ....
3日前から並んでて中止
ひとりで走って一等賞
吹きすさぶ
嵐が接近する
真夜中に
灯火で照らすのは
きっと陸にある
港のような君と
海を航行する
船のような僕を
繋ぎ止める
綱の堅い結び目で
しかないのだろう
小さな ....
そのままでは
苦みが目立つだけ、だけど
他と交ざり合うことで
やわらかい香りの
洗練された甘みに
なる
涙もそうかしら
偽りもそうかしら
ため息もそうかしら
今す ....
ぬけがらは
掌の不浄に砕かれやすい
ぬけがらも不浄も掌も
やがては土へ帰す
全くの異種
ぬけがらを砕く枝は
融合であり
ぬけがらを砕く雨風は
融合であり
ぬけがらを砕く掌 ....
わたしの知らない
誰かの食事
わたしの知らない
誰かの寝息
そんなこと
知らないなら知らないで
なにひとつ困らない
そもそも
知らないことのほうが
はるかに多い
....
ウサ耳つけてトトロにしか見えない
降り注ぐ星のシャワーを全身で浴びる。
宇宙に横たわる星座達の囁きが聴こえる。
エメラルドグリーンの胎動を感じながら
鮮やかな爆発の連鎖に息を呑む。
無意識を意識すると宇宙が見える。
....
地上と天上とを結ぶ黄金色の光の帯に
限りなく果てしない眩きが伝わり
辺り一面の闇を吸い込んで
私を幸福の世界へと導いてゆく。
輝く光の帯は雄大に広がり
いつしか生命の母となる。
海 ....
月下美人のつぼみは
僕から君へと宛てた
詩集の挿絵に
描かれていて
本当は籍を入れる時は
月蝕の夜になっていた
かもしれない
まるで仮眠でも
取るように
くれないに染まる月蝕は
....
誰かが外から力をねじ込んだ
固く ギリ ギリ と
{ルビ蜷局=とぐろ}を巻いて震える はらわた
突き上げるような衝動!
目を見開き
歯をむき出して
喧しくシンバルを鳴らし
── 鳴らし ....
舗道を照らす外灯を見上げ、ふとため息を漏らす。
胸の奥にしこりがあるような気がして、そっと煙草に火を付ける。
時を刻む秒針が不整脈のように歪んでいる。
こげ茶色の幾つもの顔から感 ....
前略 わたしはぼちぼちです
あなたはいかがですか 草々
追伸 ぼちぼちだといいな
大人になっても子どもの姿
{ルビ蓑蛾=みのが}の雌は{ルビ蓑=みの}の中
雄が訪ねて来るのをじっと待つ
翅も持たずに交尾をし
卵を産んで死んで往く
大人になっても幼いこころ
美しく濃い ....
人間や
運命という言葉でしか
癒せない傷がある
最近の首相は
愛国心とかぬけぬけと口にしているらしいが
簡単に傷を癒せると思って
その言葉を使うなよ
「愛国」とは何だ!!
「愛 ....
秋の向こうに{ルビ欹=そばだ}てながら静かに燃える木の葉ほど
老いの門口 艶やかに {ルビ靡=なび}くことができようか
ひとによりけり だが
誰も自分が想うほど 美しくも醜くもなく
ま ....
腕には花の痕
ぬるくなった前頭葉から真昼が滴り
効き目のないエアコンの風が
指先を 揺らしている
デコルテの青白い呼吸が 唇から漏れる
白熱灯の陰り 閉ざした瞼から
上手に笑う あなたが潜 ....
【行方を尋ねないでください。
それは、行方不明になりたかった人、限定で、お願いします】
そんな紙を 寂れた下町の施設に 貼ってあげたい時がある
何の名札も値打ちも持たないということの
....
オバケ同士で驚きあっている
苦行に明け暮れサラリーマンは電車の棚で蛹になった
無関心という制服に包まれたシュークリーム並の少年たちが
耳におしゃぶりを挿したまま喃語と一緒に痰を吐きまくるから
ユニクロを着た老人たちの血圧は ....
強烈な風雨を受けて
折れてしまった月下美人の葉を
何気なく水に差しておいたら
根が出た
その後も根は伸び続け
葉のくぼみに蕾をふたつつけた
さすがに花を咲かせることはなく
....
小声で褒められた
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