すべてのおすすめ
やさしい
やわらかいものばかりに
触れてしまっていると
ひりひり、ひり
とした痛みのあるものを
抱きしめたくなる
不安や安心やそういったことに
関係するのかもしれない
宇宙や星や月 ....
満開の桜の下に集う人々は
静脈のように透き通っている
花曇りの午後に風が吹いて
柔らかい水のような眠りを誘う
穏やかに笑う彼らの腕時計は
それぞれの時刻で停止している
目的も意味もそっ ....
歩いて来た
砂浜に落とした
貝殻のベッドが
受け止めるもの
薄い体に
透ける光の道
星の嘆きや叫びを
映し出す
心のバリアを
外した時に
初めて輝く
命の呪文
人が ....
静けさの
充ちて
落ち着き払う
この夜陰、
独り在ることに満ち足りて
私はゆっくり沈んでいく
底抜け宇宙の底の方へ
私はうっとり泳いでいく
其処は貴女の声、発せられるところ
其処 ....
安寧だとおもっていたら
令和だった
冷ややかな祭祀色のつよい名だ
平成が決まったころを思い出す
平成、なんだ
そんな感じだった
今回はなんだか
古代にタイムス ....
流した涙や
赤く染まる血が
透明になるまで
過ごした時間
ありがとうは
一億人の心を
結ぶ羽根だって
みんな知っている
ギュッと守られた
お弁当箱よりも
偏ることのない
....
現と擦れて詩が浮かび
境と接して死が浮かぶ
現も境ももう近しく
それなら詩と死と
しとしと濡れて
行ける処まで生きませう
現と境の溶けるまで
背負った重荷の露となるまで
背を正すこと、 ....
遠く離れても
砂漠の熱を辿って
くっ付く磁石のような
心でありたい
いつも一緒に
いられる喜びを
僕たちはきっと
手放したから
パンの耳で作った
檻の中に
君を置いた朝
....
雨は解かれる時間
こどもたちの声の重なり
散る 花のモザイク
煙は祈り 空は響かず
水は光を乗せて黒く笑う
蛇のように去る なめらかに
井戸に落ちた人
井戸が歩いている枯渇した
....
桜がことしも咲いてしまう
つまらない年中行事だと思おう
そう思わないと惨めだから
あなたは全然あってくれない
海ふかくもぐりこんでは
たまに息継ぎしにくるだけだ
....
丸い小窓を抜けたなら
まぁるい形になるだろか
四角い小窓を抜けたなら
しかくい形になるだろか
まぁるくしかくくなりながら
眠る赤児のくちをぬければ
どんな形になるだろか
そこにい ....
言葉に与えられている無限の力
なのに
言葉に素直になれない人たち
朝
おはよう
言っても
おはよう返せない人に
見せてあげたい
鏡に写してその顔を
くだらないお喋りはできても ....
海のかたちがある。
水を蹴る一枚のうすい尾ひれがそう
波に浮かんだふくよかな船体がそう
同じく、
空のかたちがある。
土のかたちがある。
宇宙のかたちがある・・・
〈美しい〉という現 ....
パジャマに血が滲んでいる朝は
なぜか少し早く目覚める
眉をしかめシーツを確認する
空は綺麗だ
*
わたしを好きと言う
その唇が
おどけにも見えるし真面目にも見える
アイスコーヒ ....
初めて手をつないだあの日
怖がる仕草が可愛くて
ぎゅっと握ってしまう
応えるように握り返してくる
君の顔が微笑む
暗闇のなかでもそれがわかる
出口 ....
頭の上に
王冠を乗せる
例えそれが
幻だとしても
春の日向を
掴めるだけでもう
靴紐の長さが
短くなる
旅人の靴が
動き出すまで
たくさんの爪が
剥がれるように
桜 ....
そっと、やりすごす
3月に降る雪のように
待ち焦がれた春のぬくもりを
追いやってしまっても
身の置き所もない苦しみも
雲間から射す刹那の空想も
砂浜に打ち寄せる静かな波が
押して ....
今日は少しだけ
穏やかな風
ブラウスの白い
襟がとんがって
羽ばたいてゆくよ
大地を蹴って
新しい生活を
求めながら
その羽根に
何を乗せるのだろう
宛て先のない
手 ....
単純にじっとしていられなくて胎児は未熟なその足の片方で蹴った。
に過ぎなかったのに、女はそれが嬉しくていとおしくて、側にいた男に報告した。
「私たちの赤ちゃんが今元気にお腹を蹴ったわ」
まだ生ま ....
低気圧が近付いてゐる午後。
少年が鉛筆を削つてゐる。
室内に、新しい芯の匂ひが満ちる。
「隆、下りてらつしやい」
と、羊羹を切り終へた母の声が階下から聞こ ....
柔らかな陽射し、
惜しげなく降り注ぎ
光の道、
何処までも続く
世界はきらきら煌めいて
風がもう絶えず吹いている
ああなんていいんだろう!
この春日の緩やかな傾斜に沿って
ゆっ ....
桜舞い散る裏庭に空は高く、
水晶のように澄んでいる。
心の闇は浄化され、
絵画に映す一本の道。
厳しさの中、隠された優しさに魂が宿る。
瞳に映る桃色の円舞、狂瀾。
春 ....
窓外の夜空をめぐる、星の配置と
食卓にならぶ、料理の配置は
密かに呼応するという
互いの杯を交わし
秘密の物語を語らう
一期一会の{ルビ宵=よい}
君と僕の存在を、結ぶ
糸の{ル ....
父親は帰って来なかった
隠れた墓の中に壺はあるけど
骨は入っていない
アカミチモー(赤道毛)グヮーの真ん中に
旗を掲揚する柱が立っていて
村の誰かに招待状(赤紙)が来たら
みんなが ....
すっかり日々は暖かくなり
桜もいよいよ開花間近
なのに私の心は鉛の様
不安と恐怖が波打って
奥底から沸き上がる
(昨夜は凶暴な悪夢に襲われ
汗みどろで目が覚めた)
すっかり日々は ....
とがった先に
やさしくあるわたしの、本質
何度折れても
頑なに再生する、じんせい
歩く足のふとももに
太く根ざす、わたしの信念が
いつか土に帰るときも
刻んできた言葉たちが
生きつづけ ....
夏をひとつぶ紙袋
開いた黒目も傷つけず
眠りの汀を照らすように
灰にならない書置きの
名前も知らない泥の中
前世と呼び馴らせば遠くて近い
五色の風の靡く音に
言葉転げて追っては失くし
....
宙空に
吊るされ
巨大な空虚が
肉身を引き裂こうと
している
足場は奪われ崩れ
奈落の底を眼前にし
私はそれでも
前へ前へと
自らに言う
不安と恐怖に
貫かれながら
もう駄目な ....
しゃぼん玉と
握手を交わしながら
掌に伝う
虹色の雫
弾いてしまった
鍵盤のように
瞳を震わす
メロディが欲しい
ターンタターン
用意されたのは
大きな舞台で
人と結ばれ ....
一輪挿しの花を
わたし達はただ愛で
やがて枯れたならば
裏の畑に埋めて
忘れてしまうでしょう
なぜ、忘れてしまうのでしょう
そうして人々はまたこともなく
明日の朝を、明後日の夕を ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146