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しんしんと
雪も降りそうな秋の夜
想い出すのはなぜだろう
星から吹く風に包まれて
山は変わって
夜は澄み
心は切なく
香りは優しい
叶わなかった恋ばかり
美しいのはなぜだろう
ピアノの強い旋律に耳を委ねる
他には音の聞こえない時間
僕はどこか自分の知らない自分へ
心の底のほうへさらさらと落ちてゆく自分を感じる
自分というものをどう扱ったらいいかわから ....
人間どもの
情念の切れ端が
いちいちこの世に刻まれてしまったなら
この地球も
いつしか宇宙の隅々までも
僕の狭い部屋や
遠いどこかの山村までも
情念で切り刻ま ....
路面
傘
ボンネット
木々の葉
草花
僕の手のひら
あらゆるところに降り注ぐ雨粒の一粒一粒が
耳を澄ませると
万別の音階で
声色で
思いで
....
白い花が二輪
口をあけて
雛鳥のようだ
世界に命を震わせながら
何一つ邪なく生きている
あなたの掌に
載っている
その形が好き
なぜって僕の鍵穴だか ....
中身の分からぬ箱を
幾度も運ぶように夜は来て
色を静かに塗りかえる
重ねられた隙間が鳴く
地球の裏の蝶
緑へ落ちて
陽を弾じく影
あたたかな不安
永い永 ....
柔らかい つのは
とても臆病
誰かに触れるたび
驚いたように
身を縮める
もうこれ以上傷つけあいたくないのです
この世がそんなに怖いなら
堅い殻の中に
ずっと眠っていればい ....
空に飛ばすもの
紙飛行機
手から与えられた動力だけで
人には真似できないことを
いとも簡単にやってしまう
おまえはいつだって軽いね
たった三秒の空中飛行に
まさか私が希望なんて
重たい ....
できないこと
それは人並みのこと
それが多すぎる自分を
鏡に映す
鏡は冷酷じゃない
うそを映してくれる
許すように
そっと
なにもかもを捨てようか
たずねてみた
いのち ....
わたしはかなしみに愛されているんだ
と確信した夜があった
抱きしめてください
とわたしは言った
かなしみはそっとわたしの許に降りてきて
降りてきて
隣に寄り添って理由をたずねて ....
東の空のしたで彼女が孫と祈っている
彼女は自分のために祈ったことがない
だからぼくが代わりに祈り守ってゆく
同じ時間よ
それだけが
欲しかった
同じ空間よ
....
「さあここへ」
木の若芽
街の人と里の民が
踊る はやす 祈る
働く つくる
楽しみ喜んで
太陽に向かって 海に山に向かって
音楽科の父と 画 ....
{画像=121007020710.jpg}
さんぽのとちゅう
すりよるこねこの
せなをなでたらね
せぼねをじかにさ
かんじてしまって
せつないかんじだ
....
くたくたにくたびれ優先席で寝入っていた高校生
に傲慢な老人が席を譲れと激しく言い寄っていた
悲しかった
野分
木の若芽
海に生まれ海を吸い
東から西から
竹の葉のような島を
南へ北へめくりあげ
野分
秋果をもぎとり海に果つ
俺の牙は何故歪み
俺の牙は何故曇る
俺の牙は何故呆け
俺の牙は何故縺れる
ほら、幼い日、あの廃工場脇の
忘れられた路地を自転車で駆け上がるとき
どうしても気にしてしまう
ペダ ....
おまえも ころもがえするんだろうと
犬に話しかける
ええ そろそろ冬毛が生えてくる季節です
けれど 私には長袖も半袖もありませんし
化繊や木綿や絹だとか
細かな品質表示はもとより
陰干 ....
なにかの腹いせに
捨てるように蒔いた種が
季節を無視して咲きはじめる
かみなりのなる夜に
濡れながら
裏切るように白く
うすべったい花びらが
いっせいに
いつまでも
あな ....
人は生まれながらに、
生きる権利を持つ。
もとい、
人は生まれながらに
表現できる権利を持つ。
であるからに人は皆
アーティストである。
ひとをじぶんのもとに呼びつけない
これぐらいでいいだろうとは思わない
じぶんや周りの?や!を素通りしない
めんどくさいことを途中でやめない
反論に対しては反論しない
....
伝えることができたのだろうか
熟れ落ちていく夕陽の悲鳴を
表わすことができたのだろうか
沈殿していく闇の舌なめずりを
キーを叩く指の隙間から
瞬間は呆気なく零れ落ちてしまう
慌 ....
コーヒーとクッキーとタバコの三者択一をせまられて、
それらの選択肢の詳細を明示されない。
コーヒーはドリップなのかエスプレッソなのか、
クッキーはバターをつかっているのかいないのか、
タバ ....
眠るときはまるくなる
骨を抜いたイカのように
立派な毛皮に包まれた
ただの肉塊になる
目の玉はビー玉
なにを映すかはまだ決めてない
占いはできないけど明日はみえる
今日と似ていて少し ....
ハムスターは耳がいい
ささいな音も知っている
がじがじ がじがじケージをかんで
えさよこせ
えさよこせ
飼い主はねむってる
飼い主は怒ってる
飼い主は ナイテイル
やれやれ ....
肉を食う
うまい!
なるほど
これが生きるってことか
肉がうまいという驚愕の事実
生死について論じる前に
なぜ肉がうまいのかについて考える必要がある
生に関する考察も ....
生きるだけの塩と
砂糖とたんぱく質
ミネラルとビタミン
水があればいい
それとテキスト
これが重要だ
生きることに勇気を与え
いのちの滋養となるものがいい
働くことに力あふれ
休むこ ....
まいにち、テレパシーをとばしている
とどいたのかなぁ
今日は雨だけど ・・・
れんちゃんにとって
六月はもう、真夏とおなじだった
朝から暑くてたまらないみたい
ひんやりつめたい ....
出かけるのなら
帽子を被ってお行きなさい
いざという時には
バケツになるから
出かけるのなら
傘を持ってお行きなさい
空から降ってくるのは
優しい雨だけと限らないにしても
出か ....
強烈な腐敗臭がする
淀んだ汚いドブの水に
長い間 私は浮かんでいた
そこから見える空は
暗雲に隠れて 鈍い光を放つ
偽者の太陽だった――
這い出そうとすれば
誰かが足を引っ張って ....
やっと今日の仕事が終わった
選び間違えた 水の様なアイスコーヒーを飲み干して外へ出る
工場の騒音のなかで暮らしていると帰る頃には
虫の音なのか 耳鳴りなのか全く区別がつか ....
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