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目の前にグラスが在る
グラスは透明な水で満たされている
私は喉が渇いていたので
そのグラスの水を一気に飲み干す
空のグラスが残る
ずんぐりとした円柱状の
空のグラスが在る
すぐ眼前に ....
早朝の森で思いがけず、たった今闇を超えてきたばかりの光と出会った。
昨晩の雨で緑はいっそう鮮やかに輝き、濃い匂いが辺り一面漂っていた。
貴方の散歩道を熟知していた私は先回りをしていつもの ....
ほんの少しの願望に疲れを感じる昼下がり。
九月の雨は遠く憂いを含んでいる。
彷徨う人は彷徨い、佇む人は佇み。
寂しがり屋の誰かの心は僕を郷愁に誘う。
非日常の中に日常を見つけ ....
駆けてゆく夜を
つまさきで蹴りあげた
一秒コンマで
加速するみたいに
エスケープ
するりと脱げて
もう
わずらわしいこともなく
褪せるばかり
かしづくまえに
ほどけおちる花束
....
静かだなあ
今夜はなんとも静かだ
昨夜からの疼痛が
今は嘘のように収まって
気持ちも
まぁるく落ち着いて
こうして詩の言葉を綴る自分が居る
ちらっと記憶の奥を覗いてみたり
火照る身体を ....
笑い声は好きじゃない
怒鳴り声も号泣も
演説も告発も
講壇やテーブルをガンガン叩くのも
古い写真の笑った顔が好きだ
どこかの いつかの 誰かさん
笑い声は好きじゃない
だけど幼子 ....
生きるって
情けなくて
つらくて
悲しくて
格好悪いことかも知れないよな
どうせ生きるなら
浄らかな生命で生きたい
どうせ生きるなら
強い生命で生きたい
それにはこの信仰しかない ....
挟間を飛ぶ鳥
強い光と炎で焼き切られ
もはや色彩不明
それでも囀り
白い骨だけになろうとも
影すら焼かれ
全てを失おうとも
飛び歌う
ふさふさの羽根もいらない
ただ届ける
魂だけで ....
きょうは電磁晴れ
ドイツもオランダも
ギリシャもナガサキも
世界なんて波の調べ
もっと適当でいいよ
意外な感情や答えを
ばっかみたいにトレース
男も女も愛 ....
きのう
セミはことしいつ鳴き止んだかを
思い出していた
わからなかった
鳴き出した日もわからない
とっくに無頓着に生きていたんだ
窓のすきから台風一過の昭和の空 ....
窓ガラスの向こう側
ことばにもならない
届かない 届けられない想い
潤んで たえきれず 幾筋も
雨は伝う
窓ガラスの向こう側
すぐそこに 見えながら
越えられず 力尽きて
くずお ....
誰かを疲れさせて
その誰かに去られてしまう
おなじことの繰り返し
壁一枚むこうに見えてるじゃないか
壁を越えられないなら
上から見てればいいじゃないか
突き破っ ....
木が騒いでいる
風と葉擦れが波のよう
潮の香のない海のよう
虫が鳴いている
幾重に重なる星のよう
その音色が宇宙のよう
ぼくらはどこから来て
どこへ還るの ....
経験は尊い
苦難を背負うことで
他の痛みを知ることができる
と、
それがどうした、と
苦しみで他の痛みどころではない、と
我慢する必要などないのだ
他の痛 ....
かわいい小鳥が鳴いてゐる
かわいい小鳥が鳴くたびに
肩がずきりといたい
ええ わたしは鳥だつたんですよ
ひとのゐないところでは
いまでもときどき鳴 ....
今日の午前三時
痛む肉を携えて
部屋の暗闇に沈んだまま
私はひたすら夜明けを待っていた
その時また
意識のふわりと広がり始め
頭上から垂直に響く
無数の秘やかな息遣いに
じぶんの息 ....
夕暮れ、時は奏で、美酒に酔う。
天空のカーテンは降ろされ、夜が舞う。
見つめる瞳に、内なるものは恐れ、
夜空の瞬きは、最期の光を大地に落とす。
崩れかけた古城のほとりでは、子供 ....
青空に
雲だか僕だか
漂って
大きく息を吐いた
眩しくて
今度は急いで吸い込んだら
潮だか草の匂いが少しした
幸せだな
夜風たのしい
思い出す当たり前のこと
当たり前は当たり前ではないこと
夜風さびしい
思い出す傷つくこと
傷つく体力ももうどうやらないこと
夜がはやい
ビル ....
此処が何処だろうが
誰が誰だろうが
私は私だ
宇宙を横切り
宇宙大に広がり
あらゆる処に点在する
在る処の私だ
人はもはや帰属先への執着を捨てていくだろう
人は自らを異邦人として見 ....
魂、魂、降て来よ
何を考えているのかわからない
と言われる
ならばわからないままでいい
言葉じゃなくて
伝わること
伝えるべきこと
持ち続けるべきもの
言葉じゃなくても
....
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人であると知る
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人ではないと知る
ある日
同じひとりの人が
そんなふり幅で
弦も響いて
からっぽだから余計に ....
虹の根元を今日の夕暮れ初めてみた
輝く太い白柱、虹の弧を支え
余りにリアルなその立体の佇まいに
遠い遠い常世から
繋がり報知する
そのサイン
確かに見事に聳え立ち ....
腕に生ぬるい風が
夏の叢に虫の音が
頭に響く星のこえ
秋の煙を幻視する
過ぎていく
一年が
三年にも十年にも
万年にも光年にも
思える
還って ....
木々が襟を立てて拒む間
風は歌わない
先を案じてざわざわと
意味のないお喋りを始めるのは木
いつしか言葉も枯れ果てて
幻のように消えてしまう
すっかり裸になると
しなやかに 風は切られて ....
わたしが
単に私で在る
時、
わたしは世界の一点
世界を占有せんと世界に挑み
わたしは限られた一点に住み込み
限られた一点から世界を眺める
(どけ、そこは俺様の場所だ!)
わたしが ....
どんな物事も永遠には続かない
だからこの苦しみにも終わりが来る
そう思うと少しだけ勇気が湧いたんだ
幾つもの空を超えてゆくのだろう
君は今
どんな空を見てる?
雨雲
曇り空
晴れ渡る空
どんな空でも
雲を突き抜ければ
青空が広がる
だから心配しなくていいよ
明日はきっと晴れ渡る
誰かにとっていい人が
誰かにとって悪い人かも知れない
みんな抱えきれないおもいを抱いて
抱きしめて
生きてる
そんな事を思い出すと
やりきれなくなるよ
パニックになる
どこかで人にあた ....
毎朝コーヒーを淹れる
住む場所が変わっても
毎朝コーヒーを淹れる
目覚めが良くても 悪くても
くやしくても
久しぶりに上等な豆を買った
ふたり分
ふっと息を止めて ていねいに ....
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