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 さみしさが夜空にぽっかり浮かんでいた。
 月は雲に隠れてしまった。
 噛み締めたくない孤独は、目の前で立ち昇る煙草の煙と共に、
 私の胸にその影を落とした。

 夢の中で何人もの人を殺 ....
 鏡に映る自分の立ち姿にあなたの面影を重ねる。
 こんな秋の夜長には。
 
 家中の時計が鳴り響く。
 おまえは時を刻んでいればよいものを。

 ポーの描いた大鴉か、リヒテルの奏でるラ ....
 北欧の地の寒空にカモメが何羽も飛んで行く。
 機嫌を損ねた海原に彼女の顔を重ね見る。
 愛は飛んで行った。
 この悲しみはなんだ。

 共に過ごした年月に期限などないと思っていた。
 ....
 日本の庭に金木星が匂い立つ。
 鼻腔への刺激に私の心は宙に浮く。
 ほんの少しの優しさを取り戻すと、
 明日への希望が胸を透く。

 一人の友人が去ってゆくと、
 二人の友人が現れる ....
  神様、どうか私を見捨てないで下さい。

 心に悲しみ満ちて、静かに訪れる夕暮れに頭を垂れる時、
 一人きり、森の奥深くにある小さな教会に足を運ぶ。
 
 重たい扉の向こうに見える木の ....
 時代という鐘がなって、僕は生まれた。
 コンクリートで固められた部屋には窓がひとつあって、そこから海が見えた。
 そこには髪の長い女の子がいて、自然と二人並んで海を見ていた。
 海の音も風 ....
  お前は夢を見ているのか。

 緑に囲まれた小さな庭の片隅。
 日陰に置いた籐椅子に腰かけたお前は優しく眠っていたのだ。
 
 静かな寝息を立てているお前に私は小声で語りかけた。

 ....
 さっきまで明るかった空が暮れてゆく。
 家路へと急ぐ人達に紛れ込み、今日も一日が終わろうとしている。
 暗がりの中、明かりが灯された電車の中で私は孤独だった。
 誰かと話したい訳ではなかっ ....
 自由。それは広大な草原を駆ける馬。
 自由。それは大海原を切り裂く帆船。
 ほんの少しの自由を得る為には
 愛されるより愛する者でいることだ。

 人生。それは成功と失敗。
 人生。 ....
 美を描くノートは未だ白く、
 夜と朝の狭間でゆらゆらと揺れている。
 美の中に優しさを忍ばせて、じっと待つひと時。
 窓から望む街路灯が不規則に消えてゆく。

 淡い夢のような微睡が訪 ....
 青く澄み渡る空の下、高原の塔の前に立つ。
 息を吸い込むたびに体が宙に浮いてゆく。
 時代を遡るかのように。
 過去を愛せるようになればきっと未来も明るくなるだろう。

 ラベンダーを ....
 新しい時計が時を奏で始めている。
 今日海へ行った。
 あなたは無邪気な子供のように、小さなカニの居場所を僕に告げた。
 湿気を含んだ海風が僕らを包んだ。

 さようなら、僕の遠い日。 ....
 悲しみは風と共に去り、苦しみが嵐と共にやって来る。
 ひと時の微睡は幸福だった。
 人の心は無防備で、一輪の花のようだ。
 花弁が一枚ずつ剥がれてゆき、やがては枯れ果てる。

 寂しさ ....
 寂し気な横顔に紅玉の涙。
 野良犬の遠吠え。
 都会で感じる孤独。
 湖面に広がる波紋。
 雪解け水の流れる小川。
 都会と田舎の狭間。
 煙草で補う時間の浪費。
 尖った神経の矛 ....
 桜舞い散る晩春の朝だ。
 風は未だ冷たく、貴女の頬を赤く染める。
 故郷の庭では椿が咲き誇る。
 ストーブの上ではやかんが湯気を吹いている。

 頬を染めた貴女はいつしか私の手を握る。 ....
 新しい明日を迎える為に今日という日のスーツを脱いだ。
 街角の雑踏、裏通りの饐えた匂い、散乱する生。
 風のように過ぎてゆく時を眺めると、欠伸が出る。
 今日も懸命に生きた。

 充実 ....
 そこにいるのは誰?
 森の入り口で僕は小さな叫びをあげた。
 昨夜からの雨の上がった朝だった。
 風そよぐ緑の中で気配は続いていた。

 君は僕の味方?それとも・・・。
  味方かど ....
 巡る季節の儚さは闇夜に隠れた月のよう。
 一人娘の待つ家に抱える苦悩の薄化粧。
 橋の欄干飛び越えてその身を投げる決心も
 ひと時待てば揺らぐもの。
  
 支えはあるか?いや、ない。 ....
 聞き覚えのある旋律に耳を澄ますと白樺の林が見える。
 よく冷えたアールグレイを静かに飲み干す今日の朝だ。
 旅から帰った私の半身が私を書斎へと誘う。
 白紙のページに厳かに書き下す旅日記。 ....
 寒空の中、人間の苦悩が立ち上る。
 ただ今を生きていたいだけなのだ。
 私は人の死を恐れる者。
 遠い死も身近な死も同じ事。
 
 死は死だよ、と友は言う。
 早いか遅いかの違いだけ ....
 僕は僕の書斎でもうしばらく忘れ去られていた小箱を眺めている。
 小箱の蓋には何かで削られたような痕が残っていた。
 その時、ふっと風が吹いた。 
 壁に架かる絵画の中で少女がブランコに乗っ ....
 月明かりに照らされた夜の花は青く霞んでいた。
 虚無を抱えた若者の奏でるピアノは枯れている。
 長い歴史の中で誰かが落としていった休符は
 どこかの枯山水に配置された石のように儚い。

  ....
 映える緑の並木道をゆくと教会がある。
 尖塔が銀色に輝き、裏手を流れる川のせせらぎが聞こえる。
 数知れぬ魂の鼓動は木の十字架の前で私を探している。
 まるで異国の者を探るような眼差しで。 ....
 朝焼けが目に染みる。
 夜の魔法がゆっくりと溶けてゆく中、
 寝ぼけた国道がやけに青白い。
 心にゆとりがあるようだ。

 夜と朝の境目の時間。
 僕は一人車を走らせる。
 バイク ....
 頭の内側から小さな手が生えて
 目の玉を内側からひっくり返す。
 黒目が僕の脳内を観察している。
 まだ手遅れではない。

 頭の一部分を小さな手が刺激する。
 耳の奥からがさごそ音 ....
 届いた風の便りに耳を傾けると冬の音色がした。
 煤けた樅の木に電飾が灯った。
 静かなメロディーが部屋中に染み渡った。
 心の状態に合わせて蝋燭が揺れていた。

 窓の外は雪だった。
 ....
 黒い指先でノートに描く空想は踊る。
 悲しみのインク、苦しさのインクはすぐに消えた。
 快楽のインク、喜びのインクだけがノートに刻まれる。
 夜は静かに更けてゆく。

 ノートに綴った ....
 異教の里で出会ったのは魂の遍歴だった。
 彼や彼女が生まれ、死に、そして生まれた。
 前世の記憶が正しければ、私はハーブ売りで彼女はほんの少女だった。
 そして二人でいびつな小窓から覗いた ....
 ため息交じりの朝、風はそよぎ、鳥は歌う。
 ベランダに用意されたささやかな食事。
 葉を落とした木々が静かな影を落としている。
 すべてが謙虚な幸せに包まれている。

 注がれた珈琲に ....
 午前のアトリエに光は射し、人はいない。
 淡いキャンバスに薄くデッサンが描かれている。
 海だ。
 透明で純粋な世界がそこにあった。

 時間と空間の概念をその筆に携えて、
 その海 ....
朝焼彩茜色さんのヒヤシンスさんおすすめリスト(228)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
或る夜に- ヒヤシン ...自由詩7*18-11-18
どこかのレクイエム- ヒヤシン ...自由詩11*18-10-27
透明の地- ヒヤシン ...自由詩6*18-9-23
秋への入り口- ヒヤシン ...自由詩5*18-9-23
ガヴォット- ヒヤシン ...自由詩4*18-8-24
時代の鐘- ヒヤシン ...自由詩4*18-8-11
午睡- ヒヤシン ...自由詩10*18-7-14
海街- ヒヤシン ...自由詩6*18-7-7
創造~彩る者- ヒヤシン ...自由詩8*18-6-16
欲望~詩作- ヒヤシン ...自由詩5*18-6-9
塔と鐘- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-26
新しい時間- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-18
五月の。- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-12
再起- ヒヤシン ...自由詩4*18-4-28
幸福~晩春の朝に- ヒヤシン ...自由詩4*18-4-14
見えない明日- ヒヤシン ...自由詩3*18-4-14
そこにいるのは。- ヒヤシン ...自由詩8*18-3-24
美誠を築く- ヒヤシン ...自由詩9*18-3-10
徒然に~白樺の林の中で- ヒヤシン ...自由詩2*18-3-10
死の向こう側- ヒヤシン ...自由詩3*18-3-3
一人の世界- ヒヤシン ...自由詩5*18-2-17
夜明け前- ヒヤシン ...自由詩7*18-1-27
映える緑の- ヒヤシン ...自由詩4*18-1-13
朝焼けが。- ヒヤシン ...自由詩3*18-1-6
未来- ヒヤシン ...自由詩2*17-12-29
夜の歌。- ヒヤシン ...自由詩3*17-12-23
黒い指先~夜に。- ヒヤシン ...自由詩4*17-12-9
遍歴綴り~午後に。- ヒヤシン ...自由詩5*17-12-9
巡る心~朝に。- ヒヤシン ...自由詩3*17-12-9
午前のアトリエ- ヒヤシン ...自由詩6*17-12-2

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