なぐ、じかん
はな 

えりちゃんのにおいがして
雨がすこしふった
きれいなえりちゃんはふきげんで
ようふくの襟を
ひんまげて

おとうさんはとかげを撫でて
まどを 
すこし開ける


えりちゃんの隣に正座して
余った たこうぃんなーをあげる
あんたはいいね とえりちゃんが言うので
よくないよ
もうじき十九だし 
ぶすっとして返したら、笑って
もういっこ だって

夕食をならべるとき 
ふいに
きつねにばかされてもいいや と、おもう
おかあさん 
なんて
もう 呼ぶ歳でもないけれど
あなたならこんなとき
何て
言うのだろう


おさらは三つ
東京にきつねは来ない
それでも
あたしだってわからない と
えりちゃんが言った日から
すこしずつ
いつかこわした いくつもの夕焼けが
まほうのように
にじんで
なおってゆく 気がした



電話口で
ひらあやまりのおとうさん
えりちゃんがいたずらな舌を出して
そふぁには ちいさい花が咲いていた





(おみあいの日に 2005.6)





自由詩 なぐ、じかん Copyright はな  2005-06-20 12:47:23
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