花、枯れない、枯れる
石黒あきこ
ミニバラ、カスミソウ、トルコキキョウ
ある揺らぎが産み落とされた、
この日
このよく晴れた日をふちどる、
あざやかな
あざやかな
モノクロの葬列
/今日も大量の薬を飲む。てのひらから零れ落ちる。雑多な色の錠剤。わたしの血は不純物。わたし、ふじゅんぶつ。冬の日に描いた幼子。頬の線。冬の日、降りしきる雪の中へ走り去ってゆく。/
ゆるやかに起立するガーベラの
花弁、ひとひら
もつれるゆびで、
千切り
もつれるおくば、
で、
かみくだく
/風、高らかに。鋭い日射しを巻き上げて。膝がわらう。煙草の灰が、落とす前に尽く飛ばされる。腕を。腕を空へ伸ばす。過剰につなぎ合わされた傷痕には、映し取れない確実性が存在する。/
透明な曲線の先に見えた
あたらしいせかいのゆがみを
わたしは
わたしのものとする
仕立て直した
カスミソウの屈折率は
それでも、
言葉を発しないまま
/知っていたのだ。凍えた指先に回帰してはいけない。/
この花たちがすべて枯れたら
わたし、また、ひとつ
じぶん詩2009年秋第10号掲載作品