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一人の子が転倒した拍子に
持っていた飼育ケースの蓋が外れて
甲虫が飛んでいってしまったことを
なかったことにしたいと思って
その子がもうすぐ起き上がって
気を取り直すまでの空白を用いて
誰 ....
崖があり
陸はそこで終わり
振り子運動の仕掛けとして
ボールがひとつ手元にあり
結わかれた紐のもう一方は
斜め上空の
実在しない高さにまで
続いているのだという
手を放すとボールは
 ....
二台のロケットが
異なる方向に
まっすぐに飛んでいく
何も無い空間を
お互いに示し合わせて
同じ部品を欠損していた
同様の不具合が
等しく生じますように
やがて一台が壊れて
粉々にな ....
朝早くから
ショベルカーが稼動し
小人は井戸のところにいた
ちり紙でつくられた椿
丸一日をかけて
取り壊されていく母屋を
いつまでも見ていたい小人に
昼過ぎに雨が降る
小人がかけ足で帰 ....
エンジンのいらない 未来の飛行機が ひんやりとしずかに 旋回している メキシコのような景色の あちらこちらで 牛の化石が見つかり どれもこれも 老衰に違いない 長い時間を生きたのに 石になるまでには  .... 河を流れてきた
赤い自動車の
少しずつねじがゆるみ
河口近くで分解して
離散した
たくさんの自動車部品となり
ほど近い海に沈んでいく様子

(行かれるはずのない
 遠いところにあこが ....
丘の上にかつては 養蜂場があったけれど 長い時間に淘汰されて 一対の傾斜だけが残った 永久機関を試したくて 時おり勾配を上っていく かわいた木馬の姿はいつも 同じところで見えなくなるので そこから先が .... 亀が永遠にいきていくのを 
最後まで世話をしたいと願う 
彼はもうすぐしんでしまう 
でも×月×日は朝早くから 
数えきれないだけのキャベツを剥いた 
いつのまにかキャベツは無くなり
気が ....
河川敷でオギの群生が燃えて
大量の灰が河を流れた
きいろいでかいはな
きいろいはやいでんしゃ
それ以上は小さくならない単位からの
新しい組成の可能性が
河原をすすむほどに薄れて
遠いとこ ....
とても広い湖の
至るところにブイが浮かび
竹を編んだ丸いものが
そっと押されて岸を離れる
竹を編んだ丸いものから
一つのブイが遠のいていき
またそれ以外のあらゆるブイが
どれも等しく遠の ....
たもつさんの砧 和日さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
幻視譚- 砧 和日自由詩1010-5-24
ながいき- 砧 和日自由詩410-5-17
通信- 砧 和日自由詩909-7-29
チェコアニメ- 砧 和日自由詩10*09-3-15
SF- 砧 和日自由詩11*08-2-17
新世界- 砧 和日自由詩9*07-4-14
喜望峰- 砧 和日自由詩8*07-4-7
近道- 砧 和日自由詩607-1-7
トーエ- 砧 和日自由詩9*06-11-25
魔法- 砧 和日自由詩12*06-10-7

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