empty rooms
mizunomadoka

鍵がないことに気が付いて
ドアノブに手をかけると
抵抗もなくドアは開いた
一度振り返ってから中に入る
靴は脱ぐべきだと思いながら

リビングにつながるドアを開けると
見たことのない女が水槽の液体を飲んでいた
夢だと気が付いて
振り返るとカーテンが揺れていた

まだ眠っているあなたの枕元で
窓が徐々に開いていく
血まみれの赤い手がカーテンから音を立てて
床に落ちる
あなたはまだ気付かない
水槽に映る

誰もいない部屋のドアノブに鍵を差して
誰かがドアを開ける




自由詩 empty rooms Copyright mizunomadoka 2010-05-17 22:16:37
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