遠き空より舞ひ落つる
雪の光を感ずれば
やはら一ひら手に取りて
心を開く花と見む
近き川より流れ寄る
水の光を眺むれば
しばし一向き佇みて
心鎮むる音とせむ
遠き国より打ち寄す ....
或る若き詩人に
§
意味のある人生とは何でせう?
食べて、仕事して、セックスして、寝る。
これこそが、意味のある人生です。
詩は無意味です。
詩なんか、なくとも生きてゆけ ....
闇に押し潰されて
ぺたんこのあたしと
黒猫いっぴき
三日月の下
『ねこ、ねこ』
ぺたんこのあたしはぺたんこの声
黒猫はにゃあと、
やけに現実でただいっぴき
おまえはあたしを愛し ....
今の自分がすることは
今の自分を壊すこと
今の自分を壊さなければ
今の自分のままだから
今の自分を壊さない限り
新しい自分が生まれない
今の自分がすることは
今の自分を壊すこと
....
足
足は手よりもぶきっちょうだ。
しかし、僕は
限りない愛着を覚える。
それは ....
同じ世界の
こんな近い場所に
お互い片翼を持って
生み落とされた
離れる事を許されず
愛する事も許されず
近ければ近いほど
遠い事を知らされる
片翼のまま
バランスさえとれず ....
青く煙る 夕暮れ
窓から 黄昏の気息 忍び寄り
一人 聖書よむ 我
ロザリオ握り締め ラテンの呪文など唱え
夕焼けの紅 粗末な卓にかかり 青く遠く 紅 近く
偉大な日没を見入る もう夕べの祈 ....
まためぐる季節に
埋もれてくしろいまち
夜が来るたびに
暗がりの向こうから
沈黙を引き連れて降る白
霜焼けの幼い手のひら
目が眩むような世界に
迷い込んでしまわないよう伸ばす手
誰 ....
青い冬空透き通る
沢の{ルビ辺=べ}歩くその音は
見渡す空の声となり
孤独を忘れる時となる
白い{ルビ川水=かわみず}清らなる
峠を越えるその風は
鳥を寄せ呼ぶ歌となり
勇気を与える ....
空にかかる、一筋の虹は
七色の光で
人を引きつける。
君はきっと、きっと。
虹と一緒なんだね。
遠くから眺めることしか出来ない、
遠い。遠い。
かけ離れた人なんだね。
いつかきっと。
....
頭の中の言葉が
たくさんあるというのに
捕まえることができない
つかもうとする手と言葉とが
磁石の同極同士のように
退け合ってゆく
言葉が拒んでいる
言葉をつかめない
そうではない ....
冷蔵庫の中に沈む午前三時の闇
車座に向かい合って呟き交わす僕らの言葉を
陰鬱に笑うオレンジ色が
少しずつ噛み砕いていく
(僕たちはどのくらい現実なのだろう)
昨日
....
ちょっとでいいよね
ちょっと優しくしてもらえるだけで
それでいいよね
多くを求めちゃ欲求不満
幸せからは遠いよね
ちょっとでいいよね
ちょっと願いが叶うだけで
それ ....
小さな種が風に乗り
何もない原っぱへ流れ着いた
恵みの雨から栄養を貰い
小さな小さな芽を出した
その芽は太陽の光を浴びて
人間くらいの高さになった
巡る季節を幾度も ....
何もかもが寒い夜だった
遠く離れた家から
犬が吠えている
その声が神経を尖らせる
何もかもが切ない夜だった
窓から覗く街灯の
力のない光が見えている
その暗さが心を曇らせる
何 ....
小さな花びらを手にとって
空耳が乗せる旋律を紡ぎ
微かな記憶は風に沿って
僕の脇を通り過ぎていく
遠い昔に見た夢と
歩く舗道の道の先に
僕の瞳が重ねるものは
茜に浮ぶ君の幻
ぼ ....
薄闇のなかで煙っているのは
発光するわたしの、産毛にかかる氷雨
ヒールを脱ぎ捨て、アスファルトに踏み出す素足は
ぴしゃり、ぴしゃり
水溜りに滲んだネオンを攪拌する
ぐっしょりと水 ....
憎しみの中に愛があると
都合のいい性格占いのような
内在する、という{ルビ幻想法=パラダイム}で
あなたの半身を
私は求めてしまった
こうして高原に陣取り
遠めがね ....
ショッピングセンターの、ひとけの無い屋上駐車場に、子どものすすり泣く声が響いてゐる。
・・・と言ふと何やら怪談めいて聞こえるが、そんなロマンチックな話しではない。
誰が泣いてゐるのかと思へば、可愛 ....
{引用=
一、ハッピー・バースデー
たとえば今日が
誰かの命日かも知れなくても
生まれたあなたに
おめでとう
そうして
またひとつ
わたしは欠ける
たとえば今 ....
今日もまた
放課後
シーソーの片側に座って
浮き上がれる瞬間を
待っている後藤くんは
自分を宇宙人だと思っているらしい
グラウンドには長く
影が伸びて
僕の生まれた星にも
....
私が昨夜、落としたビーズ瓶を踏みつけて
粉々になったのを
太陽から泳いできた魚たちが食べる
お父さんは
ここらでいいだろうと
トランクから釣竿を2本取り出して
私たちは釣りを始めた
....
銀を光らせて
少年は輪をなげいれた
輪は的中した
{ルビ傍=かたわ}らに立つ年上の少年は
おだやかな黒い{ルビ眸=め}は
輪をとびこえて
はるかな向こうをみていた
そして
今初めて遇っ ....
土が凍る
雨はまだ降らない
厳しい季節の中を
ただ一人
手を開けずに
じっと見つめている
冬の大地
空が凍る
雲はまだ進まない
切ない季節の中を
わずか一人
歩けることなく
....
あなたと繋がるその一瞬に
何故だろう無性に不安になる
このしあわせが明日もありますように
と、祈りながら声をあげる
ゴーアウェイ付きまとう影よ
愛することに怯えたくない
すべて預け ....
夜行列車「能登号」車内
すでに電気が消えた
午前二時十五分
数えるほどの乗客は
皆 {ルビ頭=こうべ}を垂らし
それぞれの夢を見ている
一人旅に出た僕は眠れずに
開い ....
鳴らないインターホン
一人では広すぎる部屋
無意識のうちに閉ざした心
誰が扉を開いてくれるだろう
疑うことはとても簡単だ
小さな綻びを見つけだせばいい
厳重に施錠された鉄の ....
初めてこの道を通ったとき
小さな花が咲いていることに
気がつかなかった
初めてこの道を通ったとき
向こうから歩いてくる人が
君だったことに
気がつかなかった
初めてこの道を通った ....
転びました
擦りむいた傷口に
くちびるの感触
夕日は沈んだし
帰らないと
さようなら
離れた手のひらは
僕のそれとそっくりです
赤い目をしたウサギが
道路の真ん ....
遠い遠い視線の先に
キラキラと煌いている
風の瞬きが視界を掠める
正体を掴み取ろうと
近づいて行くたびに
彼方へ彼方へ遠ざかっていく
形而上の産物を目にして
それをアルシュレッタと名 ....
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