熟されてワインのように薫る日々
ひとひ{ルビ一日=ひとひ}を飲みほす人生
男泣き今にこの恋忘れるさ
五臓六腑にいも焼酎よ
紫煙はき椅子に毒づくたったひとり
....
言葉は心と心を結ぶ橋だから
言葉をたくさん知ることと
言葉を多く使えることは
言葉と心が一つになる
言葉の心は心の言葉
言葉は自分の心と
言葉の心を結ぶ
言葉は結ばれ
言葉の心と
言 ....
盲目の道化がひとり
ごった返す真昼間の往来を
踊るような足取りで歩いてゆく
それを指差して嘲笑う子どもたち
囃し立てるように
手を叩いて大騒ぎする
皆がそれに気を取られている隙に
....
母が二階で
掃除機をかけている
天井が振動
する度に埃が落ちる
右側の窓を
あけておくのを忘れてしまった
閉めっぱなしでは祖母が
家の中に入ってこられないのに
....
体のまあるい婆ちゃんが
ぜいぜいと団地の階段を上っていた
通りがかりの少年は
後ろから両手で腰を抱えて
ゆっくりとした歩調と合わせ押し上げた
( 振り返ると
( 団地の ....
今日の空が知りたくて
朝から空を見上げれば
昨日と同じ秋の空
でもどこかが違う
昨日はつぼみだった山ゆりが
白く大きく咲いている
今日の空は少しだけ
昨日の空より白かった
今日 ....
しらないものが多すぎて
わたしたちはいつも
上手におぼれる
陽射しとは
なにを探し出すための
あかりだろう
こたえなどわかる筈もなく
求めるわけもなく
わたしたちはいつも
上 ....
十月の
夕刻にしては
あたたかい風が
秋の
冬の
装いを始めた草の
乾いた匂いを運んでくる
霞がかった空は
穏やかな表情で
まだ染まるには早い
青く連なる山々に添う
静か ....
浴室に腰掛けて身体を洗っていると
虫の声が
地面を敷き詰めるように湧きあがって
ワッショイワッショイ
ジーンリージーンリー
私を神輿にかついでいるつもりらしいのだ
それならこちらも ....
詩の中に
僕もいなければ君もいない
いるのは僕と君
今
僕の前には
大きな壁が立ちはだかる
それは僕が必ず
乗り越えていかなければならない
今
君の前には
大きな壁が立ちは ....
街の猛犬が
路地猫を追ひかける
猫の尻尾に
口が届くばかりに接近した
その時
目の前を
轟然と特急電車がやつてきた
あはや犬は立止り
猫はそのまま行つた
犬の前を
唸 ....
夕方。
昼過ぎから降り続いた雨は思い出したように止み
濡れたアスファルトに朝日のような夕日が射すと、
ちょっとくたびれた世界は
透きとおった群青色と鮮やかなオレンジ色の輝きで覆われる。
....
果てしなく続く道
果てることなき夢の断片
遠ざかる夏の声
訪れるのは冬の足音
泣き叫ぼうが
大笑いしようが
詩を書こうが
書くまいが
明日は無神経に玄関のド ....
かたかたかたかた
転寝の脇で何かが走っている
呪われてしまったように
僕の目はまるで開かない
僕は転寝ながら
その音を鳴らしているのが
やさしい生き物であったらいいのに
....
本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたとき ....
生まれたとき既に
月まで人は 行ったことがあった
抱かれている幼い僕の
進化さえ 掌の上だった
人は 追い求め
遠い真実を
人は 探し求め
自分のありかを
手を伸ばし
一歩を ....
わかったことは
たくさんあるけれど
わからないことのほうが
わかったことよりも
ずっとずっとたくさんある
わかったことは
たくさんあるけれど
できないことのほうが
わかったことより ....
朝焼け前の海に小船を浮かべ
冷たい海水から網を揚げる
その人の背中は何も語らず
先代の想いを受け継ぐ船
傷痕が静かに海面を滑り
明日に繋ぐ
夜が明ければ港に帰ってくる
今日も無事 ....
■ 置き忘れた5つの願い
01.過ぎた日の幸い
あの頃、あたりまえだった会話
なんてことない仕種、見せた表情
日向ぼっこしてるみたいな、
....
茜の風に肩を撫でられ
少し頬染め
薄紅色に髪が笑う
少女の儚い夢のように
秋桜揺れては
深い空に落ちてゆく
花びらが落ちた空には
ほんのり波紋のうろこ雲
今日が ....
光が光をまとうとき
ひかりかげり かげひかり
静かに昇る
譜をめくる指
文字の見えない
明るさの紙に
ひとつをひとつに書きつけて
降りつもる音を見つめている
....
大きい声を出すと
ずぼんがゆるくなって困る
とお兄ちゃんは言う
あたりまえだ
大きい声を出しても何にもならないと
承知の上でまだ怒鳴るから
そういう羽目になるのだ
お兄ちゃんは
人 ....
通りゆく
たわわな枝の柿の実は
豊かな秋と心実らす
歩みゆく
連なる虫の声を聞く
奏でる秋と心響かす
鳥が舞い
遠い空へと消えてゆく
秋の広さに心飛び立つ
木の葉揺れ
....
難しいことは考えない
人は考えたくないから本を読む
僕は本を読まない
思春期に読んだ本は数知れないが
相手を攻撃するだけ
自分を守るためだけに本を読んでた
言葉だけは覚え ....
親父・母ちゃん婆ちゃんは
姉・婿・孫娘のいる富山に行き
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった
仕事を終えた帰り道
夜空を見上げ
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し
....
反復法だけに、許してね
おはようございます。
(みつとみ)は晴れた日が続かないと元気がなくなるようです。
そこで。
道ばたで(みつとみ)を見かけたら、
鉢にいれて、水をあげて、
晴れの日はテラスやベランダに置い ....
自分というものに
気がつき始めたこの頃は
どこか落ち着かなくて
みんなと同じことをしていても
同じではなさそうで
みんなと違うと思われたくなくて
同じことをしている自分が
自分ではない気 ....
スケッチをするのにも飽きてしまって
ずっと前とずっと先のことを見つめてみたんだ
どこから来たのかどこへ行くのか
捕まえたと思ったことばは
僕の手の中ですぐに輝きをなくす
子ども ....
マリーゴールドと
マーガレットの区別がつかない
ツバキとツツジを間違えて
笑われてしまう
アヤメとカキツバタにいたっては
はなっから諦観の境地で
でもそれはちょうど
パスカルとサルトルを ....
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