妖言の使者顕われて
戯れる闇夜のひととき
濡れる息使いを殺し
桃源の森を散策する
(ここには
あなたとわたし
しかいない
わたしとあなた
....
剥き出しになった電線に
切り刻まれた夕日から
滲み出すオレンジ色の血潮
一夜にして枝葉を落とされ
無念の拳を空へ突き上げる
街路樹の黒い影
夢見るように
朽ち果てていくことさ ....
ささやかな嘘。
私は考える。嘘がウソであり続ける為に髪を伸ばし
私を縛り、私は私を騙し続ける。
象牙の塔は築かれる
築くべくして
築かれるので
そこに現実は無いんだ
....
君の唇の くれない が
僕の内側を伝い落ちると
日常が育んだなけなしの植物群は
夢見るように朽ちていった
君の爪の くれない が
僕の外側を掻きむしると
日常に着せたつきなみな制服 ....
赤い道
きみはぼくを
何処へ連れて行こうと
言うんだい?
少しずつ
ほころんで
甘い香りを放って
あなたは
いつまで
さよならを
言わないつもり?
ふたりでいるこの部屋で
生き物の気配を漂わせ
早く早くと
急かしてるんだよ
満開になる前に
さよ ....
おれんじ色の船にのって
ぼく砂漠へ行くの
降りしきる流星群を見つけたら
きみに長い長い手紙をかく
それからポストを探して
三千年の旅をする
筆を持つ腕の無い僕は
口で絵筆をくわえ
カンバスに向かって
朱色を引いた
引いた朱色は次第に濃くなり
カンバスの中央で丸くなった
カンバスの下には申し訳無さそうな
地平線があり
空 ....
咲く花 咲かれぬ花 何方も花に違いはないけれど
此んなにも胸を掻き毟る様な苦しみ悲しみは一体何に故なのでしょう
季節外れの風鈴の音が向う通りの軒先で鳴るので
何とも無しに目を遣れば外は真夏と ....
小さな掌に握り締めた片道切符
縁日の人込みに紛れた赤い鼻緒
引き千切れなかったモラトリアムの鎖
終わってしまおうと噛み砕いた白い錠剤
でくのぼうの首に巻きついたネクタイ
裏切りと同じ色に ....
拾いに行こう
真紅の言葉が落ちている
公園のベンチの下へ
優しさ枯れないうちに
拾いに行こう
蒼色の言葉が押し寄せる
人影のない海辺へ
想い出浚っていかれる前に
拾いに行こう
....
またしても
夕焼けに因縁をつけられる
丁寧に塗り直したばかりの
ちょっと自慢の金メッキは
緋色の光に呆気なく溶けて流れ出す
またしても
夕焼けに喧嘩を売られる
行先のどっぷり染み ....
新宿駅連絡通路できれいなひとに呼び止められた
朗らか過ぎる白い歯並びと
しなやか過ぎる姿勢の妖しさと
「あなたがあなたらしく生きているとき人は美しい」
白い歯並びからのぞく跳ねるような ....
目には目を
目蓋にはものもらい
いつまでも憎しみを握っていられない
自分の握力の無さを嘆くべきなのか
歯には歯を
歯茎には歯肉炎
いつまでも恨みを呼吸していられない
自分 ....
進行の遅い病気みたいに
じわじわと夕暮れは迫りくる
真っ赤な空に鳴り響く危険信号
私がどんなにもがいても
「たいよう」は水平線の向こう側に
沈むでしょう
そう決まっているのなら
....
{引用=眠れよい子よ
月がほしいと泣く君よ
闇夜の空に手を伸ばし
きつくきつく握っても
月はその手をすり抜けて
君の心を絞めつける。
ほしいほしいと泣けば泣くほど
月は君を支配して
....
「東」
筋違いの愁いを下瞼に溜めたまま
勘違いの寝グセを直そうともせずに
東のゲートが開けば光とともに流されていく
煌めいているふりをしながら流されていく
....
トビが啼かずにまるく飛んでいる
白い朝の港の防波堤は
カラスの群れで
黒く染まっていた
ひゆん ひゆん ひゆん
と息をしている
ひゆん ひゆん ひゆん
と啼いている
ひゆん ひゆん ....
地面から声がする
見おろすと小さな
白い帽子が揺れる
帽子を乗せている茎を折って
目の前に近づける
帽子に見えたのは
米粒よりさらに小さな女の子たちが
たくさんぶら下がっている姿だっ ....
その摩訶不思議な調べは、
けして妖魔を封じる術の音などではない
草木も眠る丑三の刻にひびく――
あえて眠らぬ者たちへと告げる、
慈・悲・喜・捨の警笛だ
幽かに香水の匂う背広を纏って
俺 ....
ちょっとプラス1だけ
優しくなれたらいいのに
小数点以下は歯切れが悪いので
やめたいです
9.9999・・・・・・は
背中が痒くなるので
もっと嫌です
1がいいです
2は僕にはきつ ....
ゆうがた 河川敷でキャッチボールをする
おじさんとの日課だった
しばしば深い草むらにボールを見失う
ボールは地球の卵だからな
すぐに地球のふところに帰りたがるのさ
おじさんの口ぐせだった
....
粉々に砕けた星屑の海で、
一人ぼっちで船を漕ぐ。
宙をゆく旅は、
叶わなかった夢たちの残骸が放つ光で溢れ、
ひどく温かい。
波間から時折のぞく、
きらきら輝 ....
きみという嵐が去って
ぼくに残されたのは
まだ青い希望の実
どんな風に育てていくのは
ぼく次第なんだろう
けどね
ぼくは
やっぱり
同じ道を歩くと思うんだ
また
きみという
嵐に吹き飛ばさ ....
立体的な画像に目を奪われ
グルグルと頭では
スプートニクが回っていた
七夕に願いをかけるなら
それはマジックで黒く染まっているでしょう
現実はいつも甘い薫りで
姿を ....
ジュリアーノ・ジェンマって俳優が好きだった
目深にカウボーイハット被り腰のコルトに手をやる刹那
呼ばれてもないくせしてサボテンの根元に転がる根無し蓬がわたしだった
ベッドのなかでもブーツ脱が ....
「妖」
熟れた日常を引き剥がし
馴染んだ名前を脱ぎ捨てて
あなたの熱は儚く溶けた
残り香だけを朝に置き忘れて
「怪」
仄暗い四辻を右へ折れた ....
夜空に星をぶちまけて
ただ
ぼくのすべてを
きみに知って欲しかったんだ
天使よ
思い切り
吹き鳴らせ
もう
きみには
届かないのだから
最後のファンファーレを
盛大に
何度もあなたを殺していた
言えなかった言葉を尖らせたナイフで
いつの間にか覚えてしまった
人格者の微笑をまとったまま
何度もあなたを殺していた
愛憎の糸がこんがらがったロープで
い ....
夜明け前、一本の道を歩いている
ほの暗い中、歩みに合わせて
さまざまなものが流れ来て
そして去っていく
どうしても分からなかった
いさかいの理由
あの時、君が呑みこんだ言葉
失くした ....
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