最初の人間がこの列島に入ったように
この川に入った亀は何匹だったろう

ミドリガメと呼ばれていた子亀のころ
生まれ故郷から 人間に連れ出され
あげくに捨てられたのか 
それとも
遙かな故 ....
春がいる

駐車場の奥の
ハイブリッド車伝いに
ブロック塀の上に飛び乗った時
チイ子はそう思った

春がいる

朝の見回りで
ナワバリ荒らしのクロに
やられた三角耳がまだ痛む ....
今でも夢に見る

北斜面の崖
なだらかな傾きの崖

崖の上のお屋敷の、
裏手の急斜面から
空に舞い上がる自分を

空は樹木に隠れて半分
空は現実に隠され半分
半分の空に半分の自由 ....
つむじ風は南南東に駆け抜ける
収束しない想いを切り裂くように

二足歩行の夜は遅々として眠れぬ夢とともに
進化論の樹を遡り霊長類の高みへとたどり着く

昨日のことはもう知らない
知る必要 ....
土脉潤起
つちのしょううるおいおこる


雲がほどけて
雪がこぼれる

北がやぶれて
風があらぶる

音がとだえて
水がいてつく

光がとおのき
命がしずまる

雪 ....
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた

毎日々
ベルトコ ....
金属の目録に眼を通した
あらゆる色彩がひび割れる時刻に
百万年かけて落下する思考の速度で

澱んだ大気の底に広がる地衣類のような
無数の金属の結晶が犇めく都市の上空から
走査電子顕微鏡 ....
ある日窓から花を投げた
あのひとが受け取ってくちびるに寄せてから
あのひとが好きになった 恋をした
みずいろの花 むらさきの花 そしてあかい花
あのひとはすべて受け取ってそっと胸にしまった
 ....
魚上氷
うおこおりをいづる


冷たい水底で
来る日も来る日も
あわぶくの羅列を眺めてきた

滞りがちな
私の中の遅い水は
妄想だけを鰓の内側に沈殿させた

待つのは慣れて ....
あなたはそれを
必然だと言う
わたしはそれを
偶然だと思いたい

あなたはそれを
どうしても運命にしたいらしい
わたしはそれが
無数の枝分かれの末端にしか見えない

この世界で ....
冬の下総台地の端に
小さな家一軒
剥き出しの枝と幹だけの
梨畑の中に
小さな家一軒

落葉高木の梨の樹
畑の樹は灌木のようで
海軍レーダーのように
針金が渡されている

白い季節 ....
僕は生まれ変わったらディドになりたい
というとディドはベッドの枕元に座ったまま
そのままぴくりともしないで笑うようにした。困った笑いだ。



ディドは半ズボンをはいている。そ ....
{引用=
わた し は ねこ だ
な まえは ま だ ない 


殺伐とした空気が支配する部屋で、
きみは子猫に名前を付けようとしている。
子猫が産まれてからもう三日が経った。

 ....
 あら、また来たの、と祖母は言う。
 ああまた来たよと私は答える。そうは言うものの、彼女が孫である私のことなどこれっぽっちも覚えてやしないので、私はまたいつものように自己紹介をした。
 それが ....
影は次々と
落ちてきて
重なって
離れて
あおい時間も
ふじいろの空間も
あなたの指で
押し広げられて
そんなふうにして
世界はできあがり
あなたが残した
古い写真の
風景 ....
雪が降り積もる
形の上に
形のままに

雪が降り積もる
同じ重さで
同じ冷たさで

人の想いは
あまねく
くまなく
降り積もることはない

人の想いは
違った重さで
 ....
雨のニューオリンズは、
曇った窓越しに少しぼやけながら
淡く水色に滲んではゆらめき
傘をさして歩くふたりを見るともなしに

鯰のフライを一口摘みながら
琥珀色した苦いカクテルを啜り、
ど ....
丘をのぼってまたひとりになったならそこには
すがすがしい空気の夕暮れが凛としてあるのだ

街の喧騒が遠くでささやくように聞こえても
揺るがずにきちんとたたずんでいるものに逢いたかった

自 ....
あなたは空を探す
世間体の要塞に閉じ込められて
強固な偏見の鍵をかけられても
逃げ出す知恵を巡らせる前に
小さな明かり取りの窓を見上げて
あなたは空を探そうとする

あなたは空を探す ....
昨晩
ひとつの恋を失った
ミセス ミスティは
男の不実を責めるでもなく
ピアノの蓋を閉めた

ミとファ
シとドの間に
黒鍵がない理由は
おそらく
その間に
幻想があるからだと
 ....
ほんの数十年前
空がピンク色に染まった夜の日々
凜として生きていた正義の味方

正義の味方は美しく
正義の味方は気高く
正義の味方は清々しく

誰から後ろ指をさされることもなく
 ....
誰がこまどり殺したの
そう問うてみても
こたえはなかった
誰もおぼえていないのだ
すずめも 雄牛も ヤマバトさえも


夏祭り
遠くに母を見つけて
手を降ったあなた
振り袖で
回 ....
眠りは死の子ども
一日一日
気づかないうちに大きくなって
やがてぼくと等身大になると
目覚めることがなくなるのだろう

いつその日が来るかわからない
いつそうなってもいいという
準 ....
ぼくはまだ生まれていなかったから知らないけれど
シーボルトさんはこどものお年玉に一両あげていたでしょうか

ぼくの祖母さんは裏藪で竹の皮を集めて
一厘とか五厘とか 子どもだったお父さんの小遣い ....
選択肢がない街の
未来図は完成しない

更新されることが前提だから
豊かさは新しさに両替される

> 懐かしさは噛み終えたら
> 紙に包んで捨てましょう
> それ ....
新しい言葉を綴ることは
新しい土地を開墾するように
そこへ種を蒔くように描いてゆくこと

自由を描くことは難しい
だれも自由の光をみたことがないから
それでも描こうとする

愛を定義す ....
そいつは道の真ん中に転がっていた
雨の日だった
合羽を着て自転車を漕いでいたので
私の視界は悪い
遠くから黒い物体が見えた時
壊れた黒い雨傘だと思った
もっと近づくと
黒い長靴に見えた
 ....
深海魚ばかりの握り盛り合わせ鮪鮃や鯛と偽る ぴいひょろ
ぴいひょろ
横笛吹きながらしゃがみこんでいる少女
音程なんかどうでもよくて
鳴き虫って呼ばれちゃっても
いまはただ悲しくって
ぴいひょろ
ぴいひょろ

あまのじゃくのつむ ....
■時間使い■
あなたと会っている時は
私の世界から時計が消える。





■あなたさえ■
トイレに行きたいんですよ
あなたさえいなければ。





■あなたさえ ....
未有花さんのおすすめリスト(6101)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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空と自由- ……とあ ...自由詩12*14-2-24
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土脉潤起- nonya自由詩17*14-2-22
【_私の履歴書_】- 泡沫恋歌自由詩36*14-2-21
金属の目録- 壮佑自由詩27*14-2-20
花ぬすびと- 石瀬琳々自由詩12*14-2-19
魚上氷- nonya自由詩22*14-2-17
わたしは買わない- nonya自由詩22*14-2-15
梨畑- ……とあ ...自由詩14*14-2-14
ディドのはなし- フユナ自由詩6*14-2-14
猫のいる部屋- 大覚アキ ...自由詩714-2-13
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地の星- 壮佑自由詩22*14-2-10
降り積もるもの- nonya自由詩21*14-2-8
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丘をのぼる- 梅昆布茶自由詩2014-2-6
空を探す- nonya自由詩21*14-2-5
【ミセス_M】詩サークル「群青」の一月のお題「霧」への提出作 ...- そらの珊 ...自由詩14*14-2-5
蛙の快楽- ……とあ ...自由詩14+*14-2-4
こまどり- フユナ自由詩6+*14-2-2
眠りは死の子どもである- 殿岡秀秋自由詩914-2-1
スケール- イナエ自由詩8*14-1-30
35_41_22_N_139_41_30_E_2014- nonya自由詩15*14-1-30
新しいノート- 梅昆布茶自由詩27+14-1-30
【_どこへ_いった?_】- 泡沫恋歌自由詩19*14-1-29
深海魚ばかりの握り盛り合わせ鮪鮃や鯛と偽る- 北大路京 ...短歌514-1-27
ふううふう- 乱太郎自由詩12*14-1-26
ばらばら_五編- クナリ自由詩4*14-1-24

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