* 1

愛無しには生きられない
わたしは本気でそう思っていた


* 2

あの水着もそうなんだけど
これもなんだよね

目新しさは常に外側からやってくる
そんな時代になった ....
道なりに歩くのが苦手
遠回りに意味がないって
大人は口癖みたいに言う

立ち止まって考える
誰にも追いつかないスピードで
回転する思考を留めて

こんな風に泣きそうな僕を
君は見止め ....
***

樹の緑から飛び立った鳥の黒い羽の音を
夕立のたびごとに絵日記に貼り付ける
それが毎日の日課になったころ
子供たちの影だけがきれいにアスファルトの上に焼き付けられている
 ....
コップの中に
朝が残った
醒めきらないままの
水を分けあって
ぼくらはターンする

魚のかたちをして
水がうごく
きらめき降りそそぐ
夏のはじまり

ゆっくり水際を
泳いでゆく ....
風はそよいでいる
海を山を野原を高原を

そして丘の大きな木の下で
鍵盤にしがみつく青年をみつける

ピアノを奏でようと必死だが
しばらくみつめても音は出ない

風は額の汗を拭い
 ....
{引用=ばたん――
ドアがしまるような
収穫の音がして、巻きあがる
走り去ったランナーの
一陣の風

よみがえる
まなざしの白さ、
青い息
ゆらぐ光彩に
ぼっ
と一点とどまる
 ....
枯れた葉っぱと
緑の葉っぱ
白い蝶が
おぼつかなげに
境界線をひいていく
タンゴの旋律に
呼吸を合わせるように
茜色のロウソクの火が
ゆらめいている


凪だった{ルビ水面=みなも}を掻き立て
眠っていた感情に爪を立て
ゆさぶりながら


身体の中を貫 ....
 *灯台

   かすかにまだ
   光っている
   間違えたままの、
   やさしい思い出
   わたしの幸福な思い違いを
   あなたは
   そのままにしてしまったから
 ....
熱い帯にタイダイの笑い声が響く
電気工事のおじさん
駐輪場のおじさん
建設現場のおじさん
交通整備のおじさん
ペンキ塗りのおじさん
たくさんのおじさん
設備工事の父さんも
あんな風にタ ....
仲の良い姉妹がいた
双子みたいだったけど
双子じゃなかった
同じ髪型をし同じ目をし
同じ口もとで笑った


寝る時も食べる時も一緒だった
片時もはなれた事がなかった
花が咲く時も
 ....
ぼくはほとんど水だ
と彼は言いました
手の水をひろげ足の水をのばす
水は水として生きて
水として果てる
そのとき大気の端とつながり
水からいちばん遠い水と出会う
そこで彼は
はじめて彼 ....
出張帰りのいつもの近道
車を走らせると道は
その先で
星空に切り取られる
そこが星越峠
たどるたびに
僕は宇宙から帰還する

    会えない夜は輪郭を想う
    あなたのかたちが ....
リセット





寝坊しないように目覚ましを三つ用意して
約束の時間に間に合うように
彼女の家まで車を走らせた
「あれ?もしかしてピアス代えた?」
「そうだよ!よく気付いたね!」 ....
おおきな背の
豊かな毛に
埋もれて
星が旅をしている
ゆっくりとした足取りで
海の方角へ向かって
草海原にて獣とむかいあう。
草色の肌の若者、弓を手にして。
大いなる探索の途上、
もうひとりの自分を見る。

若者は行く、
草海原より、かなたへ。

若者は草海原に
戻ってくるのだろ ....
突然放りこまれてしまった


病院の待合室にすわらされ
時計の針が無表情にすすむのを
昼メロのデジャ・ヴのようにながめる


「ママ ごめんね」
かすれた声の一言で
キミは幕開けを ....
幼い頃は
兄と妹と三人で
床を並べて寝ていた

がっしりした骨格の子供だったが
神経質で泣き虫なわたしの為
寝室はいつも完全な暗闇にならないよう
蛍光灯の一番小さな橙の光がともされ
両 ....
ある日家に帰ると
コインロッカーがあった
お父さんも使っていいのよ
妻が言うけれど
いったい何のために使うのか
僕にはわからなかった

それでも
次々とうまっていく
コインロッカー ....
何か大切なものを
過去に忘れてきてしまった
そんな気がする

握りしめた手の中には
小さな鍵がひとつ

それが何の鍵なのか
それも思い出せない

わからないまま街を歩いた
見覚え ....
両手いっぱいの憎しみで
ふくらませた青い風船
それを今 
ベランダからそっと飛ばす
それは思うように
遠くへと旅立ってはくれず
ただ あたりをふわふわと漂い始めた
部屋に戻り
静か ....
アイスランドのポストマンは
白い氷の地平を越えてやってきます
彼女のところには
世界中からラブレターが届くんだそうです
毎日カバンいっぱいの愛の言葉を
ポストマンは顔を真っ赤にして運びつづけ ....
水たまりをこえて
スキップ/ステップ
ちいさな虹が
雨あがりの足のした
まあるく架かる

地球を蹴って
スキップ/ステップ
みずいろのドロップ
ほおばって
たかくたかく
大気圏を ....
自分から 崩れていった さらさらと
灯なんて どうでもいいの

最初から 分かっていたわ 結末は
だから知らない 何も言わない

何度でも 生まれ変われば いいじゃない?
風がそよそよ  ....
掴む

あなたをしることは
太陽をつかむよう

刻んだ空の破片を
脇に抱えて
あなたを見つめると
丘の上の鐘の音が七色に飛び散っている

あなたはいつもそこで
わたしはいつもここ ....
なつかしい猫
いつか啼いていた気がする
私だけの思いが影を引いて
路地を今曲がってゆく


そんなに淋しい瞳で
私を見つめないで
やさしく撫でてあげたくなる


さしのべた指先を ....
(1)

あなたにはじめて出逢ったのは
この廃屋が未だ駅舎として機能していた頃のこと
夏草の浸食に怯える赤錆びた鉄路と
剥がれかけた青森ねぶた祭りのポスターが一枚

この駅を訪れるひとと ....
生まれた時から存在するものは
当たり前にあると感じてしまう
あおあおと茂る緑の大地も
いつまでも続くと思ってしまう

だけど激しい雨が降り
容赦なく花を枯らすだろう
だから忘 ....
雨が歌ならば
それはどんな傘でしょう

歌のような気がするだけで
それはふるえる
息継ぎの音
近すぎた鼓動の足音

声を聞いた
傘の下で
たしかなこと

待ち合わせた雨の庭 ....
凪いだ湖面は穹
白色の羊雲に
そうっとつまさきを乗せる
溶け出した肌色
ペティキュアの赤色が
波紋に引きずられるように
湖岸に打ち上げられるのを
静かに見つめながら
わ ....
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