地平線の向こうに
沈みゆく陽の輝きをうけて

盲目のピアノがある
そこから
三歩先に
思い出を失くしたチェロが腰掛けている
盲目のピアノと
思い出を失くしたチェロとの
ちょうど
五 ....
口の中に微かに鉄の味がある
コートの袖口が擦り切れている
錆びたドラム缶からはいだして
月下の廃工場を後にする
奏者を失って久しい機械が
ほの青く光る一群の風琴になっていた

鳥が飛び立 ....
         080411




乱れ飛ぶ

風景が飛んでゆく
車窓の景色
小父さんと小母さんが
席を立ったので
列車の窓は停止した。

舷を叩いて魚を脅す
古くさい ....
山国で育った


目をとじると
どこまでも青いものが広がる
海だった


そうやって彼は
ときどき山を越えた


どど〜んと鯨になる
風のように
しなやかに両腕を伸ばし
 ....
長いブロンドの髪を靡かせて、あの娘が私を待っている。
早く行かねばならぬ、彼女を待たせるわけにはいかない。
走りながら噴水のウンディーネを横目で見る、私を見ていた。

薔薇の咲いた庭を駆ける、 ....
つとさしのべる指先から
はらはらと はらはらと
こぼれては落ちる春の
あれはあなたと私の約束です
遠い日のひめごとです


はらはらと 散ってゆく
くれない {ルビ淡紅=うすべに} { ....
世界がひとつになると
さらさらと
砂の崩れる音がする

幼い頃
ひとり布団の中で
聞いた音と同じだった

朝、家族に
おはようを言う

こんなに幸せな朝なのに
さらさらと
 ....
いっそこのまま
身体ごと
海の果てまで

落ちゆく夕日
きらめく波に
目を細め
静かに
銀の砂浜
立ちつくす

心だけ奪われた
もうすでに消えそうな私は

水平線の向こう
 ....
光は
はじめ
緑の葉の露をはじき
眠る子の
夢をくぐる
やがて
君の眼にやどり
始まりを告げる
その
光は
ふかい深い
闇のなかから
唐突に生まれる
まるで
遠い約束のよう ....
先週末に桜が散ったばかりなのに
あなたは
物置から引っ張り出したビーチパラソル
具合を見たいからと
これ見よがしに拡げてみせる

どうやら使えそうだな

アルミパイプの椅子まで組み立て ....
春なのに
鈴虫が鳴いてるようだった
古くて白い建物の
裏の方から聞こえてるようだった

この庭で
子供たちとよく遊んだものだ
木がひとりごとを言って
泣いてるようだった

帰り ....
わたしのウルフが遠吠えをしている
その青い瞳で遠く月を射ってしまえ
群青すべてはオマエのもの

気高き闇の王者よ
森の奥深く老木が生い茂る彼方から
瞬時におまえの気配を感じるとき
わたし ....
淡い色のアスファルト
履き慣れないローファーがなく
緩やかにのびる桜のトンネル
出口は海へと繋がる

祖母は言っていた
この町は桜が多い、と
まるで桜の中に町があるようだ、と

寝ぼ ....
西瓜のように
まるい地球をぶらさげて
その人はやってきた


裸で生きるには
夏はあまりにも暑すぎた
冬はあまりにも悲しすぎた


ぽんぽんと叩いて
いまは食べごろではない
と ....
              080404


コレでよい
コレで
ひとかけらの土塊を
脚で踏みつぶす
粉々にしてから
ふるいにかける
乾かしては水を加え
塊にして
叩く
叩く
 ....
夜のしずかなさんごの
いきをひそめる宵闇夜
青ぐろい街の空を
マンタレイが滑空するころ
天体望遠鏡をのぞきこんでいた
ちいさな天文学者は
ベランダで眠りこけて

あのちいさな星 ....
穏やかな日々というものがある

一日一日に
棘があり沼地があるのは
ほんとうは知っている
ひとびとは
うまく避けながら果実を探して
今日の美食を味わう

それでも僕は
虹の掛か ....
風のなかで風を探して
気が付けばもう
誰も居ない
原っぱでひとり
終わることのない
鬼ごっこをつづけていた
少年はいつしか
風によく似た季節に
連れ去られ
四月になれば
アネモネと ....
しずかな時間に光がうまれた
わたしの心に映り形作られるもの
それは木もれ陽 それはうた
あたたかな陽だまりの中で
わたしを見つめるあなたの瞳
どこか遠いその瞳


あなたの眼差しに海が ....
はかいされたまちが
きおくをとめて
しにたえる

あのかぜは
どこへいくの
きいてもだれもこたえない
どこでもないところに
さっていくから

きこえてくる
はるのあしおと
はき ....
焼けてきたお肉を器用に裏返してくれる
横の物を縦にもしない性格だと思っていたのに
どうやらそうでも無さそうで

アルコールの度数は低いからと
ビールの飲めない私に勧めてくれた
甘くてとろり ....
ひとひら
  ふたひら


黒い水辺の
むこう岸


藍色の闇に
ふわりと浮かぶ


燈籠のような
花明かり


ひとひら
  ふたひら


うろこのような
 ....
耳をふさぐと
潮騒が聞こえる

その向こうから
誰かの悲しい
声が聞こえる

耳をふさいでいた
掌をあわせて
真実に触れてみる

変わらないことと
変わることは ....
すくい上げる青色は美しく
胸の奥まで入り込み

すくい上げた青色は
先の見えない「透明」だった

悲しくて悲しくて
指の隙間から
寂しく寂しく
こぼれていった
打ち寄せる波が
群青色の夜に輝く頃
誰かが届けた二枚貝


時を刻み

異国の景色を

映し出す
陽炎のなかでゆらぐ
私を呼ぶ声がする
ふりむくと
呼んでいる私がいる

陽が奈落へ落ち
街が色彩をなくしてゆく
すべてが風のながれのなかに消えようとする
きっと思い出されることのない風 ....
新しいものが
古いものを
見おろしてる

とても高いビルだ
天井のすぐ裏に
空がある

人の高さでうがいする
海の底で死に絶える
名前を持たない
魚のように

今朝はまた
 ....
春の雨に隠された怖れを彼女は見ている
幾つものしずくに映る逆さまの世界を
彼女は見ている

からだの動かし方は知らない
時代がかった衣装の代えもない
おひな祭りというものが過ぎて
誰かさ ....
とべない鳥がなくように
誰かのそばでうたっていたい

とべない鳥がなくように
誰かのうたをうたっていたい

とべない鳥とわらわれて
とべない鳥とからかわれても

誰かのそばでうた ....
学生たちが
そこここに円くあつまって
華やいでいる
どうしたら
あんなふうに笑えただろう
そういえば、もう
何年も卒業していない

花壇のすみで
孤立無援だった球根さえ
新しい黄緑 ....
未有花さんのおすすめリスト(6101)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
演奏会- Etuj ...自由詩508-4-11
青い花- ダーザイ ...自由詩1408-4-11
定刻- あおば自由詩3*08-4-11
- yo-yo自由詩11*08-4-11
植物園- 白昼夢自由詩3*08-4-10
千年桜- 石瀬琳々自由詩7*08-4-9
砂の音- 小川 葉自由詩808-4-9
潮騒- こゆり自由詩11*08-4-6
約束- Etuj ...自由詩308-4-6
気の早いひと- 恋月 ぴ ...自由詩33*08-4-5
壊さない人- 小川 葉自由詩3*08-4-5
ウルフ- 西日 茜自由詩13*08-4-5
桜の町- 緋月 衣 ...自由詩14*08-4-5
地球人- yo-yo自由詩9*08-4-4
カニバリズム- あおば自由詩17*08-4-4
マンタレイの夜- mizu K自由詩13*08-4-3
陽光- 乱太郎自由詩26*08-4-3
アネモネ- Tsu-Yo自由詩608-4-3
しずかな時間- 石瀬琳々自由詩9*08-4-3
かぜのきおく- 小川 葉自由詩408-4-1
まっこりなひと- 恋月 ぴ ...自由詩22*08-4-1
夜桜- 渡 ひろ ...自由詩20*08-3-31
潮騒- 小川 葉自由詩3*08-3-31
青色を- morio自由詩308-3-30
異国の貝- こゆり自由詩10*08-3-30
遠い風景- Etuj ...自由詩308-3-30
水面- 小川 葉自由詩508-3-29
フランス人形- soft_machine自由詩20*08-3-29
「とべない鳥がなくように」- ベンジャ ...自由詩5*08-3-29
春の準備体操- 佐野権太自由詩10*08-3-28

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