真夜中にサイレンが鳴つて
窓から顔を出すと
猫が凍つた路上を
駆けて行つたよ
弾丸のやうに丸まつて
火事場へと
一直線に
猫は寝てゐる人を
....
どんなに難しい本を読んでいたとしても
喜怒哀楽
たった4文字に人のこころは捕われて
(それってほんとだよ
いつになったら大人になれるのかな
つまらないことに腹を立て
投げつけたことばの痛み ....
なんだか、さ
時々ね、息苦しさ
感じるんだ
生きにくいのかな
何が悪かったかな
この手じゃ、上手く
人に触れられない
差し出した手が、すれ違って
この手は何のためにあるのか?
....
誕生までのプロセスです
子供の頃は
船乗りになりたかった
世界中を旅して
冒険して
人食い人種にとらわれて
奇跡の脱出
漂流して
魚食べて生きて
雨を集めて
さめを殺して
奇跡 ....
グーチョキパーの
あめんぼう
虹の彼方に飛んでゆく
とんでったのは
僕の意識と
見た目の悪さ
あめんぼう
あめんぼう
人を見つけに
雨上がり
グーチョキパーと
滑ってる
....
23時05分
オルゴールが鳴る
毎日1分のずれもなく
オルゴールは彼を連れてくる
いつの間にか{ルビ耳触=みみざわ}りのよくなった声を
目を閉じて
感じながら
今日の出来事
明 ....
私の中にいる私は
だれ?
本に書かれてあることを
そのままに信じてしまう私が
私の中にいる
誰かがこうだよと言ったことを
そうだねと言ってしまう私が
私の中にいる
君はどう ....
{ルビ滑稽=こっけい}な自分の姿を{ルビ罵=ののし}られ
哀しい気持で歩いてた
帰って来た家の門の
足元に置かれた
ハロウィンの{ルビ南瓜=かぼちゃ}
皮をくりぬいて
....
人は
たつた一つの
幻を見るために
生れてきたやうなものだ
幻はきまつて
この地平とは切り離された
はるかかなたにある
とても手で捉へることなど
できないほど隔てら ....
風が吹いている
この胸をくすぐるように
どこか時の蒼い彼方から
やわらかなレースのカーテンを抜けて
あなたは夜へと駆け出してゆく
裸のつま先で踊るピエレット
夜露に濡れた草を踏みしめて
....
丸い時計の秒針が
一つ一つ時を刻んでゆく
どの一秒も同じ時間
その一秒の中に
綺麗に染まった紅葉の林を
歩いている自分がいる
その一秒の中に
ありがとう
と言われる自分がいる
....
雨が降つてゐる
黄色地にピンクの花を咲かせた
美しい傘の乙女が行く
雨は
乙女の傘に弾けるときだけ
ぱつと明るく輝く
車道を車がきて
泥水を撥ね上げる
乙女は傘を盾 ....
その指先から
放たれた熱に
目眩して
浮遊する
私もまた
ひとつの
季節なのだと
いずれは
白く
凍ってしまう
冬枯れの木のように
詩を書く時はほどほどに…
野道をアヒルが腰を振り振り歩いていた
前方に蛇が長々と寝そべっている
アヒルは気味悪がって
引き返そうか
進もうかとひとしきり思案して
結局
蛇を遠回りに避けていく
重たい腰振り ....
◇寒い日
世界を圧縮したものが
新聞だ
さう信じてきた浮浪者が
新聞紙を丸めて火をつけた
世界よ
大きな顔をして
人を舐めるな
おまへは俺の手を
暖めることさへ ....
ただそこにいる
それが許されない存在は
どこにも存在しない
どこにも存在してはならない
存在を否定される存在は
どこにも存在せず
どこにも存在してはならない
存在を否定する存在もまた ....
秋風に 吹かれて光る くもの巣に
いちばん星が 捕まっている
涙がぽろぽろこぼれます
真赤にそまった傷口からは
血がぽたぽたとながれます
青ざめた顔で僕を見ないで
涙が止まらなくなるから
彼女のところからの帰り道
見送ってくれた彼女が目を輝かせた
「見て、あの星!」
見上げるとキラキラまたたく星が見えた
「たぶん、金星やろなぁ」
「きらいでしょ?」
「 ....
秋風に揺られ
無数に実りゆく
夜の小さい太陽達
今にも落ちそうな実に
枝はしなる
自分らしく熟れるのを待つ
世界中の人々のように
ぶら下がる無数の実が
枝から離れる ....
酔芙蓉 内に秘めたる 想い告げ
雨の環七通りを走るクルマには
ごく稀に、
雨ふらしが乗っている。
先日、特大のR器具を買いに、
横断歩道を渡ろうとしたとき目に飛び込んできたのが、
まさしく雨ふらしであった。
クルマの ....
ごめんなさい
今 私は
あなたが救いを求めた手を
払いのけました
ごめんなさい
私は 酷い人だから
願うことしか
できないのです
―自らの手で どうか
自分自身を どうか
....
こんなことまで詩にしてみました
秋の日の涼しい夕暮れ
散歩から帰り家の門を開くと
上から ばっさ ばっさ と
木の枝が降ってくる
数日前66歳になった親父が
はしごの上から「お〜い」と呼ぶので
もうすぐ3 ....
地面へ落とされる途中
君と目が合った
その目には
恐怖や
不安の色が映らず
真っ直ぐに地面へと向かう
怖くないの?
僕は問う
怖くないよ
大丈夫、僕らは一つになる
地面で一緒に ....
一、 銀色の背中
飯も喰わずに、カピが月ばかり見ているので
座敷に上げて訳を聞くと
長い沈黙のあと
神妙な顔で
片想いなのだという
いったいどこの娘かと問えば
まだ逢ったこと ....
昨日の夜に積もる雪
山も畑も野も川も
どこもかしこも一つ色
朝の光に木の枝が
まばゆく光るこの大地
新たな生が起き上がり
草も若葉も木も枝も
日なた日陰も一つ色
朝に流れるせせらぎ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204