バックミラーの中
満月には少し足りない月が
どこまでもどこまでも
追いかけてきた

ヘッドライトの灯りの中
小さな白い子猫が
おびえた顔で行き過ぎて

外灯の影を
 ....
透明な温度を下げていく
あなたのぬくもり
かすかな光が胸をさす
氷のようなつめたさで

肌が焦げていく
においが鼻につく
電車の中では冷房が
滝のように流れている

さらさらと ....
夏から手紙が来た

 こっちはもう夏だぞ

ここだって夏なんだよ
手紙に向かって言い返す

 今年も広い夏になっているぞ

そういえば都会の夏は狭苦しい

 こっちにくる時は
 ....
月のない暗い夜
目印にはシリウス
手を伸ばしたら
ねえ、誰か繋いでくれるかな


ひとりでね
生きていくんだって強がって
スカイライン 何処までだって行けるのに
水 ....
その日の夏が始まる
トンボが空をすいすいと
気持ちよさ気に飛んでいる
空は泳げることを
初めて知った
昨日も見たというのに

その日の夏が折り返す
繁る木々の葉がさわさわと
軽いリズ ....
今日と明日の夜の谷間に
微かだが
感じるあなたのため息
ソプラノ歌手よりも
こころに染みる
透き通ったそのひとの言葉
最上の音楽に聞こえる

胸のふくらみがさらに大きくなり
木管の寂 ....
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む


水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
 ....
人は
一人では孤独にはなれない

もし人間が
最初から自分だけだとしたら
孤独という感情が生まれることは
ないのだろう

孤独になれるのは
多くの他人の鼓動と呼吸とを
ぶつけあい
 ....
さよなら 
と言ったはずなのに
あなたは笑って許してくれた


ピンクの薔薇の花束と
なくしてしまった
パールのピアス


差しだすあなたの優しさが
ナイフのように
わたしを貫 ....
黄昏をそっと飲み込む部屋で
夕闇の迫ってくるのを
静かに 待つ

大いなる大地の
昼と夜を
この地球が音もなく航行するのを
額のにじむ汗に微風を感じながら

夕闇の光で織る
繭玉を ....
1.風の運命


風はどこへでも行けた
神様がそう決めたから 
風は旅した
誰よりも自由だった

風は見た
いろんなものを
地平線のかなたの 鮮やかな光を
海をゆく 船の帆の白さ ....
滑走路を見ていた

その先は海

青く小さな灯が
巨大を導く

旅人たちは
デッキに出て
期待と少しの不安と

このひとたちに
幸あれかしと

通り過ぎる風は
海の香りがした
 
理想にすぎない
あなたの言うことを
常識と信じられたら
どれほど無知で
どれほど幸運で
 
オレンジ色に染まる世界
目がおかしくなりそう
太陽を直視、太陽を直視
 
星が輝き ....
風が止まったと同時に
少年は小さな石につまずいた
たいした怪我ではなかったが
泣き叫んだ

辺りを見回した
誰もいない
一人で立ち入り禁止の工事現場に
入っていた
日曜日の今日は誰も ....
不可思議と呼び捨てるにはまだ早い
猫の目うるる、美しいよる


いくすじも星をえがいてよるが降る
ふたつ並んで揺られあう尾に



滅びても興り続けた王国をたどり違える満月の ....
「昨日と言っていることが違うよ」
「考えが変わったんだ」
「日和るんだね」
「そうかな」


  +   +



この空のどこかに宝が埋まっている
この空のどこかに宝が埋まって ....
だれかが泣いている
ぽたぽたと
落ちてくる涙
ぽたぽたと

悲しいのではない
うれしくて
土が若さを取り戻し
草木がはしゃいでいるから

だれかが泣いている
ぽたぽたと
落ちて ....
それぞれの皿に苺を盛り分けて
嫁ぎし娘の数も入れおり

盛装の娘の席は遠く しばたたく
目にぼやけゆく宴の席に

夕食の時どき夫は嫁きし娘の
空席言いて酒を呑みほす

月を取れ星 ....
お父さんばかり旅行して
子どもたちはそう言っているが
単なる出張をしているだけだった

夏休みだというのに
どこへも連れて行かせてやれない自分が
情けないのだが

仕方なく今回も出かけ ....
長く続く階段の上
不可思議な夜の海辺で
泳ぐ魚の背びれを掴み
果てしない街灯りに照らされて
泳いでいたんだ

無くしてしまった言葉の代わりに
表情とかジェスチャーとか泳ぎ方とか
色んな ....
記憶の中でざわざわとゆれる
届かない手のひらを裏返す
もどかしい程に幼い記憶
それはいつまでも声になる事無く
心を刈り取って行く
まるで古びたロープが
音も無く千切れゆく様に
静かに
 ....
空が滲んでいる
夏の午後の昼下がり
遠くからだんだんと自分の方へ
その暗闇が近づいてくる
あっという間に
滲んだのは空だけではなくなった
明確だった単語や熟語の中を
その雲は浸透してくる ....
広場で
子どもたちは跳ねて
黒い風船を次々にはなす
風船は昇る
子どもたちの皮膚

はがれた部分からにじむ血で
赤く分かり、集まり、内に落ちて
子どもたちは薔薇になる
誇らしげに、あ ....
ほんとうの幸いはきっと 
奈落の底の暗闇に独り立つ 
頬のこけたピエロが 
無人でゆれる空中ブランコの上に 
茫洋とした瞳で仰いだ 
プラネタリウムに瞬く 
あの{ルビ金星=ヴィーナス}み ....
「北大路 京介くん」と 紹介し

「彼氏じゃないの いいお友達」
あの日 あの時
あのひかり
受け取ろうと 手をのばす

ひかりはおちて いのち生み
あなたの瞳に 映る星

その日 その時
その笑顔
えらぶ道にしるし無く
それでも先に ....
リフトより若狭の海を見渡しつ
子等たち如何にと思い出したり

咲き残るカンナの花をめぐらせて
淡路の一角家の明るみ
(銀婚式の旅紀州へ元日 昭和四十九年一月)

吊革に背伸びして背伸びし ....
自然の中を吹き抜けてゆく風は
循環している
その中で生き物は同じ場所で
絶えず同じ命を繰り返す

街の中を通り抜けてゆく風は
まっすぐに流れている
その中で生活する人々は
絶えず便利さ ....
いのちは
大観衆に埋められた
ステージの上で
歌いたがっている
鳴り止まない拍手を浴びたくて

いのちは
気を失うほど
ビールをとことん
飲みたがっている
みんなを笑わせ
喜ばし ....
夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ

それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こ ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜のドライブ- あずみの自由詩607-8-5
あんず飴- ゆうと自由詩8*07-8-4
夏からの手紙- ぽえむ君自由詩6*07-8-4
水銀- 有邑空玖自由詩3*07-8-4
昨日も見たというのに- ぽえむ君自由詩16*07-8-3
秒針- 乱太郎自由詩12*07-8-3
流れる- yo-yo自由詩8*07-8-3
孤独の物語- ぽえむ君自由詩10*07-8-2
別れのティアドロップ- 渡 ひろ ...自由詩8*07-8-2
繭の部屋- アハウ自由詩8+07-8-2
組詩「風」_- 青の詩人自由詩2*07-8-2
夜へとつづく道- 風音携帯写真+ ...2*07-8-1
ぐっどいぶにんぐ- えいぼる自由詩107-8-1
転んだら立て- ぽえむ君自由詩9*07-8-1
◆美しいよる- 千波 一 ...短歌17*07-8-1
信念の塔- 悠詩自由詩6*07-8-1
- 乱太郎自由詩11*07-7-31
50P_「短歌2」より〜_嫁ぎゆく娘- むさこ短歌9*07-7-31
旅に出よう- ぽえむ君自由詩3*07-7-31
背びれ- おるふぇ自由詩607-7-31
波打ち際のボウタオシ- プル式自由詩5*07-7-31
空が滲んでいる- ぽえむ君自由詩19*07-7-30
楽園へ- 下門鮎子自由詩1*07-7-30
Happy_Star_- 服部 剛自由詩307-7-30
彼女が僕を紹介します- 北大路京 ...短歌9*07-7-30
ひかり- リュウセ ...自由詩6*07-7-29
48P_「短歌2」より〜47歳の頃(銀婚式)__etc- むさこ短歌5*07-7-29
循環する風- ぽえむ君自由詩14*07-7-29
いのち- 乱太郎自由詩21*07-7-29
橋、ただの橋だけど- たりぽん ...自由詩11*07-7-28

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