虫のいどころでも悪いのか
いつまでも押し黙ったままで
あなたはテレビの画面を眺めるでもなく
そっと箸を置く

テレビのなかには
つまらないギャグに笑い転げる顔があり
テレビのそとには
 ....
ピアノの旋律
耳にこだまし
ガラスのレンズごし
僕を照らす
冷たい指先
氷の瞳は
永遠に伏せられ


夜の女王
来たり
たとえばいつか
時計の針が十五時を指したら
南向きの窓辺に腰をおろし
熱いミントティーを飲む
白壁とコバルトブルーのきらめく
シティ・ブ・サイドのカフェにいるように
乾いた風が吹いたら
 ....
少し伸びた髪のあたりから
あなたは植物になって
黙ってしまった

毎日少しずつ水やりをして
葉だけが生い茂り
花はまだ咲かなかった

自分でやったのか
間引かれた葉が
土の上に冷た ....
テーブルの上に広がった海へ
そっと釣り糸を投げ入れる
古びたソファーに腰を深く沈め
ダージリンを一杯
それから
小さく溜め息をついて
今日一日分の孤独を釣り上げる
雨がとおりすぎたあとは
すこしやさしくなるの

水滴がきらきら
ひかる お庭で

太陽と一緒に
ころがってみる


虹のささやきに
天使がウインクしたら

ユメから覚めた
 ....
夫の耳を探っていると
小さな化石が出てきた
耳掃除は毎週日曜と決めているが
今まで見たことも無い色だった
これはいつのものですかと聞いてみる
寝言で
白亜紀と返事が返ってくる……


 ....
箱庭には僕らだけ、
それから息をするけものたち
いちばん優しかったのは柔らかい雨

幾度と無く願ったっけな、
息絶えるのは美しいイマジネーション

生まれ変われた世界のなかで、
ひたす ....
迷いました
立ち込めました
自分を見失い
不穏な空気は濃密です
君がくれた記憶は夜毎一粒ずつ飲んでいて
そうやって体を沈めます

半月が揺れるコップの水面
奥歯で噛みしめ ....
  「オルガン」

オレンジみたいな涙を流すから
いつも泣かされてばかりいた
優しいね
キミは唇を頬に寄せて
流れる柑橘涙を上手に受け止める

夏の子供用プールはレモンの匂いがするね
 ....
あなたに伝えたくて
今日も綴ります
夜の静寂に
零れる想いを

あなたを想うから
今日も開きます
昼間閉まっておいた
わたしのこころを

あなたにそばにいてほしいから
今日も ....
枯れはてた屋上。
フェンスすれすれに、
ジェット機が飛んで行くのが見える。
君臨する夜に向かって、
いい加減に手を振った。
握り潰すように
掌にはスプレー缶があった。
それで
夜から色 ....
雨上がりの朝は
木々の葉の上で
雲が作った宝石が
きらきら
きらきらと
輝いている

空の上には
雲が忘れていった
たくさんの子供達が
朝日を浴びて
七色に輝いている

その ....
ひとひら
白い花びらのように

ひとひら
優しい言葉のように

私の髪に 肩に
静かに舞い降りてくる


思わず手を差し出したら
ひとひら
掌の中 ふわりと落ちた


こ ....
あの樹の陰に隠れているのはだれ
さびしそうに
じっとうずくまって
耳をふさぎ 目をふせて
なにを怖れているの だれが恐いの

だれひとりいない森のなか
こんなに静かで
鳥のねひとつ聴こ ....
君を知るはじめての雪くちびるに
    触れるまもなく溶けゆく微熱


汽笛過ぎたどる鼓膜に降りかかる
    {ルビ細雪=ささめゆき}かな哀しみかすか


綿雪がいつか隠してくれるま ....
「この先には何があるの?」
「子供はまだ来ちゃだめだよ」
って言われた幼い頃のぼく



今では「まだ来ちゃだめ」って言う役割を与えれ
結局
この先にまだ
何があるのか知らない
あなたは並んでいる
両手をポケットに突っ込んで
似たような後姿に紛れ

我先にと腰掛けた当り台に陣取り
ぎんいろの球を弾く
時間を浪費することへの悦楽と
日常とは隔絶された光と音の饗宴に ....
わたしの心の暗闇に 
張り巡らされた蜘蛛の巣は 
寂しい一つの宇宙を広げ
いつも小鳥を待っている 

幾羽ものはばたきは 
見向きもせずに 
薫りだけを残して 
網の目を通り過ぎた 
 ....
【Vermilion】

熱帯夜
切れ切れに見た


それは鮮やかな
夕暮れの朱

軽い知恵熱

黄昏時には
人が狂うって
そんなことは
露知らず ....
おまえは
虚空に
なにを探す
道を失った子供の眸して
どこを見つめ
なにを思い
そして
誰を待つ

翼をたたんだコウモリの肘
切り取られた鶏の足、左手

咽せるとろみ茶
刻み ....
その坂の上は外人墓地になっていて
少しだけ風がそよぐ。
港町を見下ろすその場所で、
土の上に居場所をなくした人々が 眠っている。

その風を、汗に濡れた指先でなでるのが好きだ。

 ....
{ルビ箸立=はしたて}に
ひっそりと立っている お箸
いのちの橋渡しを行うもの

せつなさをとおりこして
うれしさがあふれそうな
いのちの輝きの
道のりを
真っすぐに
みおくって ....
本当の涙の意味を教えて
嬉しいときに泣くのが本当の涙?
悲しいときに泣くのが本当の涙?

僕は無限の言葉を捜しても
何も言えずに微笑んだ
真面目に答えてなんて
意地悪なことを言う

 ....
プラットフォームの
割れた電光掲示板
傷ついた蛍のように
オレンジに
滲んで


ゼリー状の夜を滑りゆく
ゆるやかに
最終列車のネオン
行先不明の僕たちは
いつだって最後 ....
 
缶の中から、こんにちは
俺は安いドロップ
君のおこずかいで買えるような
丸い安いドロップ
 
いきなり何味かって?
幸せの味だよ
甘酸っぱい俺のポリシー
君を笑わせる自信はあるさ ....
自転車のタイヤがパンクしたので
中からチューブを取り出したら
古い友人が出てきた
すっかり雰囲気が違って
歳をとったのか
顔にはたくさんのしわがあった
飴をくれる癖があったので
すぐ ....
正月を過ぎたら
なにがなんでも
(たとえ気温が零度以下であろうとも)
春がきたと決めている。
占星術師は
(ひどく寒いのにもおかまいなしで)
窓を開けて夜空を仰ぐ。
深夜の冬空はすでに春 ....
燃えておりました

街は真っ赤に燃えておりました



ぼくは、ぼんやりとテレビの前で
その光景をながめておりました

電気はつながっていました

すぐ横には、
割れたガラスの ....
雨上がりの
仄白い、広い、ひとつの湿度が
冬の夜の終わりに、ふ、と
灯る


夜明けだ
空はひとつの肺となり
冷たく湿った冬の朝を呼吸する
細やかな鳥の霧を含んで
 ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
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