一枚の写真のなかで私
笑っていた
卸したての制服は似合っていないし
表情もなんだかぎこちない

引越しの準備とかで慌しい最中
久しぶりに開いてみた
アルバム
こっちへ出てくるときに母が ....
大きなマルが描きたかった
テーブルには収まらず
床のうえにはうまく描けず
壁は論外で
仕方なく庭に出た
引き潮で乾いた土のうえに
棒で線を引いていくと
小石にぶつかるたび歪むので
 ....
そばに
空を映す
手鏡の面

扉のない部屋の中で
人知れず
鳥になる

面の中を
千年の時の重みに耐える私が
飛び去って行く

誰もいない部屋の中で
温かな記憶が
私を探し ....
瞳の岸辺に
釣り人がやってくる
かなしみの主を釣るために

まつ毛が雨に濡れている
湖水が溢れて川になる
大地の鼓動が震えている

釣り人は帰っていく
明日もまた来るだろう
かなし ....
ぼくの隣
静かなきみのポケットに
たぶん幼い
春が来ている

手を入れれば
指先に形のない手触り
必要な幸福は
それで足りる

春になったら
そう言い続けて
ぼくらは今
何を ....
電車の好きな少年だった


窓のそとを
いつも景色を走らせていた
乗客はいなかった


やがて彼は
景色のなかを走った
走りつづけた


いくつかの景色をつなぐと
電車にな ....
風が吹いてるのではなく
人が吹いているのだ
居眠りしながら
遠いところまで吹いていくのだ

街に春が訪れたなら
それは誰かの夢のはじまりなのだ
気配を感じながら
やがて知らない街へ夢 ....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先

あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
夕暮れの無くなった街で
僕はリコーダーを拾う

オレンジ色の零れた
艶がかったそれは
いったい誰が落としていったものなのか

(聞こえますか、アンジュール

(僕はまだ、この街に ....
私は流れてゆく
水のようになめらかに
時には{ルビ滔々=とうとう}と
時には穏やかなせせらぎになり


私に映るのは雲の流れ
陽のきらめきがいくつも反射する
あるいは透過して泳ぐ魚の群 ....
君に明日会えるのが
楽しみ
で そりゃもう
君に明日会ったら
嬉しみ
で そりゃもう

なんて
どうして言えないの

楽しい
にミを着せて
嬉しい
は裸のまま

うっ 寒 ....
見たものを
すべて
心の中に閉じ込めて
持って行きたい

今夜

それなのに
掌に掬った水のように
うわずった声が
後から後から
唇からこぼれては
二度と取り戻せない

だ ....
瓶詰めの淡い桜の花びらに葬られている背骨がふたつ



水仙を手折った君の指先が夕陽で赤くて綺麗で恐くて



ぬるいよる鏡の自分と目が合ってさびしそうだねって笑ってあげたの ....
「きず・凹みなおします」 
横文字の流れる電光掲示板を 
仕事帰りの夜道で通りすぎる 

明日も世界中のあちらこちらで 
数え切れない凹んだハートの人々が 
朝陽とともに起き上がり 
そ ....
「おつかれさま」

思わず「えっ」と聞き返してしまった
久しく労わりのことばなんて無かったのに
何かにつけて話しかけてくるし
誰かさんからの着信メールを気にしなくなった

あなたの言葉を ....
ドアの外は暗い暗い霧の都
離した指に巻かれている糸は虚ろ
君がどこかから取り出した小さな鋏
魔法のように集まっていた想いの粒は散らばって

靴紐に足を取られてつまづく
温度差には ....
人が生まれる
前のことを
死んだ
とは言わない

人が生まれて
生きたから
死んだ
と言うのだ

今日も定刻通り
汽車が来る
私の前を
一台のトラクターが通っていく
エンジンは悲鳴を上げ
しかしその音と反比例するかのごとき
スピードで

私の前を
一台のトラクターが通っていく
タバコを燻らし
もう片方の手は ....
空中に浮かんだ花を掴みたい無理して夢を壊してみせて



顔の無いひととたくさんすれ違う朝のホームに溢れるひかり



階段があるなら上がる本当は下っているとわかっていても
 ....
この季節は自分の名前が口々に交わされるので
用心しなければならない
迂闊に返事をしないように
ほいほいとついては行かないように
簡単に微笑んでしまわぬように
まんまと
好かれているなどと思 ....
せんせいが
黒板に大きな字で
「心に太陽を持て」と書いた

ぼくは
ポケットに子すずめを
持っていた
ときどきチチッと鳴くので
ポケットに手を入れたままで
柔らかい羽を撫でてやる
 ....
セーターを
頭からかぶって
泳いでいた

はるか彼方の星の
海の底から浮上する
あなたの異星人の声は
不可思議に遠い

その孤独は
宇宙の果てにある
月、外側にある言葉 照らされて空にある
蒼夜の路地裏で僕は 影を必要としている
月光は誰を求めるか

  太陽、秘めた声
  心灼きながら
  生まれ続ける
  聞いて、聞いて、
   ....
母さんと
船に乗ったことがある
遠ざかる港を見てるうちに
母さんはいなくなって
そこにいたはずなのに
かもめが一羽止まってる
少し辺りを見まわして
ふたたび見ると
遠ざかっていく
か ....
じっとしてそとくちづける桃色の
    耳たぶに来る忍び足の春


いきおいで踏んでしまえば近づける
    春も黄色の君がソックスも


風は吹く髪に小枝にからまって
    うぐ ....
胡麻が大好きで
ついに胡麻になってしまった

喜んでいたのもつかの間
胡麻は胡麻好きな人に
食べられてしまった

それがはたして
人だったのかどうかは
定かではない

いずれ ....
「ねえ、良いだろ?」

何が良いんだかと思いつつ
とりあえず
あなたの左腕にしがみついてみる

押し付けた胸のふくらみに気づいたらしく
慌てふためく様子が可笑しくて

かまととだとか ....
風が届けてくれた誰かは知らない人の思い

けだるい朝の坂で僕の足はとまり先には進めない

全て君が綺麗だから僕の体は動けない

どのくらい繰り返せば毎日は明日じゃなく未来に続く
 ....
できれば曇り空の日がいいでしょう。
まわりに高い建物や木などがない場所を選んでください。
慣れない方は、あまり雑音のない、
出来るだけ静かな場所の方がいいかも知れません。
服装は気軽なもので構 ....
世界を手にとれない
小さな手
サミシサに
ひと粒の砂さえ
握りしめて離さない
さまよう私の
うつろう心の
冷たい手
未有花さんのおすすめリスト(6094)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
引っ越すひと- 恋月 ぴ ...自由詩25*08-3-10
マル- アンテ自由詩7*08-3-9
日曜日の午後- Etuj ...自由詩408-3-9
釣り人- 小川 葉自由詩408-3-7
裏木戸- たもつ自由詩3008-3-7
電車- yo-yo自由詩26*08-3-7
春風- 小川 葉自由詩408-3-6
足りないひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-3-5
アンジュール- 仲本いす ...自由詩408-3-5
水の恋歌- 石瀬琳々自由詩9*08-3-5
うれしみ- 乱太郎自由詩23*08-3-4
- 大覚アキ ...自由詩708-3-4
青色遊戯- しろいろ短歌1208-3-4
青い標識_- 服部 剛自由詩508-3-3
疑惑のひと- 恋月 ぴ ...自由詩11*08-3-3
「都」- 菊尾自由詩308-3-3
汽車- 小川 葉自由詩708-3-2
じいちゃん- ここ自由詩7*08-3-2
如月銀河- 本木はじ ...短歌508-3-1
名前についてのいろいろとわたくし- よしおか ...自由詩7*08-2-29
卒業- yo-yo自由詩5*08-2-29
宇宙セーター- 小川 葉自由詩408-2-29
月空の夜光虫- たりぽん ...自由詩708-2-29
かもめ- 小川 葉自由詩308-2-29
忍び足の春- 石瀬琳々短歌2*08-2-28
胡麻- 小川 葉自由詩208-2-28
断わりきれないひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-2-27
戻ってきたよここにさ- こめ自由詩608-2-27
落ち方- 六九郎自由詩6*08-2-27
冷たい手- 由志キョ ...自由詩708-2-26

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