昼下がりの教室が好きだ
土曜日、テスト終了後のちょっとした時間
つかのま開放されたような空気が好きだ
そして特にやらなくてもいい採点を
僕は好きでやっている
どうせ僕が採点しなくても ....
悪いことをしそうな夜は
思い出として残ってる
悪いことをした夜は
事実として残ってる
ただそれだけの違いなのに
昨日も、今日も、明日にも
かならず夜はやってくる
あな ....
わたしの頭にもやがかかってゆく
わたしの目に霞がかかってゆく
何も考えられず何も見えず
わたしはまはだかで歩こうとする
草がからみつき肌を切り裂くのもかまわずに
風になぶられる髪がど ....
時間の音がする
何かと思ったら
雨漏りだった
いつのまに
雨が降ったんだろう
いつから僕は
泣いてたんだろう
雨の旧道を走り去る
一台の車の
静けさのように
ぼっかり空いたこころの隙間に
あなたの優しさが忍び込む
そのひとに騙されているのではと
友達は忠告してくれた
仮にそうであったとしても
構わないと思ってしまうわたしがいる
ひとの弱 ....
時間の音がする
何かと思ったら
雨漏りだった
いつのまに
雨が降ったんだろう
いつから人は
泣くことを覚えたんだろう
雨の旧道を走り去る
一台の車の
静けさのように
春の陽に
野原の草がきらきらひかる
菜の花が揺れ
ペンペン草が大きくなる
ホトケノザも
紫色の小花をたくさんつけて
たんぽぽが
黄色のブローチのように
地面をかざる
....
きみが少し元気なときに
庭に植えた白梅に
真珠の粒がころころと
それは春の序章とも言える
きみが好きだった春の 前髪が見えて
それはきみの季節とも言えるが
メディアから塗りつけられる春 ....
『誰か拾ってあげてください』と書かれたダンボール箱の中に2匹の可愛い子猫が捨てられていて、次の日またそこを通って見ると、2匹の猫は既に安らかな眠りについており、ダンボール箱だけが望み通り拾われていた。 ....
鏡は知っている、として
おまえはどうなんだ?
生きているのか?
魂を病んでいるのか?
つるりとした風の肌触りに身を震わせているのか?
無闇に齢ばかり食っていないで
答えを 落として ....
春の女 桜の古木にもたれて
ぬめる 初々しい 肌 寄り添う
産毛が細く 金色に光っていて
毛穴は深く 呼吸をしていて
絹の触れあい
暖かな風は 透ける布の裾に戯れ
頬の紅が ....
幾十年も働くということが
途方もなく長い道のりに思え
僕はひとまず荷物を降ろし
ありきたりないつもの道を外れ
目の前に広がる
今日という日の草原を
無心で走ろうと思った
....
窓から降りそそぐ光に
神の手をまねて
祈りを添える
風が始まりのように吹いてくる
命の悲鳴を聞くまえに
私たちは
ドアを開けて
地平線へと向かうのだ。
オリオンのまばたきが
霞んで見える
蒼い夜の隙間から
一通の手紙が粉雪のように
宛先が書かれていない
差出人の名も書かれていない
薄い肌色の封筒
糊づけもされていないので ....
いくつもの読点で、あなたを区切って
体内へと運ぶ
元のカタチを、思いだすこともできないくらいに
細切れに、咀嚼していく
小指の爪から、過日の砂が落ちて
潮の匂いがした
....
休み時間に生徒が漢字練習をしていた
なかなか漢字が覚えられないとぼやきながら
僕はそれを見守りながら
漢字はいくつかの漢字がくっついていることもあるから
それを手がかりに覚えてゆくのも ....
穏やかな陽射しが窓を通り抜けて
空の写真立てを輝かせている
少し前の流行の曲が何処からから流れて
行き交う人々の足音が混ざり合い
触れた肩の痛みに声を上げずに
僕は明日に走り出す
....
おとうしゃん、おとうしゃん
三歳の息子が僕を呼ぶ
お父さん。
一瞬
低い声で
青年の眼差しを見た
もう彼の大人は
目覚めはじめてるのかもしれない
おとうしゃん、お ....
やるせなさ瞳は映すとおい窓
夜は流れて青いノクターン
駆けてゆく白い足首白い影
心に落ちる雨だれを聞く
思い出す人の涙を黙りこむ
肩の重みを別れのゆう ....
鳥になりたいと思った
そしたら
鳥になった
はばたくと
風はいちまいの紙だった
会いたい人がいる
その街だけが
記憶のかたちをした白地図
飛ぶ。
風には声もあ ....
なんだかこぎ疲れたから
ちょっと立ち止り休んでみる
無理してこがなくとも良いのだと
あなたは諭してくれたけど
途中でやめるなんてことできなくて
意固地になんかなっていないよ
こぎ続ける ....
雨がふると
むかし行った遊園地の
メリーゴーラウンドをおもいだす
楽しみにしてたのに
その日は雨だった
かっぱを着て
長靴はいて
お兄ちゃんとふたりで
メリーゴーラウンドに何度 ....
ねぇ
あの人は眠ったのかしら
身の丈ほどの花にかこまれて
私は帰るところに迷う
私の頭の倍ほどもある
菊科に似た花に息苦しさをおぼえながら
それでも
どこへいけばいいのか
わたしは進む ....
『恋するピノッキオ』
「は、ハナは高いけど整形なんてしてないやい!」
と言う度
彼の鼻は高くなっている
『恋するかぐや姫』
ある夫婦が元気な女の赤ちゃんを生み、まるでお姫様の ....
飛ぶ鳥はとても軽いのだということを
わたしはときどき忘れる
飛ぶために鳥が捨て去ったものの重さを
わたしはときどき忘れる
鳥の骨は細く軽く
すきまだらけで脆いということを
150kg超 ....
タイトルに「あなた」なんて使って気恥ずかしいのですが、
なんかそういう気分なので(笑)。
さて。
蘭の会(http://www.orchidclub.net/)の「ふみばこ」というコーナーに ....
スパンコールの雨が降る
君は傘を差さずに 手のひらを差し出している
きらきらとまるで夢のよう
さらさらと風が吹く
君の手からこぼれおちるしずくを
僕は黙って見ていた
スパンコー ....
踏み締める靴底の下に
草の命
流れ去る雲のように
一日が過ぎようとする時
時の重みの下に
群生の花
一日が
暮れてゆくやさしさで
満たされてゆく時
限りない
いとおしさで
今日を ....
誰かの哀しみを拾い上げる
冷たい小糠雨に濡れ
誰かの哀しみは
つぶらな瞳でわたしを見上げたように思えて
この胸に優しく抱きかかえた
歩道橋下の暗がりで拾い上げた
誰かの哀しみは
手の ....
右手のスティックで地球儀を叩き壊す
白い硝子の地球儀
粉々に砕けて、僕の指を傷つけた
左手でラジオのスイッチをいれてみる
{雑音=ノイズ}と衝突する人々の声
嗚呼、あれは
最後のファン ....
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