神社の階段を登る
人を追いかけて
無意識のまま
僕も登る
人になっていた

声が聞こえる
それは
ヒグラシの声かもしれないし
その日を暮らした
僕の声かもしれなかった

 ....
ガラス張りの冷蔵庫から
ぼんやり眺める街並みは
いつか見た夢のように
とても希薄で

行き過ぎる人影は
照りつける陽射しに
丁寧に舐め回された揚句
溶けかけている

薄いアイス ....
 
そのむこうには
休日がある
わたしたちのための

いったい何を休めばいいのだ
と男が言い
いったい何から開放されるの
と女が言う

お墓の土から生まれた蝉の幼虫が
羽化するの ....
細い金属質の陽射しが
容赦なく肩に、腕に、
きりきりと刺さって
サンダルの真下に濃い影が宿る

忘れかけた思い出は
向日葵の未成熟な種子に包まれ
あの夏
深く青かった空は
年 ....
アナタハ ダレデスカ

身寄りも帰る場所もなく来る日も河川敷を掘じくる佐久間少年ですか
地球の汚染大気に蝕まれ余命いくばくもないメイツ星人ですか
ふたりきり
河川敷の工場跡で
下水道に住む ....
耳を立てて
とおくの雷鳴を聞いている
虹の匂いを嗅いでいる
夏はどこからか
ぼく等の原始人が現われる

川は流れつづけているので
終日ぼく等は瀬にさからって泳いだ
唇まで冷えきったら岸 ....
真夜中に子供は眼を覚ます、
覚醒する、息を止める
父親も母親も
今日はもう眠りについていた
いつもはもっと遅くまで
呼吸を荒らげているというのに

しん、と耳の中でなにかが残るような気が ....
(1)

掛け声と干物の臭いに押し流されるようにして
昼下がりの賑やかさに身を委ねてみる
所狭しと商品の並んだ店先を覗けば
一見かと値踏みする手練の客あしらいに
思わず半歩後ろへ下がりつつ ....
                080730


レモンの月が
パチンと弾け
花火になった
弾けて
星も光る夏
鳳仙花の種を播く

どこの誰が播いたのか
パチンと弾ける鳳仙花 ....
左目の水晶体に封じ込められた
淡い翡翠色の少年人魚は
ぴくりぴくりと蠢動しつつ
お前を挑発しつづけるだらう

覚えておいで
人魚は七回脱皮することを
そのたびに
空は蒼く痙攣するだらう ....
遠く 遠く
雲が疾風のように通過する

遠雷の気配がして・・・

靄つく大気を涼しげな
風が過ぎて行った

雨の降っている 匂い
心が遠雷を聞いて
遠くへ憧れると

希望のよう ....
夏の夜の裂け目から
蝉の抜け殻は現れる
その内部には
恐ろしい秘密が詰まっている
それがこのもろい構造を支えているのだ
眼には真っ赤な悲しみを湛えて
どこまでも透明な孤独が
今夜天の川と ....
白いりぼんが流されてゆく

美しく結ばれたままで

かわした約束が緩むとき

こわくてひっぱれなかったりぼんの先が

ゆらゆら水に揺られて流されてゆく

きれいなままで消えてゆく白 ....
 *
あの日、父さんは
僕に拳骨を一つくれた後、

西瓜を食べたいな
って、思ったら
ちゃんと言いなさいと
悲し気な顔をして
溜め息を一つついた後、空を見上げて…

確かに、
クスッと笑いを漏らして ....
お縄にかけられた女の姿を思いだし
娘は静かに下唇を吸った。

宿下がりのたびにあのおぐしを勝山に結うたはわたし。
江島どの、
かほどにあの男が愛おしうござりましたか。
さればわたしも。
 ....
微かな音だけになって

宇宙に放り込まれたみたいに


地上の星屑が
夜を点滅させる
   (七色の輝きの物語りを
    伺うことはない)

    ただ
    静かに

 ....
ひいやりと冷たいメロン空に浮き
    悩ましい夜見つめるだけの


物思いシロップの海に漂うか
    救ってみたい桃のかんづめ


ごめんねとパイナップルの輪切りして
    白 ....
目が覚めればキッチン
冷たい床に背を着けて
仰向けの天井を見ていた
天井でゆれる光、あれは
水面
キッチンを満たす液体
懐かしく吸い込んで
天井に(水面に
浮かぶ(ゆれる
花びら ....
(1)

明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
細長い一日の側面には
たくさんの出窓が一列に並んでいた
窓枠には下手な絵が嵌め込まれていたから
僕は脇目もふらず
いったりきたりするしかなかった

細長い一日の両端には
それぞれにひ ....
きょう手紙が届いた
とおい山のホテルの便せんと封筒
差出人はぼく
自分から発ち自分へ帰ってゆく旅人の
孤独な手紙だ

恵那山トンネルという
中央自動車道の長いトンネルを抜けた
恵那山の ....
透明水晶の信号柱から
七つ先の林道をかけあがると

ずいぶんと見晴らしの良い高台に
ブナの木が一本立っている
木の実を転がしながら

その細い林道をしばらく行くと
もう帰ってはこれない ....
屋台の行列と祭囃子
利根川の水面が映し出す宵闇

藍色の浴衣と広島風お好み焼き
袋の中で呼吸する金魚


やがて遠くの方から花火が上がると
人々は一斉に夜空を見上げる
不意に懐かしく ....
日曜日の午後は
ここからはじまる
たくさんの
命の庭

話したり
話しかけられたり
平日とは違う
あんパンを
ほおばってみたりした

午前中
僕は眠っていたので
午後は
知 ....
この夜を沈めて
蛍光灯の明かりが漏れる部屋は
心音で満たされて

夜の淵をたどり
深い海の底へ降りて

眠りの宮の前で
今日の夢を乞う

海ほどの
心の深さを
今日の眠りは約束 ....
心のダムに
言葉の雫がたまったら
きっと流れるうたの川

溢れ出してしまいそうになりながら
きらきらした雫だけ抜き取って
私しかつくれないうたの川

いつかとっておきの
雫でできた川
ここのダムから流 ....
行き先も知らない船から
紙テープを投げて
わたしは今日、生まれよう
別れを告げるために投げるのではなく
離れるために切れるのでもない
風に大きなループを描き
旅立つために

    ....
こえられるか
それを

はるかな緑の稜線を
過ぎ去った時の豊かな過去の記憶をかかえ
こえられるか

熱いまなざしのさき
あふれる想いのながれる河を
こえられるか

たちすくむ身を ....
交尾したいわけではないんだ
そんなドキドキすること言わないでくれ
あのこの
すらりとした尻尾
ときどき試験管ブラシみたいになる
あの尻尾に
ただじゃれついていたいんだ
いつまでも
ぼく ....
境界の打ち水、
風が死んだ下町の昼下がり
狭い裏路地を通りすぎる
黒い日傘を差した女

夜に咲く花が匂う、
鉢植えの月下美人が
錆びた郵便受けの真下に
只ひとつ置かれていた

よう ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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