炎昼を赤子の声で鳴く蝉や

誘蛾灯十枚の爪かかりけり

泳ぎきし手足を埋めて砂の城

真夜中の汗つま先へ到達す

扇風機ふいに大きく頷けり

蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
油蝉の断末魔に
ふりむくと
老婆がひとり
まどろんでいた
石段にひろげられた紙の上に
硬貨をひとつ
投げてやった
老婆は顔を上げると
おれの目を
じっと見つめた

あくる日
老 ....
朝のように 夜のように
当たり前に 僕はいよう

ワビのように サビのように
心に沁みて いたいよう

空のように 風のように
当たり前に 僕はいよう

眠りの中に落ちていく ....
花冷えに辛夷の花は紙吹雪
さながら空に向きて咲きつぐ

隣屋の蔦塀越して握手する
さまに吾が家の薔薇に近づく

芋づるが木犀の木に巻きつきて
ヌカゴガ三つ太りていたり

雨だれのリズ ....
歩くのに慣れて
つまずかなくなった
娘は
平地でもつまずいて転ぶ
ひざっこぞうに
青あざをつくって帰ってくる
そのたびに
下を見て歩かないから と叱る

歩き始めたばかりの頃は
も ....
女の子が手をふる
「てっちゃんの、おかあさーん」
私はあの子の名前 
知らないのに

顔と名前を覚えるのが苦手で
人に会うと、どきまぎしてしまう
間違ったらどうしましょう
それはまるで ....
 鏡の向こうのほうが
 今のこっちより少しだけ
 幸せそうに見えた

 嘘じゃない
 だって向こうの僕は笑ってる
 僕がこんなに死にたいって思ったって
 向こうじゃ笑ってる

  ....
彩る街の中を、寄り添う船が
あの銀色の平原を
滑るように進んでいった

街の中では
音もなくすれ違う人波、灰色の星
それでも
君は華やいでいると言うのだろうか

もう遠い船は
ただ ....
  しんとした
  もりのおく
  ざわめいた
  ゆめのあと
  くちびるで
  きみのこえ
  ゆびさきで
  きみのこえ
  たしかめる



  たしかめる
 ....
洗面器の水に
指を浸す
わたし達の海はこんなに小さい


手と手が触れ合える
ささやかな暮らしでよかったね


ざざぶ〜ん
ときどき窓のそとで水音がする
あれはイルカ
あれはシ ....
ぼくには声はないよ

さけんで さけんで
声はきこえなくなってしまったよ
ぼくは、うたえないよ
ただ、卑屈な笑みしかつくれないよ


正直、今日も死にたいと思っているよ
病気と言って ....
雑踏のあちこちで発生する
ポップな着メロ
それぞれの手のひらの中
ぽろぽろとカラフルな
想いをつかまえる


まるでゼリービーンズのよう
人工着色料かけたみたいな
絵文字やコトバが
 ....
近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこの ....
正しい人は
どこにもいないけれど
正しさを求める人は
たくさんいるね

むずかしい顔はやめにして
軽く、
答のようなものを
肩に乗せてみるのは
どうだろう


きみの知 ....
太陽が沈んでゆく
そこが西の空だ
そして今日は下弦の月
だからすぐには
月を見ることができない
真夜中までじっと待て
そうしたら
太陽が沈んだ反対側を見ろ

今日の理科で習ったばかり ....
午前の陽が
空間に満ち満ちて 
こぼれそう

木々の緑に
この陽光は 留まり
深い瞑想の光合成が
効率よく 静かに浸透して
一葉は重く 沈む

地球の裏側で
ラプラタ川のほとりで ....
紫陽花は誰かのために色を変え

庭先に咲いた牡丹が欲しいか嵐

木瓜の花闇夜に燈る灯のように

足跡を残すが如く咲く菫

向日葵は子供の顔を覗き込み
お盆に実家に帰ったら
なつかしい扇風機が居間にあった
こどもの頃に足でスイッチを入れたり切ったりして
かなり邪険にしていた扇風機が
とてもモダンで今っぽく
おしゃれな感じに見えた

お墓 ....
*
澄んでいく記憶の端から
水色の汽車が走り出します
ため息や欠伸といった
水によく似たものたちを
揺れる貨車に詰め込んで
透きとおる空の下
滑らかなレールの上
どこまでも
どこまで ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする

すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような

ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
今あなたが食べた
その秋の実は
一年に一度しか実がならない
そんな生き物なのです
人の一生の中では
わずか五十回くらいしか
作ることができません

この秋の実ができるまでに
冷たい風 ....
二つの小さなビンに詰められた
ピンクと水色の奇妙な物体
人のような形をしているけれど
腕とか 足とか すごく曖昧で
でも
体全体から意思を発しているような
とても奇妙な二つの物体

「 ....
聞いたことはないけれど
蓮は花がひらくとき
ポンと音がするらしい

聞いたことはないけれど
それはきっと
何処か遠くの暑い国の
砂に塗れた大きな仏像の前で
小さなやせた女の子が
そっ ....
ぼくは
命を惜しんでいる
まだ
愛していないものが
視界の端々や
夢の隅々に
在るから

小さな約束をして
鳴いて亡くす蜩の生涯
たった一匹の虫の声よりも
気高い歌を
ぼくは
 ....
居酒屋で 
ビール片手に酔っ払い 
まっ赤な顔して 
柿ピーの一つひとつを 
座敷畳の隅に並べ 
目尻の下がった
頼りない 
顔をつくる 

「 なんだか俺みたいだなぁ・・・ 」 
 ....
            それはなぁんだ

   ペガサスが颯爽とかけるかのように
            天上の大奥から
   青い吹き矢となって迫ってくるもの

  マグマが轟々と地鳴り ....
数段にかさなった雲がちぎれて
やがてあなたのところに届く
そうして同じ雨を降らすの

目に映りこんだ人の波を追い出したくて
必死で目をつぶってみるけど
ぶつかり合う肩の痛みに
思わずあな ....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること

いま
全裸を隠そうとしている
この月のように

僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに

あなたは
不信で覆われていく ....
晴れた日に
テレビゲームをしていたら
外で遊べと言われ
公園でサッカーをしていたら
ボール遊びはするなと言われ
自転車で探検に出かけたら
行き先を必ず言えと言われる

ぼくたちの遊びを ....
あの青は知っているのだろうか

大海の向こうの優しさを
国境を越えた憎しみを
アスファルトに染み込んだ綺麗な血の匂いを
埃まみれの文字に隠された秘密を
届かずに色を失う百億のコトバ達を
 ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
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大人たちの遊び- ぽえむ君自由詩9*07-9-1
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