明け方の目をみひらいて駆けてゆく夢は邂逅すうつくしい馬


やさしさをあつめて君の手のひらにスノードームの粉雪の降る


君に会うために生まれてきたという光射す薔薇窓少女のねむり 
 ....
蟄虫啓戸
すごもりのむしとをひらく


ギィっと
闇に穴が開くと
部屋は一瞬で眩しさに満たされた

クラっと
意識が旋回して
しばらく身動きが出来なかった

何の理由も告げ ....
 
髪を切りました、ばっさりと

決別です

春です、今日からわたしは



 
春の柔らかな外套はいらない
寒風をしっかり遮る重いコートが欲しい

凍てついた大地を確実に踏みしめる足と
流れる雲をよみとる眼差しを

桟橋に繋留するための無骨な舫い綱あるいは
海底ふか ....
いつ
スイッチが入るのか
分からない

それが
ONなのかOFFなのか
分からない

そもそも
何処にスイッチがあるのか
分からない

行方不明のUSBメモリを探そうと
 ....
揺れる心地よさに
居眠りしていたわけではないが
通過してしまった駅があったという
ぼくを待っていた人に気付かず
遠ざかった町

乗車駅の ....
初めてのことを たくさん教えてくれたね
飽きっぽいのかなと思ったら 好きなものが多いだけだった
あんなに高いアンテナを 初めて見た

手に余るものを 大切にしようとして
ぽろぽろ指の隙間から ....
なんか そっけないなあ
いま
なに考えてるの?
あたしのこと…
じゃないよね

「ねえねえ
こんなふうに
まとわりついたら
うざったいよね」
ってたずねたら
それまで
‘うーっ ....
遠い昔の冬景色
吹雪いた白い彼方から
蒸気機関の汽笛音
ポッポーと遠く聞こます。
白い息を吐きながら
走行する機関車の車輪の音(ね)

今、眼の前の雪景色
儚く消え去る場違いな
音無 ....
目ェ凝らすと
吹雪のなかサ
色んた色した人たちが
手ェあげておどってらった

赤ェの青白ェの、黄色いの
さまざまな手やら足が
終わりの雪のなか
ヒラリヒラリとおどってらった

あぁ ....
草木萌動
そうもくめばえいずる


厳しい季節を越えて
蓄えられてきた力が
和らぎ始めた光と風の中へ
堪え切れずにはみ出す

樹皮を突き破って
凍土を持ち上げて
命のベクトル ....
 1

目を瞑って
灰の砂漠を
食べていると 
こころは徐々に
ひからびて 
ちっぽけな
雲塊になって 
コトコト笑う
鳥の頭蓋に
埋め込まれる 

鳥のくさめ
いや、くし ....
十一月の鐘が実を落とし
朱色の音符を齧る
冬になる前の夕焼けの子守歌

もういいかい
紅潮した頬がさらに赤みを増したのは
母に贈る感謝への気恥ずかしさ

渋くはないよね
不安げが ....
中二階の六畳間で
タンスの上の黒猫が奇妙なことをする。
長い舌を出しながら
タンスの上を転げ回るのだ。
そして突然畳の上に下りてきて
俺の目の前で長い舌を出し入れする
じっと俺の目を見つめ ....
れんがの家を覚えていますか
東の壁にはドアがあり
南の壁には窓があり
西の壁には物を置き
北の壁ではあなたが待つ

ドアを開けて壁をつたい
一度右へ曲がったら
虹のような形の窓の ....
雨を轢く車の音が
電話の呼び出し音の行間に
打ち寄せてくる

湿り気を帯びたルーチンワークは
未だ真綿に包まれた意識の中

縋りつくように盗み見る
スマホには温度の無い文字列と
 ....
雛人形は海を渡らない

「今日は雛祭りよ」
「雛祭りってなあに?」

童話を聞かせるように
雛祭りの話を聞かせる

「ふ〜ん」
それはまるで 
おとぎ話よりも遠い世界のお祭りごと
 ....
 時計が深夜十二時を知らせると、ひいながたりが始まります。
     ◇
「姫さま、殿が見当たりませぬが、どちらへおいででしょうか」
 三人官女の年長者がお歯黒を三方(さんぽう)で隠しながら上段 ....
 大きな木の箱から、何やら呟きが聴こえてくる。

「あぁー、もうそろそろ春になったのかしら?」
 溜息交じりの女の声、どこか気だるく寝むそうだ。

 年に一度、このカビ臭い箱から私はやっと出 ....
物語に参加している僕は
確かに主人公ではない。
何かが主人公の物語に参加しているようで
何が主人公なのかとんと分からない。

夕闇の迫った黒い森の周辺を
朱色の夕焼けを背景にした
黒い鴉 ....
ほぼ等間隔に置かれた
不安のハードル
倒さないようにしながら
生真面目に歩く

決して抜け出せない
ループの回廊
天気はいつも晴れのち曇り
ところにより雨

ほぼ等間隔に現れる ....
 むかし、ぼくが田舎で少年をやっていたころ、野性の動物が家の周りを彷徨いていた。畦を通れば、蛇が逃げ、イタチやムジナに出会うことも、珍しくはなかった。イノシシは畑の作物を喰い荒らしていた。雪の日には山 ....  瞳


二月の白い雨の中
何もかもが凍りついた冬日
畦の匂いさへ凍りついたまま
も吉は冷たい闇の中で
いつもの道を見失ってしまった
今日はどうしても
まっすぐ歩けない

も吉を ....
最初の人間がこの列島に入ったように
この川に入った亀は何匹だったろう

ミドリガメと呼ばれていた子亀のころ
生まれ故郷から 人間に連れ出され
あげくに捨てられたのか 
それとも
遙かな故 ....
春がいる

駐車場の奥の
ハイブリッド車伝いに
ブロック塀の上に飛び乗った時
チイ子はそう思った

春がいる

朝の見回りで
ナワバリ荒らしのクロに
やられた三角耳がまだ痛む ....
今でも夢に見る

北斜面の崖
なだらかな傾きの崖

崖の上のお屋敷の、
裏手の急斜面から
空に舞い上がる自分を

空は樹木に隠れて半分
空は現実に隠され半分
半分の空に半分の自由 ....
つむじ風は南南東に駆け抜ける
収束しない想いを切り裂くように

二足歩行の夜は遅々として眠れぬ夢とともに
進化論の樹を遡り霊長類の高みへとたどり着く

昨日のことはもう知らない
知る必要 ....
土脉潤起
つちのしょううるおいおこる


雲がほどけて
雪がこぼれる

北がやぶれて
風があらぶる

音がとだえて
水がいてつく

光がとおのき
命がしずまる

雪 ....
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた

毎日々
ベルトコ ....
金属の目録に眼を通した
あらゆる色彩がひび割れる時刻に
百万年かけて落下する思考の速度で

澱んだ大気の底に広がる地衣類のような
無数の金属の結晶が犇めく都市の上空から
走査電子顕微鏡 ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
邂逅する夢- 石瀬琳々短歌3*14-3-19
蟄虫啓戸- nonya自由詩17*14-3-18
決別です- 殿上 童自由詩19*14-3-16
冬のコート- 梅昆布茶自由詩2514-3-16
スイッチ- nonya自由詩16*14-3-15
通過駅- イナエ自由詩18*14-3-14
道端の風- クナリ自由詩7*14-3-14
ネコのフリ- 藤原絵理 ...自由詩3*14-3-11
雪・松戸- ……とあ ...自由詩9*14-3-11
春の祭- フユナ自由詩19*14-3-8
草木萌動- nonya自由詩20*14-3-7
遠く暗い街- 壮佑自由詩20*14-3-7
- 乱太郎自由詩20*14-3-7
中二階の黒猫- ……とあ ...自由詩18*14-3-7
れんがの家- クナリ自由詩9+*14-3-6
冷たい雨- nonya自由詩21*14-3-5
雛人形は海を渡らない- 夏美かを ...自由詩19+*14-3-3
春の夜_ひいながたり- そらの珊 ...散文(批評 ...6+*14-3-3
【_箱の中の呟き_】- 泡沫恋歌散文(批評 ...5+*14-3-3
物語- ……とあ ...自由詩7*14-3-2
ループ- nonya自由詩17*14-3-1
掌編「悪夢」- イナエ散文(批評 ...8*14-2-28
北の亡者/Again_2014如月〜皐月- たま自由詩25*14-2-27
要注意外来生物- イナエ自由詩12*14-2-25
チイさい春- nonya自由詩21*14-2-24
空と自由- ……とあ ...自由詩12*14-2-24
つむじ風- 梅昆布茶自由詩1614-2-22
土脉潤起- nonya自由詩17*14-2-22
【_私の履歴書_】- 泡沫恋歌自由詩37*14-2-21
金属の目録- 壮佑自由詩27*14-2-20

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204