こたつと蜜柑の季節が終わって
それでも フッと食べたくなる蜜柑
蜜柑産地のJAで赤い網袋に入って
300円の値札を付けて並んでいる
{ルビ寒=かん}の間{ルビ室=むろ}に貯蔵されていたものだ
 ....
傷心の時
人は季節を忘れる
今がいつなのか
ここが何処なのか
茫然として
うわの空

それでも季節は巡る

新しい風が吹いて
花々が咲き
陽の光は注ぐ
あなたの肩越しに
滔々 ....
桜並木の木の下には
死体と狂気が
埋まっています。

今年も桜の木の下で
散りゆく花弁ひらひらと

桜並木の真ん中を
足早にすぎる風一陣

見上げる花は真っ盛り
目も眩むばかりの ....
 部屋の隅で黄ばんだ遮光カーテンの襞に、ひっそりと産むものがあった。
真夜中、昏い教科書を閉じて、少年はそれをじっと見つめていた。一匹のゴ
キブリが、濡れたオブラートのような粘液を排泄しながら、卵 ....
ヨシノさんは江戸末期の
北豊島郡染井村で生まれた

生まれながらにして容姿端麗
娘盛りには五枚の花弁を振り撒いて
道行く人を虜にした

染井村のヨシノさんを
なんとしても手に入れた ....
君の笑顔の反射率
   と
僕の視線の屈折率


君のあどけない未知数
    と
僕のくたびれた無理数


君の心への直線距離
    と
僕の言葉の射程距離


 ....
忘れてはまた思い出す白い馬スノードームをわたしの冬よ


赤い鳥、涙する日も喜びもわたしに巣食う淋しささえも 


{ルビ現世=うつしよ}を壊すくらいに{ルビ濃青=こいあお}の翼が欲しい君 ....
空き瓶収集所まで行く途中に
今年始めてみたカエルは仰向け
四肢を広げて道の真ん中に一匹 
こちらの路肩とあちらの路肩にも一匹と
まだ冬の残る雨に濡れている

暖かい日が二・三日続いて
冬 ....
妄想と暴走の果てにある
方眼紙の平野には
フタコブラクダの形をした山が
文鎮がわりに置いてあった

緑の色鉛筆で
マス目を乱暴に塗り潰すと
山を駆け下りてきた風が
それを青 ....
蝶々結びをむすべない女の子
ガリーファッションが似合わない
乙女ちっくに憧れてみても
アリスの影を踏んでいるだけの
君は残念な女の子さ

潮風に揺れるループピアス
耳の穴から広がる魔法陣 ....
短編小説を読む
短いストーリーは小さなトリップである
こころよい疲れがのこる
散歩で拾ってきた落葉をページにはさみ
椅子にすわったまま目をつむる
眠るつもりはないが眠ってしまうかもしれない
 ....
東京の地下街から 
胸を焦がすような茜空は売ってませんか

そんなことを言ったら 嗤われるだろうが
本当はみんな 自分の町に住む
夕焼け色の切符を手に入れるために
上京しては 行 ....
菜虫化蝶
なむしちょうとなる


不思議な夢を見た

とある晴れた休日
ソファーの上で腹這いになって
私は時代小説を読んでいた
時刻はたぶん八つの頃

カーテンから漏れた
 ....
たいていは
洗面所に置いてある
プラスチックの小さなコップだ
うっかり注ぎ過ぎると
すぐに溢れてしまう

もちろん
茶碗や湯飲みでもあるけれど
哀しいくらい量産品だから
いつ取り ....
夏でも冬でも昼飯はこれが良い
薬味ネギに
わさびを効かせた付け汁で泳がせ
一気にすすり込む

長く伸びたまま食道を抜けることなど
所詮無理な話 かたまって
食道の途中で速度を緩めた
 ....
春の野が眩しい訳をおしえてあげようと

詩人がわたしを野に手招く5月

青い空 白い風 豊かな瞳のような草花

春を思うがまま口ずさむわたしに、詩人はウインクひとつくれて、一 ....
白い季(とき)の帳は
突然目の前に現れ
薄いスクリーントーンのように
視界を屈折させる

肌に訪れる
乾燥の刺激と
氷点下の憂鬱
眩い雪原の幻惑は
うなだれた首元に
重くのし掛かる ....
もうすぐ学校は終わりになる
十何回目かのチャイムが鳴って
生徒たちは むやみな言葉を散らばして
風が 折れたラケットを転がして
そしてもうすぐ学校は
終わりになる
終わりだよって 誰か 言 ....
一滴の言葉が零れて戯れる水面
幾つもの円が現れて小刻みに揺れている
小さな痛み
やがて拡がっていく苦しみ
透明な水も湖底の泥に掻き混ぜられ
無邪気に太陽を愛したあどけなかった言葉も
汚 ....
はき古した靴を空に放って風を聴く

はだかの馬が雲となって駈ける野に花をさがす

ひかりを混ぜ合わせていろをつくる
まだ名前のないいろを

いつももちあるいている心のスケッチブックに
 ....
1km四方のプールの真ん中で
溺れたふりをしている男
水深はせいぜい膝小僧くらい
懸命すぎるバタ足で
足の親指の生爪を剥がしたのは
まったくの誤算だった

プールサイドのデッキチェア ....
どうして
アスファルトで覆ったのでしょう
芽生えようとしていた希望が
誰にも知られず
死んでしてしまったら 
訪れた春は悲しむでしょうに
こどもが寝ている
夢を掴みそうになって目が覚めたら
こどもでなくなってしまったあさ

等質に毎日は来ないんだし
まあてきとうでいいやという訳にもいかない

家を出る前におとなのふりをして ....
心地良い朝を吸い込んだら
迷子のオキシダントが
途方に暮れているのが分かった

悔しすぎて歯軋りしたら
心配性のフィブリノーゲンが
身構える気配を感じた

本当を言い当てられて黙っ ....
夕暮れチャイムの音を 靴底で踏む
冷めた指で掴みたかった夢は
温い毛布の中のちがう体温

斜めに闇を切り裂く車のライトに
いくつもの私の顔が 現れては消されていった

パンプス ....
それは鯨ではない
おたまじゃくしだ
スケッチをするぼくの背後で
だれかの声がした

骨になって眠りつづける
博物館の鯨
宙に繋ぎとめられたまま
白い夢はなかなか
目覚めることができな ....
冬の道のあちこちに
手袋の片方がよく落ちている

ポケットから
ものを取り出す時に落ちたのか
自転車の前かごから滑り落ちたのか
私も長年愛用していた
手袋の片っぽを失くしてしまった

 ....
手ではない何かが動いて
君ではない何かを引き寄せた
恋という記号を剥ぎ取って
唇ではない何かが貪った

唇ではない何かが動いて
名前ではない何かを呼ぶと
君という記号を脱ぎ捨てて
 ....
コトコトと
コトコトと
お鍋の中でじっくりと煮る
お肉のような気分

身体も気持ちも柔らかくなって
景色も回想も流れる流れる
ここはどこだか知らない街で古い町

コトコトと
コトコ ....
月の表面がつるつるであったと信じられていたころ
自作の望遠鏡での観察で月の表面がでこぼこであることを発見した
ガリレオ・ガリレイ

プトレマイオスの天動説はキリスト教神学オフィシャルサイトの既 ....
未有花さんのおすすめリスト(6101)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
三月の蜜柑- イナエ自由詩15*15-4-1
【_季節_】- 泡沫恋歌自由詩21*15-3-31
桜並木の下で- ……とあ ...自由詩6*15-3-30
ゴキブリ- 島中 充自由詩6*15-3-25
ヨシノさん- nonya自由詩20*15-3-25
わからないこと- nonya自由詩15*15-3-22
楽園- 石瀬琳々短歌3*15-3-19
カエル夭折- イナエ自由詩12*15-3-19
原風景- nonya自由詩19*15-3-18
【_残念BOXS_】- 泡沫恋歌自由詩13*15-3-18
漂って夢の淵へ- yo-yo自由詩2*15-3-18
カラスの行方- 為平 澪自由詩17*15-3-15
菜虫化蝶- nonya自由詩14*15-3-15
- nonya自由詩16*15-3-11
年を取るとはこういうことかーざるそばー- イナエ自由詩15*15-3-10
クローバー- 月形半分 ...自由詩5*15-3-10
晩秋から- ……とあ ...自由詩7*15-3-9
学校が終わる- オイタル自由詩2*15-3-8
アラベスク- 乱太郎自由詩12*15-3-8
- 梅昆布茶自由詩15*15-3-8
呪縛- nonya自由詩10*15-3-8
舗装農道- イナエ自由詩13*15-3-7
こどもの夢- 梅昆布茶自由詩1115-3-6
かものはし- nonya自由詩19*15-3-4
靴底- 為平 澪自由詩10*15-3-4
鯨はみどり色の夢をみていた- yo-yo自由詩6*15-3-4
【_手袋の片っぽ_】- 泡沫恋歌自由詩16*15-3-2
舞踏- nonya自由詩14*15-2-28
列車に揺られて- 灰泥軽茶自由詩815-2-28
ガリレオの星- 梅昆布茶自由詩1615-2-27

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