ほの甘い色の胞子が降りしきる午後
小さな昏い紫の遊星の影が
君の瞼をよぎってゆくのを見る

チェス盤のうえ
気まぐれに並べられた駒たちのあいだを
七角形の記憶がすり抜けるように踊っている
 ....
  (カワセミ!カワセミ!)

木々の重なりの一番深く
真っ暗な沢の灌木で小さな光を見つける
ポストの底に忘れ去られた手紙のように
思い出せないのに忘れられない
ちいさな鳥の形を
手 ....
ボクらはお茶をわかして
お菓子の交換をしました
冬のある日
おねえさん達の
おしゃべりは
永遠の謎です


http://www2.bbweb-arena.com/banzawa/02 ....
 水面に、静かに輪が広がり、女が浮かび上がってきた。
 そしてその女は、青緑色の沼の表面に浮かび、まるで肘をつくかのような格好でこちらを見た。

 時刻は、薄ぼんやりとした昼間で、のんびりと釣り ....
盆地を走る列車に乗って
窓から景色を眺めると
かつて僕の世界には
奥行きと幅
高さだけがあったのだ

あの山の並々に
目指す高さがあったのだ

今はその山の向こうの
知らない海が
 ....
星と星をつなぐと
いきものになった


言葉と言葉をつなぐと
ひとになれる
指と指をつなぐと
こいびとになれたかもしれない


夜になると
貝を洗うような音がする
わたしの星が ....
ひとつ
ふたつ
みっつ

きれいなものと
かわいいもの

よっつ
いつつ
むっつ

たくさんならべて
だきしめて

ななつ
やっつ
ここのつ

ぜんぶすきなんて
 ....
鏡のしくみで
生きている

笑うと
鏡も笑ってる

光の世界で
くしゃみした
永遠の
瞬きのように
林檎がふるえている
暗い海の底で
ヒリヒリする電波を発しながら
傷んだ痕をさらしている


林檎たちがふるえている
共鳴しながら
いくつもの透明な触手を
スルスルのばし
痛みをそっ ....
誰も知らない塔の最上階に
僕たちはいつもいた

その部屋は『時間の部屋』と呼ばれ
窓からの景色は
天も地も人も時間も
すべてが見渡せた

僕たちはいつも3人で
僕は皆から『過去』と呼 ....
      最後の /色

      残されたままに/
/ひとつの ....
光は満ちてゆく
花のような小舟を浮かべて
ふたたびの光は寄せてゆく
まだ浅い夏の水際に


片足を浸して眺めるだけだ
ドアを細めに開けて
そっと知られぬように
飛び立つ小鳥を慈しむよ ....
ワディ,

その涙を、舌で拭うのは僕の喜び。

涙の味は変わらない。午後も、夕暮れ時でも。
だから、泣きたくなったら教えて欲しい。

その涙を、舌で拭うのは僕の喜び。

それは、僕だ ....
くれない色の夕暮れに
細い三日月針にして

なにを釣ろうか
おつきさま

下界はこんなに
楽しそう


針の音色は茜色

おいでおいでと
呼んでいる


悲しいまま ....
かってなおねがいですが

あんまりとおいと
さみしいので

あんまりちかいと
せわしないので

どうぞそのへんで
うろうろしててください

かってなおねがいですが

ぼくはひ ....
長い間待ち望んでいた瞬間が訪れる
受付の看護士さんに案内され
病院らしい匂いのする待合室の長椅子に
わたしはひとりで腰掛けていた

手術自体はあっと言う間ですから

こころにメスを入れる ....
本のページをめくる
あなたの指が
風のようだと思った


あなたの中で
長い物語ははじまり
長い物語はおわる


本を閉じると
あなたはすっかり年老いて
物語のドアから出てゆく ....
長さが
ちょうどいいので
いつもその道を歩いた

長さは長さ以上に
距離ではなく時間だったから
帰る家もなつかしい

廊下の床がゆるんで音が鳴るのは
散歩と人の長さが
同じ距離に ....
またもや不意打ちに
なげこまれたアクシデント
水面がざわざわ騒ぎだす
バリケードをはりめぐらせたつもりが
いつもほんの一瞬のスキをついて
とびこんでくる



ズン と重く腹にしずん ....
激しく降りつづいて
やむ気配のない雨
屋根や庭を盛大に叩いている
縁側にすわって
いつもより濃いお茶を飲むあいだも
軒先にならべた大小の容器が
たてる音がまるで不揃いだ
灰色ににごり ....
うららかな夕焼けが
つくりだす陰影


「せんせい かげふみしよう」

授業が終わった生徒が
煙草に火をつけようとする
僕の手をとめる

足元から伸びた大きな影と
向かい合う ....
青い髪のターヤと、今もふたり虹の入り江で暮らす

ロック歌手であった過去の名声を捨て、女となった私にとって、砂に覆われたこの素晴らしい死の世界では、レゴリス――月の砂――は敵であり、また味方でもあ ....
自転車で坂道を駆け下りて
夕暮れ前の公園を抜けていく
誰もいない遊園、鉄のにおい
藤の花がぱらぱらと
わたしの背後で落ちていった

同じかたちの宇宙が隣町にもあって
昔はよく友達に会いに ....
ぼくの家の庭には古い井戸がある。むかしは豊かな水が湧き出し、たまには幽霊というオツなものも出たらしいけど、いまではさっぱり。水も出ない。そんな井戸がなぜ残っているのかというと、曾曾おばあちゃんのありが .... むかーし むかしの頃から続いている
どうしようもなく
機械的なこの営みは
痛みをかくして
笑っているようであります

健やかな苗木を育むため と
頭ではわかっているのです
だけど ここ ....
 かえるがなくから かーえろ

夕暮れあぜ道 帰り道
日なたのにおいと土のにおい
からだにまとって
家路を走る

 きょうはたのしかったね

あっという間の
夢みたいな一日は
ま ....
本の隙間から

ふとした時間の割れ目から

長くあけることのなかった引き出しから

ふいにあの頃のあなたが顔を出した


懐かしさに時間を忘れ
あの頃の自分になってしまう


 ....
窓辺に香る黒いグラジオラス
いつか見た記憶のようだった
車のライトがフラッシュバックのように
無言の部屋を通り過ぎてゆく


雨夜の帰り道
突然君にくちづけた
あのあたたかい
湿った ....
いつものように
バスを待っていたら
象がきた
大きな耳のようなドアから乗る


いつもの道を
いつもどおり走っている
だが停留所が
いつもとちがう
  パンパス三丁目 オアシス北  ....
庭に植えた柿の種は
その後
いっこうに音沙汰がなかった
毎日欠かさず水をあげたのに
うんともすんともいわなかった
ひょっとしたら
間違えて王冠を埋めたのだろうか
上下さかさまに植えて ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春の桟橋- 塔野夏子自由詩7*08-5-11
夜想曲(_reverse_)- たりぽん ...自由詩10*08-5-11
子供の家- ばんざわ ...自由詩6*08-5-10
沼の主- チアーヌ散文(批評 ...708-5-10
盆地- 小川 葉自由詩7*08-5-10
星の時間- yo-yo自由詩9*08-5-9
盲目- 三上あず自由詩2*08-5-9
鏡のしくみ- 小川 葉自由詩308-5-8
IT_Apples- 渡 ひろ ...自由詩18*08-5-8
時間の部屋- sekka自由詩7*08-5-8
残された色- 乱太郎自由詩25*08-5-7
水際、まだ浅い夏の- 石瀬琳々自由詩9*08-5-6
ワディ(枯れ川)- rabbitfighte ...自由詩14*08-5-5
針の月- オレンジ自由詩508-5-5
かってなおねがい- 餅月兎自由詩8+08-5-4
待合室のひと- 恋月 ぴ ...自由詩36*08-5-3
- yo-yo自由詩21*08-5-2
むずかしい散歩道- 小川 葉自由詩1108-5-1
内面鏡- 渡 ひろ ...自由詩26*08-5-1
- アンテ自由詩508-4-30
「かげふみ」- ベンジャ ...自由詩5*08-4-29
ターヤ_☆- atsuchan69自由詩7*08-4-29
藤棚- かのこ自由詩708-4-29
井戸の神様- 寅午自由詩308-4-28
間引き- 明楽自由詩2*08-4-27
暮色- 明楽自由詩308-4-26
現実- 舞狐自由詩3*08-4-26
くちづけ- 石瀬琳々自由詩7*08-4-25
マンモス- yo-yo自由詩9*08-4-25
- アンテ自由詩508-4-25

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